映画「1917 命をかけた伝令」(原題:1917)はサム・メンデス(Sam Mendes)が監督し、ロジャー・ディーキンス(Roger Deakins)が撮影した最新の長編映画。 Hurlbut Academyは、この「ワンショット」映画のルックと撮影についてのビデオをリリースした。
https://www.youtube.com/watch?v=Oq3B5vckRZ8
映画「1917 命をかけた伝令」
サム・メンデス監督の最新映画「1917 命をかけた伝令」(原題:1917)が公開されている。この映画はすでに録音、視覚効果、撮影においてオスカーを受賞している。この映画は、第一次世界大戦中にフランス北部で行われた壮大な戦争映画だ。
映画の主人公は、2人の若いイギリス人兵士、スコフィールドとブレイク。彼らの使命は、別のイギリス連隊にメッセージを手渡すことで、このメッセージは、ドイツ軍に対する攻撃を中止するように他の連隊に伝えるもの。彼らは敵の領土を越えなければならず、ブレイクの兄も連隊に配属されていた。
サム・メンデス監督はアクション場面で、シングルテイクで撮影するという考えを持っていた。メンデス監督は、息子が遊んでいたビデオゲームを見て、このアイデアを思いついたという。 2人の兵士を介して、監督は観客にキャラクターの息吹と足音を感じてもらいたいと考えた。
歴史映画は、セットのすべての部門、特にセットデザイン、ワードローブ、アートディレクション、メイクアップなどの技術が問われる。これを実現するため、メンデス監督は、ロジャー・ディーキンスに撮影監督を受けてくれるよう4回頼んだと述べている。
撮影
カメラが止まらない、即ちカットなしに見える2時間の長編映画を作ることは不可能に思えるが、 Hurlbut Academyによる上のビデオで、その技術的側面を分析している。
ご覧のとおり、このような映画を撮影するには、撮影前の作業が必要となる。プロダクションデザイナーのデニス・ガスナーは、チーム全員がサム・メンデスとロジャー・ディーキンスのビジョンと考えを共有できるように、セットのモデルを構築した。これは役者の位置だけでなく、カメラの動きと照明も視覚化できるものだ。これにより、スタッフは撮影前にすべての道路とトレンチの長さを調整することができた。数百万ドルの映画セットでは、最初に十分に計画を練る必要がある。即興では撮影できないのだ。
カメラとレンズ
ワンテイクで撮影する場合は、リハーサルが重要になる。俳優の動き、エンジニアの作業、爆発などのアクションが、カメラと完全に同期する必要があるからだ。これを実現するため、3軸ジンバルと5軸スタビライザーのARRI Trinityの2種類のスタビライザーにカメラをマウントしている。また、手持ちでは不可能なショットは、Stabileyeをケーブルカムやクレーン、あるいは車両に取り付けて撮影している。
カメラはARRI Alexa Miniのフルフレーム版であるARRI Alexa Mini LFを選択した。このカメラは彼らが使用した最も小型のカメラで、レンズは35mm、40mm、47mmのARRI Signature Primesが使用されている。
照明と編集
最初に直面した問題の1つは、巨大なセットをどのように証明するか、だった。また昼間の屋外のシーンでは曇りの日を待っていた。シーン間の視覚的な連続性が必要だったので、天気が同じである必要があったのだ。曇りの日を待つ間、何も撮影せずに何日も待ったとのこと。
しかし夜の屋外シーンは別で、夢と現実で、町の雰囲気を出している。これらのシーンの照明では、ワイヤーに取り付けられた照明弾(のようなもの)を使用している。空を飛ぶ光で、俳優とセットを照らすのだ。
別のシーンは、燃える教会だ。 これは建物全体に1Kの照明器具を2000個配置し、照明を行い、更にポストプロダクションで火事のVFXを合成している。
ポストプロダクションに関しては、編集担当のリー・スミスが撮影に立ち会い、夜に各シーンを組み立てて、翌日には別の撮影が続けられるようにした。撮影中に編集を行うことは非常に大変で、選択したテイクにより、次の日の撮影に影響を与えることになる。
この映画を、是非その観点からも観ていただきたい。