DJIはRemote IDシステムを開発し、このほどその実用性を実証した。これは飛行中の任意のドローンに対し、その識別が手元のスマートフォンでできるというもの。不審なドローンが飛んでいても、そのIDを知ることができる。
Remote IDとは?
ドローンは今や一般的に使われている。それに伴い、ドローンの飛行規制も強化されているが、その認識システムにも注目が集まっている。これまでにも DJIは、コントローラーとドローン間の通信をスキャンするAeroScopeを開発している。 これは飛行するドローンを認識するシステムだが、カスタムハードウェアが必要であり、一般的に空港など限られた場所を対象としたものだった。そこで、更に進めた識別システムの導入に向け、グローバルフォーラムであるASTM(American Society for Testing and Materials/米国試験材料協会:世界最大級の民間規格制定機関)が、更に汎用性の高いシステムを目的に介入した。ASTMはこの18か月間で企業や政府と協力し、新しい標準であるRemote IDを導入した。これはドローンとコントローラの通信をスキャンして、手元のスマートフォンでドローンIDを知るシステム。 DJIは、International Civil Aviation OrganizationのDrone Enableカンファレンスで、このシステムのデモをおこなった。
どのように機能するか?
リモートIDはWi-Fi Awareで実行される。Wi-Fi Awareは、最初にデバイス同士で双方向接続を行う必要なく、wi-fiで情報を交換できるプロトコルだ。スマートフォンはドローンを検出し、情報を直接入手する。これにより、DJI Mavic MiniやMavic 2 Proなどのドローンを識別することができる。
ドローンがコントローラーとの通信に使用しているのと同じwi-fi接続を利用するため、このシステムを搭載するのにハードウェアを追加する必要はない。スマートフォンの通信回線やGPSも必要ない。また、ハードウェアをアップグレードする必要もない。したがって、大きな負担なく導入することができる。更にインフラが限られている発展途上国や遠隔地でも、導入するのに大きな負担は無い。ドローンとの通信可能距離は約1kmまでだが、これがバッテリー持続時間や飛行時間に影響を与えるかどうかは現在のところ未定だ。
実施時期
ファームウェアの更新でこの機能を導入できるが、まだダウンロードできるわけではない。またスマートフォン用のアプリも完成していない。 DJIは、この技術の実用性を実証したが、航空規制当局からの指示とASTM国際規格の最終公開を待っている。しかし、米国のFAA(Federal Aviation Administration:アメリカ連邦航空局)はこの必要性を明確にしており、来年あたりにルールを設定するため開発と採用を各メーカーに奨励している。
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