
AppleからFinal Cut Pro 11.1がリリースされた。Final Cut Pro 11.1では、Premiere Proの調整レイヤーに似た、調整クリップと呼ばれるまったく新しい機能が導入された。これにより、例えばカラー補正の変更など、下に表示されているすべてのクリップに視覚的な変更を簡単に適用することができる。また、マグネティックマスク機能の強化や、新しいAppleインテリジェンス機能も追加されている。
これらの機能は、ユーザーから最も要望の多かった機能で、ようやくFinal Cut Proに追加された。
調整クリップが登場
おそらく最も重要な追加機能は、調整クリップの導入だろう。これは、Premiere ProやDaVinci Resolveなどには以前からある機能だ。エディターは、複数のタイムラインクリップの上に調整クリップを1つ配置し、さまざまな映像に同時にエフェクトやカラーコレクションを適用することができるようになった。これにより、カラーグレーディングのワークフローが合理化され、複合クリップや重複した修正の必要性が低減される。

Apple Intelligenceが編集スイートに登場
Final Cut Proは「Image Playground」を通じてApple Intelligenceを統合し、エディターが説明や参照からスタイル化された画像を生成できるようにした。プレースホルダグラフィックスや素早いビジュアルアセットの作成に役立つ可能性はあるが、これは編集の中核的なニーズに応えるというよりも、AppleがAIイニシアティブをすべてのプロアプリケーションに展開しようとしているように感じられる。
マグネティックマスクの改善
以前のアップデートで導入されたマグネティックマスクツールは、パフォーマンスの改善、バグ修正、エディタインターフェイスの切り替えを行う新しいキーボードショートカットなど、待望の改良が加えられた。これらの改良は、Appleが初期のバージョンには改良が必要だと認識していたことを示している。この機能に期待を寄せていたものの、バグが多すぎてイライラしていたエディタにとっては朗報だ。
Final Cut Pro 11の、マグネティックマスク機能のレビュー(英語)はこちら。
オーディオの強化
Quantec QRSルームシミュレーターエフェクトが追加された。このエフェクトは、以前のオプションよりも自然な響きのリバーブで音響空間をシミュレートする。インスペクタでオーディオエフェクトの名前を変更できるようになったのは、些細なことだが実用的な改善であり、複雑なサウンドデザインを管理しやすくする。
内部的な修正
11.1アップデートでは、23.98fpsのタイムラインでの25fpsの映像との同期の問題、オーディオのずれを引き起こすJカットの問題、ARRI ProRes MXFメディアでの作業時の信頼性の問題など、いくつかの重要なバグが修正された。これらの修正は、特に複雑なメディアや配信要件を扱う場合のワークフローの安定性に寄与する。
The bottom line
Final Cut Pro 11.1は、画期的な進化ではなく、段階的な改良だ。プロが長年要望してきた機能の一部が欠けている(共同編集は依然として欠けている)ものの、このアップデートは、実際のワークフローの課題に対処する実用的な改善と言える。
既存のユーザーにとっては、11.1は信頼性を向上させながら実用的なツールを追加する重要なアップデートだ。しかし、他のNLEからの乗り換えを検討している人にとっては、このアップデートはプロ編集の分野におけるFinal Cut Proの競争上のポジショニングを劇的に変えるものではない。
アップデートはこれまで通り無料(実際、Appleは約13年前にFinal Cut Pro (X)を再リリースして以来、一度もアップデートに料金を請求したことはない)で、Mac App Storeで入手できる。