ACHTEL 9×7は、Pawel Achtel ACS氏によって設計および製造された新しいシネマカメラだ。 9.3Kネイティブ解像度のAPS-H BSI 4:3センサーを備えたテザーヘッドデザインが特徴。カメラの最大スループットは10GB / sで、最大解像度で70fpsのRAW Cinema DNGで記録できる。価格は約146,000ドル。
今や小さな会社や個人でもカメラの設計と製造ができる時代になった。いつもうまくいくとは限らないが(FRAN 8Kの例もある)、素晴らしいことだ。一方キヤノンやARRIのようなカメラメーカーは、長年の研究開発を行い、膨大な技術を持つ大規模なエンジニアリングチームを擁している。まともなカメラを作ることは実際には非常に難しい仕事だ。
Pawel Achtel ACS氏は、オーストラリアを拠点とするカメラマン兼発明家だ。彼は水中撮影用のカメラシステムを専門としており、同社の特許取得済みの3Dビームスプリッターは、ニュージーランドで撮影されたジェームズキャメロン監督のアバター続編で広く使用された。彼はここ数年、新しいカメラACHTEL 9×7の開発を行い、最近発表された。
ACHTEL 9×7高解像度カメラ
Pawel氏が述べているように、ACHTEL 9×7カメラはIMAXとGiant Screenの制作用に特別に設計された。そのため、高解像度はこのカメラの重要な要素の1つと位置付けられている。
ACHTEL 9×7カメラは、ネイティブ解像度が65メガピクセル(9,344 x 7,000ピクセル)のAPS-Hサイズの4:3 BSI(裏面照明)センサーを使用している。 Pawel氏によると、優れたピクセル設計と非圧縮形式で、9.3K RAWファイルは18K(18,688 x 14,000ピクセル: 260メガピクセル)にデベイアできる。
センサーはグローバルシャッター読み出しで、フル解像度で70fpsが可能。 Pawel氏によれば、このカメラは非圧縮のRAW画像を実に10GB / sのデータレートで記録できる。これは、Thunderbolt 3の最大スループットの約2倍だ。
なお、Achtel WebサイトからCinema DNG形式でサンプルクリップをダウンロードできる。
Pawel氏によれば、このカメラは広い色域、高い色精度、低ノイズ、優れた光感度を提供する。こちらでも、サンプルのCinema DNGファイルをダウンロードできる。
ACHTEL 9×7カメラには、カスタマイズ可能な1:1の拡大、IMAXとジャイアントスクリーンのフレーミングオーバーレイ、RAWヒストグラムなどの画面上のツールが備わっている。設定は、JSON形式ファイルを使用して調整および構成できる。
テザーヘッド構造
カメラの構造は、シネマカメラの世界では特に新しいものではないテザーヘッド構造(カメラヘッドが本体から分離でき、ケーブルで延長できる構造)を使用している(ARRIとソニーのVENICEで採用されている)。これの利点は、大型のカメラ本体が入っていけない狭いスペースにもカメラヘッドだけで入っていけること。 ACHTEL 9×7カメラのヘッドのサイズはわずか80 x 80 x 70 mmで、本体から最大20メートル延長できる(光ファイバーケーブルで接続)。本体(レコーダー部)の大きさは136 x 166 x 66mm。
レンズマウントは、LPL、PL、Nikon F、Canon EF、Leica M、水中用Nikonos、Nikonos RSなどがある。ネイティブISOは800で、カメラの内部ストレージは4TBまたは8TBとなっている。
強制冷却
スタンバイモードでは、カメラはあまり発熱しないが、データレートが高いため、記録中は強制冷却が必要となる。このカメラは、本体の下に着脱可能なクーラーモジュールを備えている。クーラーは約13mmの薄さで、SSDを冷却する2つのファンを備えている。別のツインファンがメインユニットを冷却し、また別の大きなファンがカメラヘッドに装備されており、合計5つのファンが付いている。
Pawel氏が書いているように、彼らは現在さまざまなレンズをテストしており、ACHTEL 9×7カメラの非常に高い解像度に対応できるのはごくわずかだ。したがって、適切なレンズを見つけることは、現在同氏の最大の課題となっている。サンプルクリップから判断すると、ARRIシグネチャプライムと一部のSigma ARTシネレンズは対応できるようだ。
価格と発売時期
ACHTEL 9×7カメラは、単なるプロトタイプではない。公式情報によると、最初のACHTEL 9×7カメラは既に購入やレンタルが可能となっている。
ACHTEL 9×7の価格は約146,000ドルから。