Insta360 8KでNFLゲームをライブ配信
NFLプロボウルのVerizon、Radiant Images、Flight School Studioの各チームが、世界初の8K 360度ライブブロードキャストを開始した。ESPNがライブ放送し、200マイル離れたマイアミのドームで投影された。この試みには2台のInsta360 Pro 2カメラ、および新開発のInsta360 8K Liveソフトウェアを使用し、5Gネットワークで配信された。
Insta360はVR 360コンテンツの配信でも最先端を行く。同社は過去に、コンパクトな5.7K Insta360 ONE X、モジュラーInsta360 ONE R、11K解像度のInsta360 Titanなどの360カメラを導入している。今回は、同社のInsta360 Pro 2(こちらの記事を参照)と新しい8Kライブソフトウェアで初の8K VRライブストリームを行った。
NFL初の5G 8K VRライブストリーミング
Verizon、Radiant Images、Flight School Studioのチームが、世界ではじめてNFLゲームの8K 360度ライブブロードキャストを開始した。ESPNがライブ放送を行い、200マイル離れたマイアミのドームで投影された。 Radiant Imagesの共同創設者であるMichael Mansouri氏は、このワークフローについて説明している。
1.マルチカムセットアップによるゲームのVRライブストリーミング
2台のInsta360 Pro 2カメラを使用して撮影をおこなった。1台はゴールポストカムとして、もう1台はスカイカムとして使用。 Insta360 Pro 2カメラが軽量(1.5 kg)であることより、ESPNの従来のTVカメラと一緒にSkycamにマウントすることができた。ゲームを通して、Insta360 Pro 2は360度の8K映像を撮影した。
2.Insta360 8Kライブで360ライブストリーミングカメラフィードをステッチする
カメラの6つのレンズで撮影された6つのビデオ映像はInsta360 8K Liveソフトウェアで8K品質でリアルタイムに合成される。ダイナミックスティッチングアルゴリズムによりコンテンツをリアルタイムで分析し、ステッチの品質と配置を最適化し、各映像がシームレスにつなぎ合わされる。ソフトウェアは、RTSP / RTMP / RTMPSプロトコルとH.265 HEVCコーデックを使用し、30 fpsで2D HDR VRライブストリームを出力する。また、ライブストリーム中に同時録画し、最高品質で記録することもできる。
プロボウルの放送では、Skycamに搭載したInsta360 Pro 2をギガビットイーサネットケーブルで接続し、ファイバーで約1,000フィート離れたリモートサーバーPCに接続した。サーバーPCには2枚のRTX 2080 Tiグラフィックスカードが搭載されており、十分な処理能力を持っている。 2枚のブラックマジックデザイン8K Pro DeckLinkカードとソフトウェアで、映像は放送用の標準SDI出力に変換された。
3.スイッチャーコントロールパネルで放送するカメラ映像を選択する
次に、ブラックマジックデザインのATEM Constellation 8K Switcherを使用して、2台のInsta360 Pro 2カメラでステッチされたSDI映像をリアルタイムでスイッチングした。この場合、Insta360 Pro 2からの映像は2つしかないが、360度映像と標準映像が使用できる。
この段階で、360映像をリフレームするか、元のVR映像を放送するかを選択することもできる。 ESPNは、Pro 2からの円筒映像を放送することを決定した。これをマイアミのドームに投影した。
4.Verizon 5Gによるドームへの送信
8K映像を合成した後、ドームに送信するために映像を変換する。ソフトウェアあるいはハードウェアエンコーダーで、SDI信号をH.264やH.265(HEVC)VRライブストリーミングプロトコルなどに変換できるが、エンコーダーは8Kに対応していなかった。
そこでTouchDesigner(ライブ視覚操作ソフトウェア)を使用して、8K x 4Kの球面で送信できるように分割した。マイアミ側では、フル品質の画像を1つずつ受け取り、ドームに投影するために必要な半球を再構成した。伝送速度を確保するために、Verizon 5Gルーターを使用した。 4Gでは帯域幅が制限されるため、このような大量のデータを送る場合は、遅延が大きくなってしまうのだ。
5.VRライブ映像をドームに投影する
映像は投影前にデコードする必要があるため、ハードウェアデコーダーを使用してSDI形式に変換した。次に、TouchDesignerを使用して4K x 4Kの半球(ドームの内部にマッピングできる元の8K x 4K球の半分)を再構築した。
マイアミ側は6台のプロジェクターを使用してドームにプロジェクションマッピングした。必要なプロジェクターの数は、ドームのサイズによって異なる。結局、5Gを使用したこともあり、遅延はわずか3秒だった。
Insta360ライブステッチングソフトウェア
Insta360 8Kライブソフトウェアが現在購入可能。 5G VRライブストリーミングテクノロジーと360ライブストリーミングカメラには多くの可能性がある。 360映像は、VRドームだけではなく、VRヘッドセット、スマートフォン、パソコン、タブレットなどにライブストリーミングすることもできる。
Insta360によると、同社の8K Liveソフトウェアは、11K Insta360 Titanからの8つのビデオ映像をステッチングすることもできる。
ダウンロードしたら、Insta360 8K Liveソフトウェアをインストールし、ルーターまたはイーサネットケーブルを使用してInsta360 Pro 2またはTitanをサーバーPCに接続する。映像は8K解像度でリアルタイムに合成され、クラウドに接続されたストリーミングサーバー経由でブロードキャストできるようになる。 8Kでライブストリーミングする場合、フルクオリティのステッチされたビデオファイルを同時にサーバーPCに保存し、後で再生できる。
Insta360 8Kライブソフトウェア–の主な機能。
- 8K(7680×3840)2D @ 30fps
- プロトコル:RTSP、RTMP、RTMPS
- デフォルトのビットレート:80Mbps、最大ビットレートは120Mbps
- 出力:SDI、HDMI
- ダイナミックスティッチング:フレームごとに分析し、ダイナミックアクション中でもシームレススティッチングを保証する独自のアルゴリズム。
- 1つのソフトウェアでステッチとストリーミングを行う。
8Kライブステッチングには強力なコンピューターが必要となる。 Insta360はこのための推奨セットアップを公開している。
- CPU:i7 8700K第8世代以上
- メモリ:16GB以上
- グラフィックカード:デュアルGTX 2080Ti
- OS:Windows 10以降
新型コロナウイルスによる現在の傾向を見ると、あらゆる種類のライブストリーミングが今後加速するだろう。したがって、360 VRコンテンツの需要は、将来的には非常に明るいのではないだろうか。
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