シグマはフルサイズミラーレス用プライムとズームレンズ合わせて3本を発表した。いずれも同社の新しいカテゴリーとなるDG DN(フルサイズミラーレス用)に属する。単焦点の35mm F1.2 DG DN、45mm F2.8 DG DN、およびズームの14-24mm F2.8 DG DNだ。45mm F2.8 DG DNはContemporaryシリーズ、他の2本はArtシリーズに属する。
なおシネプライムの新しいラインラップ、Classic Art Primeも開発中で、IBC 2019で正式に発表される予定。
これら3本のレンズは、EマウントとLマウントを選択することができる。
35mm F1.2 DG DN (ART)
このレンズはF1.2で、明るさにおいては最高のレベルに位置するため、基本的に大きなレンズ素子を搭載しており、更にオートフォーカス機能を搭載しているため、レンズ本体も大きくなっている。
レンズ本体に絞りリングがあり、オートでもマニュアルでも使用できる。また絞りリングはクリックを解除することができる。絞り羽根は11枚でスムースなコントロールが可能。フォーカスリングも同様に、スムースなマニュアルコントロールができるが、AFモードでは、大きなHSM(HyperSonicMotor)で高速にフォーカシングする。
なおシグマ独自のレンズ呼称があり、DGはフルフレーム対応、DNはミラーレスカメラ(フランジの短い焦点距離)に対応する。従って、DG DNはフルフレームミラーレス対応ということになる。
レンズ構成は12群17枚で、SLDガラス3枚と、両面非球面レンズを含む3枚の非球面レンズを最適配置している。短いフランジ焦点距離設計で、ミラーレスカメラ用に最適化されているだけでなく、歪曲収差や周辺減光を効果的に補正している。35mm F1.2は5000万画素以上に対応できる解像度を持っている。
AFLボタンにはさまざまな機能を割り当てることができる。さらに、このフロントレンズに撥水撥油コーティングを施し、防塵防滴構造を備えている。なお、フードも付属する。
EマウントとLマウントを選択できるが、相互にマウントを交換することも可能。その場合は同社にレンズを送り、有償となる。
35mm F1.2 DG DN (ART)の主な仕様(Lマウント)
- レンズ構成枚数 12群17枚
- 画角(35mm判) 63.4°
- 絞り羽根枚数 11枚 (円形絞り)
- 最小絞り F16
- 最短撮影距離 30cm
- 最大撮影倍率 1:5.1
- フィルターサイズ φ82mm
- 最大径 × 長さ φ87.8mm×136.2mm
- 質量 1,090g
14-24mm F2.8 DG DN (ART)
DG DNシリーズの2番目は14-24mmの超ワイドズームで、このレンズは広大な星景撮影に最適だ。F2.8と明るく、天の川の撮影にも適するだろう。なお、星景写真の撮影で使用されるシートタイプのリアフィルターを装着できる「リアフィルターホルダー」を標準装備している。
このレンズはARTラインアップに属し、フルサイズミラーレス対応のDG DNが表記されている。
1枚のFLDガラスと5枚のSLDガラスが色収差を抑える。また前面の大口径非球面レンズを含む3枚の非球面レンズは、コマ収差を最小限に抑える。コーティングにはスーパーマルチレイヤーコートに加え、ナノポーラスコーティング(NPC)を採用。逆光のような強い入射光に対しても影響を受けにくくなっている。
SIGMA 35mm F1.2と同様に、このズームレンズにもアサイン可能なAFLボタンがある。
ステッピングモーターによるオートフォーカスも可能で、カメラに応じて、ビデオ撮影中でも顔や目の検出に対応している。
ハウジングは35 mm F1.2 ARTレンズと同様、堅牢な設計がされている。
14-24mm F2.8 DG DN (ART)の主な仕様(Lマウント)
- レンズ構成枚数 13群18枚
- 画角(35mm判) 114.2-84.1°
- 絞り羽根枚数 11枚 (円形絞り)
- 最小絞り F22
- 最短撮影距離 28cm
- 最大撮影倍率 1:7.3
- 最大径 × 長さ φ85.0mm × 133.0mm
- 質量 795g
45mm F2.8 DG DN (Contemporary)
DG DNの3番目のレンズは45mm F2.8 DG DNで、これはARTではなくContemporaryに属する。高性能で多目的なレンズで、しかもコンパクトで軽量だ。DG DNなのでフルフレームミラーレスカメラに対応する。
このレンズは日常使用を目的としているため、実に小型軽量で、気軽に持ち歩くことができる。アイリスリング(クリックは無い)と、AF用のステッピングモーターが搭載されている。
最短合焦距離はわずか24cmで、非常に広い用途に対応する。 同社は、45mm F2.8は開放端で使用すると滑らかでクラシックなボケ味を楽しめるが、少し絞るとシャープでモダンなイメージで撮影することができるとしている。
45mm F2.8 DG DN (Contemporary)の主な仕様(Lマウント)
- レンズ構成枚数 7群8枚
- 画角(35mm判) 51.3°
- 絞り羽根枚数 7枚 (円形絞り)
- 最小絞り F22
- 最短撮影距離 24cm
- 最大撮影倍率 1:4
- フィルターサイズ φ55mm
- 最大径 × 長さ φ64.0mm×46.2mm
- 質量 215g
Classic Art Primes
これはまだ正式発表前のレンズだが、シネプライムの全く新しいラインアップを開発中であることが発表された。これはClassic Art Primeという新しいラインアップで、すでに発売されているシネマプライムに沿ったレンズとして提供される(詳細はこちら)。Classicという名前からも、どちらに向かっているのか推測できるかもしれない。フロントレンズのコーティングを取り除き、パフォーマンスを犠牲にせずによりシルキーでドリーミーなヴィンテージレンズに仕上げている。
このレンズはIBCで正式に発表される予定。なお、このレンズは、既存のCinema Primesと同じセットになるが、明るさはCinema Primesよりも多少暗く、T1.5はT2.5(20mm – 85mm)に、T2はT3.2(14mm&135mm)になる。
Cinema Primesがあまりにも鮮明すぎると感じているユーザーには、この新しいセットは価値があるだろう。ARRI Signature Primesもそうだが、超シャープなレンズから個性的なキャラクターのレンズへと向かう傾向があるように見える。
シグマのWebサイトはこちら。