カメラのオーバーヒート対策- パナソニックへのインタビュー
デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラのオーバーヒートと、パナソニックがLUMIXカメラの熱対策にどのように取り組んでいるかについてパナソニックのMathew Frazer氏に話を伺った。
昨今ではカメラの解像度、フレームレート、ビットレートが高くなっており、画像処理のパフォーマンスを向上させる必要があるため、カメラは多量の熱を発生する。パソコンと同様、高性能と引き換えに発生する熱は膨大だ。業務用カメラは通常、この熱処理をファンを組み込むことにより行っている。
しかし小型のミラーレスカメラやDSLRカメラは、熱管理が非常にシビアだ。最近では、キヤノンEOS R5およびR6が導入された直後、オーバーヒートの問題が持ち上がった。 そこでCineDでは、カメラメーカーに直接カメラの熱処理について考えを聞くことにした。今回はパナソニックにインタビューを行った。
カメラの熱対策 - パナソニックの場合
今回は、米国パナソニックのMathew Frazer氏にお話を伺い、同社がLUMIXカメラの熱管理にどのように取り組んでいるかをお聞きした。
Frazer氏は、カメラのオーバーヒートの危険性について言及している。まず第一に、内部が熱くなりすぎると画像に陰影や劣化が見られることがある。記録されたファイルが正しく処理されずにカメラがシャットダウンすることもある。場合によっては、記録したファイルを失なってしまう可能性すらある。Frazer氏は、このようなことはLUMIXカメラでは決して起こらないと述べている。
イメージセンサーとイメージプロセッサーは、最も大きな発熱源だ。この熱処理が重要で、通常はヒートシンクで放熱する。ヒートシンクはカメラのシャーシに接続され、外筐から放熱される。ただし、カメラ本体が熱くなりすぎてユーザーが低温火傷を負わないようにする必要がある。
Frazer氏は、パナソニックLUMIX S1Hが非常にユニークなアプローチを採用していると述べている。背面にアクティブファンを備えているが、完全に耐候性を保っている。LUMIX BGH1(レビューはこちら)にもアクティブな冷却システムが装備されている。
内部RAW記録と発熱
またFrazer氏は、内部RAW記録なら発熱が少ないのではないかという考えは、誤りとも考えている。確かにRAW記録は画像処理を必要としないため、この観点からは、たとえば10ビットのH.264形式よりも発熱が少ない。しかし一方、RAWはビットレートが高く非常に大きなファイルを書き込むため、高い能力が必要となる。
動作温度
定格動作温度に関しては、すべてのLUMIXカメラは0°Cから40°Cの温度で確実に動作することが保証されている。 S1H、S1、GH5などのプロモデルは、-10°Cから40°Cまでのさらに低い温度に対応している。
なお、LUMIX S5では、記録時間は30分に制限されている。この理由は、暑い環境でカメラがオーバーヒートすることを避けるためとのこと。Frazer氏は、パナソニックは動作温度に関して品質保証業界標準に従っているとも述べている。
LUMIX S1Hのレビューとラボテスト、LUMIX S5のレビューとラボテストも参照いただきたい。さらに、BGH1のレビュー記事とラボテストも行っている。