筆者は最近、Gates Underwater Productsと協力して、Arri Mini LFで水中撮影をする機会があった。これはインディアナでの撮影だが、冬の夜の水中撮影だったうえ、このカメラでは初めてだった。水中での撮影全般や、特に初心者の観点からの情報も少なかった。水中撮影の経験は決して多くなく、Gatesと密接に協力して完璧なリグを構築した。今回は、このレポートを行う。
水中ハウジングメーカーは数社しかなく、今回は信頼できるGates Underwater Productsと緊密に協力する必要があった。幸いなことに、Gates社はサンディエゴの近くにあり、快く協力してくれた。
まず、我々が直面した問題は以下のものだ。
問題点
- 期間:撮影まで数週間しかない。
- Arri Mini LFの互換性:これに適合する水中ハウジングはどこにでもあるわけではない。
- モニタリングとフォーカスプル: ACのTiffanyは、UMC-4 LDSユニバーサルモーターコントロールユニットと連携させた。これは素晴らしかったが、モーターコントローラーは小さくは無い。
- 光学系:カスタマイズされたPanavision PrimoとSigma Cine Primesの両方で撮影を行った。ハウジングのサイズを考慮して、焦点距離に制限があるかもしれなかった
- 電源:バッテリーを交換できない可能性がある。
- カスタムのレンズと100,000ドルのカメラを水没させるわけにはいかない。
Gatesの社長であるジョン・エラブロック氏にこれらの懸念を相談すると、彼はチャレンジしてくれた。 1969年以来、同社は水中撮影業界のリーダーであり、今回の撮影では彼らの専門知識なしには不可能だった。
準備
パナビジョンハリウッドでの準備後、レンズ、フォーカスフォローシステム、そしてMini LFをサンディエゴのオフィスまで運んだ。ハウジングの構築と互換性の確認のため、ハウジング内に収めるアイテムを用意した。しかし時間が無いため、全ての部品を収納することができなかった。また一部の機材は既にトラックに乗っていた。しかし撮影を行うインディアナに飛ぶ前に、一応テストはできた。
プロシューマーの水中システムなら、カメラの最小限の制御のみでよいが、プロ場合は、カメラ本体のアサイン可能なボタンも操作できる必要がある。ハウジングの設計は、狭い隙間からカメラを入れ、背面のVマウントプレートでカメラを所定の位置に固定する。外側には、バラスト(浮力を打ち消す)用の多くの取り付けポイントと、ケーブル用のスペースがある。
レンズの長さに応じて、ポートリング(レンズに合わせて適切な長さでスタックする金属リング)を追加したり取り外したりする。
予想通り、Preston LCSシステムをハウジング内に取り付けることは難題だった(ハウジングはARRI LCSシステムに適合しているが、使用できない)。数時間の調整の後、ワイヤレスフォーカスプルを可能にするため、ハウジングにケーブルを配線することにした。0.8ピッチの小さなギアにより、水中でハウジングの外側から手動でフォーカシングしたりアイリスをコントロールできる。 Gates Underwaterは、ハウジングの防水性を損なうことなく、カメラからSDIを経由して外部モニターに至るカスタムケーブルの作成も行った。
防水チェック
防水性チェックには、封印チェックデバイスが使える。シールチェックホースを外部のポートに接続すると、ハウジング内部の真空測定値が得られる。真空が安定していれば問題ないが、真空が低下する場合は、ケーブル挿入部を含め、すべてのものを再チェックする必要がある。そうでなければ、10万ドルのカメラが水没してしまう。
モニタリング
モニタリングについては、Gates UnderwaterがAtomos Shinobi 5インチをモニターとして選択した。これらは高価ではなく、水中でのモニタリングに適したサイズだ。モニターは、メインハウジングとは別の小さなハウジングなので、同様に防水性をチェックする必要がある。個人的に、筆者は17インチSmallHDモニターを使用した。モニターを防水SDIで接続し、川やプールで撮影したが、今回も水没することはなかった。
撮影
Gatesは撮影日の数日前にハウジングを出荷した。ポートリングはしばらくの間そのままだったため、切断するのが難しく、潤滑剤の効果は低下したが、ある程度の力ですぐに分離できた(再潤滑剤で非常に簡単にオン/オフできる)。
A-Cam(B-CamはフルサイズのAlexa LF)をセットし、45分で準備が整い、シールチェックが完了した。リグに収まるVマウントバッテリーは小さい方なので、バッテリー残量を注意深く見ている必要がある。
まとめ
このプロジェクトを通して十分な時間を取れるよう努力し、問題を特定し、最善のアドバイスを求めることは重要だった。Gates Underwaterのチームは、あらゆる段階で我々を支援してくれた。その結果、水中での撮影は予想以上にうまくいった。
可能であれば、十分な時間をかけて準備し、チェックリストを確認できれば理想的だ。プロの水中カメラマンを雇う予算があるなら、より確実な撮影が可能だろう。適切なサポートと時間があれば、水中撮影も難しくは無い。
今回撮影した映画は1年近く公開されないが、トレーラーが完成すればまた紹介したい。