QualcomがSnapdragon 865チップセットを発表した。これにより、スマートフォンで200Mpの写真をキャプチャしたり、8Kビデオを記録することができる。
Appleへの対抗もあり、今年のAndroidデバイス用の最新世代のチップセットは驚くべき機能を提供している。 QualcomのSnapdragon 865チップセットは、多くの Androidスマートフォンに採用され、同社の利益を大幅に向上させている。
もちろん、スマートフォンで8Kビデオ録画はあまり実用的なものではないだろう。様々な問題がすぐに思い浮かぶ。
8K HDRテレビは高解像度HD SDRの16倍の解像度を持つが、おしゃれな新しいスマートフォンで娘のバレエリサイタルを8Kで記録するという要望はあるだろうか。ただしこの技術は興味深いもので、実際に役立つ分野はあるのだろう。
スマートフォンのメーカーは、写真やビデオの機能をこれまで以上に強化しようとしている。ミラーレスやデジタル一眼レフカメラ、あるいはシネカメラを持っているときでも、スマートフォンのカメラは常に携帯している。カメラとしてのスマートフォンは今や当たり前で、使いやすく、ソーシャルメディアに接続されており、今ではすべての写真とビデオに対するニーズを満たすことができる。
スマートフォンには超高解像度の写真やビデオが撮れるものも登場しているが、内容をよく理解することが重要だ。その上で使用すれば、出先で本当の利点を享受することができるだろう。
Snapdragon 865
メガピクセルの競争がスマートフォンで行われている。カメラの大部分はソフトウェアでコントロールされているが、重要なハードウェアは、ISP(Image Signal Processor:
画像信号プロセッサー)だ。 ISPの帯域幅と処理能力は、デバイスの解像度、カラービット深度、およびフレームレートの限界を決定する。
Snapdragon 865のSpectra 480 ISPは、高ビット深度HDRで最大200メガピクセルの写真、8Kビデオ、および4Kビデオ撮影を可能にする。すべてのピクセルを処理できるだけでなく、Spectra 480はQualcomの第5世代A.Iエンジンも搭載されている。これにより、デバイスは複雑な画像処理をリアルタイムで実行し、オブジェクトと背景を識別するといったことも可能になる。
より大きく、高解像度の映像
非常に高解像度の写真やビデオを処理するISPとチップセットも、イメージセンサーが無くては何もできない。しかしフォトサイトが小さくてノイズが多いイメージセンサーの場合でも、画像情報を抽出し、これを処理することができる。
例として、ソニーの IMX586センサーは、8Kビデオはサポートしていないが、48メガピクセルの写真が可能な1 / 1.2インチサイズのセンサーで、8000 x 6000ピクセルを提供する既存のクアッドバイエルデザインだ。 そして「Quad Bayer」CFAは、各カラーフィルターの下のフォトサイトの2×2ブロックを効果的にグループ化する。これにより、クロマ解像度はピクセル数よりも低くなるが、これはこのような高密度で小型のイメージャーに必要なトレードオフと言える。しかしサンプルを4つ使用して、S / N比とクロマ忠実度を明確に改善する機能は、1つの大きなフォトサイトよりも優れている場合がある。同時に、フルピクセルで輝度を計算する際により多くの離散サンプルを提供できる。
今年、販売競争が激化する中、スマートフォンのセンサー設計にさらなる革新がもたらされることは間違いないだろう。それにより、モバイルビデオユーザーも作品の幅が広がる。通常、プレミアムなスマートフォンで採用されたテクノロジーがより安価なスマートフォンに採用されるのに長くはかからず、エントリーレベル、ミッドレベル、ハイエンドのスマートフォンの機能差は小さくなっている。
Snapdragon 865のカメラ仕様
- 画像信号プロセッサ:Qualcomm Spectra™480画像信号プロセッサ、コンピュータビジョン用ハードウェアアクセラレータ(CV-ISP)、デュアル14ビットCV-ISP
- デュアルカメラ、ZSL、30 fps:最大25メガピクセル
- シングルカメラ、MFNR、ZSL、30 fps:最大64メガピクセル
- シングルカメラ:最大200 メガピクセル
- カメラの機能:HEIF写真撮影
- スローモーションビデオ:720p @ 960 FPS
- ビデオフォーマット:ドルビービジョン、HDR10、HDR10 +、HEVC
- ビデオ機能:8Kビデオ記録、同時64メガピクセル写真撮影できる4Kビデオ、Rec2020色域ビデオ収録、最大10ビットの色深度のビデオ記録
- コーデックサポート:ドルビービジョン、H.265(HEVC)、HDR10 +、HLG、HDR10、H.264(AVC)、VP8、VP9
スマートフォンカメラの実情
実際の解像度は、センサーのピクセル数と同じではない。
カメラの実際の解像度と、イメージセンサーが持つフォトサイトの数との間には大きな違いがある。また、カメラが特定のピクセルサイズのファイルを記録するとしても、画像が実際に同じ量の画素数で撮られているわけではない。
マーケティング的にはピクセル数を誇張するが、小型カメラモジュールを持つスマートフォンでは特にそうだ。スマートフォンの画像は優れたものだが、非常に小さな光学系の設計、センサー自体の設計、効率、パフォーマンス、センサーデータの正確なディベイヤにかかっている。そしてもちろん、ビデオ圧縮も影響する。
ダウンストリーミングの利点
情報量が少ない場合でも、ピクセル数が多いと有利だ。iPhoneでビデオの撮影をする場合でも、ポストでより見栄えの良いダウンサンプリングHD画像を得るために、可能な限り高いビットレートで4Kを録画する。
特に10ビットエンコーディングでは、同じアプローチを8Kスマートフォンビデオ(4:2:0の可能性が非常に高い)で行うと、適切にダウンサンプリングされた4K映像が得られる。もちろん、このすべてがどのように実装されるか、8K対応のスマートフォンが実際にどのようなビデオファイルを提供するのかを待つ必要がある。
スマートフォンカメラの今後
写真やビデオカメラとしてのスマートフォンはすでに広く使われており、今後もさらに進化していくだろう。ノイズが少なくなり、暗い環境でも高画質で撮影できるようになる。また、ビットレートも高くなっていくだろう。更にAIが組み込まれていくと思われる。