ソニーFX3レビュー
ソニーは「ソニーシネマライン」のニューモデルとしてFX3を発表した。今回はα7SIIIとの比較も交えFX3をレビューした。
先週、ウィーンは寒く、雨も降っていた。ソニーからFX3が届き、中には黒とグレーの小さなカメラが入っていた。そこでこの天候だが、早速FX3を使ってみることにした。「シネマライン」バッジが付けられたカメラなのでその映像には期待できる。
FX3とα7S III
FX3とα7SIIIを比べると、実に興味深い。
センサー、センサーピクセル数、プロセッサー、解像度、コーデック、オートフォーカス性能、タッチスクリーンAF操作、5軸手振れ補正、低照度特性、メニュー構造、CFexpressタイプAおよびSDHCデュアルスロット、ビデオ画質、ハイフレームレート性能、外部レコーダーへの10ビット4:2:2/16ビットRAW信号出力、バリアングルLCD、写真機能はすべてα7S IIIとほぼ同じだ。では、何が新しいのだろうか?
FX3の新機能
「ボックス型カメラ」は最近各メーカーから発売されており、ソニーも例外ではない。しかしα7S IIIと同じ点が多いので、相違点を書き出してみる(順不同)。
- アクティブ冷却システム(簡単に言えば「内部ファン」):ファンを内蔵しており、α7SIIIよりはるかに長い4K / 60p記録が可能。ファンの動作は、カメラメニュー内から制御できる。
残念ながら、4K / 25p(Recでファンオフ)で撮影すると、アラームが点灯した。オフにした理由は、静かな環境での撮影だったため。
このような場合でも、ファンの設定は「最小」にする必要がある。
- EVFが無い:個人的な問題だが、重要な機能が欠けている。EVFがないことは本当に残念なことであり、さらに悪いことに、EVFのアクセサリーも用意されていない。 ソニーには小さなEVF、FDA-EVM1Kがあるが、FX3とは互換性がないと思われる。
- トップハンドルと内蔵のフルオーディオXLR接続: FX3には多くのねじ穴を備えたトップハンドルが同梱されている。また、このハンドルには、2つの標準サイズのXLR入出力コネクタが装備されている。
- ヘッドフォンとマイクの入力ジャック:外部XLRオーディオハンドルがあるが、カメラ本体にもこれらのコネクタが用意されている。FX6にはマイク入力がないので、これは優位な点だ。トップハンドルを外してもオーディオ入力が確保できる。
録音表示:プロでも「録音していると思っているが実際にはそうではないのでは」という心配がある。この録音のリマインダーは、サウンドエンジニアやフォーカスプラーにも便利な機能だ。
S-Cinetone: S-Cinetoneは、もともとソニーのハイエンドシネマカメラのVENICE用に開発されたもので、肌のトーンの心地よいシネマティックなルックを実現するもの。 S-Cinetoneの詳細については、こちらを参照いただきたい。 なおα7S IIIにも2月25日にこの画像プロファイルがサポートされる。
操作性:このカメラは手に心地よくなじんだ。物理的なボタンのレイアウトは論理的だが、「Recボタン」を「シャッターボタン」に割り当てる方法が見つからなかった。直感的には、記録を開始する場合シャッターボタンを押したい。 なおボタン番号6は、Rec On/Offボタンとしても機能し、これは使いやすい。また、カメラの背面にジョグダイヤルがあればいいのだが、総じて大きな不満点ではない。 取り付けポイントに関しては、カメラ本体に5か所の1 / 4-20ネジ穴がある。 また付属のハンドルにさらに3か所ある。これだけあれば、ケージが必要ない場合も多いだろう。ただ、カメラ下部には三脚プレート取り付けポイントが1か所だけしかない。
オートフォーカスと手振れ補正システム
ドキュメンタリー撮影には、これら2つの機能は欠かせない。FX3のAFは非常に信頼性が高く、5軸手ぶれ補正システムは、特に「アクティブモード」を使用している場合、わずかな画像のトリミングがあるものの、非常に有用だ。
FX3はシネマラインの位置付け
FX3はFX6と同様に、ソニーシネマラインに属する。ただ簡単に言えば、このカメラには「シネマ」を示すものは何もない。内部RAW記録、スクイーズ解除モード、または真のアナモフィック撮影とモニタリング用の4:3センサー、内部NDなどがあれば別だが。FX3がソニーのシネマラインに属するカメラであれば、α7S IIIもそこにあってもおかしくはない。マーケティング的な要素があるのかもしれない。
まとめ
どのようなユーザーがターゲットなのかまだ分からないが、FX3はα7S IIIのように、非常によくできたカメラだ。ただ筆者の意見としてEVFがないα7S IIIに400ドル余分に投資する価値は疑問符が付く。もちろんユーザーはそれぞれの撮影スタイルがあるので、ユーザー自身が決めることだが。
ビデオについて
撮影を許可してくれたKaterina Joumanaさんに感謝する。彼女の協力で撮影は5〜6時間で完了した。彼女の活動について詳しくはこちら。
上記のビデオは、FX3、4K / 25p、XAVC S-I 4K、PP11 S-Cinetoneの画像プロファイルで撮影し、Lutify.meでカラー調整している。BGMはEpidemicsoundを使用。