timeinpixelsが2019年から提供しているソフトウェアベースのビデオ計測ツール群OmniScopeが、Version 1.8.0にバージョンアップされた。
「モニターはいらないから、波形とパレードをくれればカラーコレクションができる。」というのは、かつて私が撮影した作品のテレシネに同席していた著名なカラリストが言っていた言葉だが、おおよそ的を射ている。
少し大げさかもしれないが、カラーコレクションにせよ、クリエイティブなグレーディングにせよ、スコープを見て確認することが重要であることは事実だ。モニターや目だけに頼っていては、すぐにトラブルになってしまう。
OmniScopeのSoftware Scopesとは?
カメラやフィールドモニター、レコーダーには、記録された画像の品質を測定するために何らかのスコープが搭載されている。しかし、ポストプロダクションでは、これらはさらに重要となる。ほとんどのNLEにはきちんとしたソフトウェアスコープが内蔵されているが、外部のスコープを使用すると次のような利点がある。
- カラーグレーディング・ワークステーションは、スコープを常に表示する必要がなく、リソースを節約できる。
- ビデオI/Oデバイスからモニターすることで、処理能力やグラフィックカードの設定に影響されず、信号を正確に測定していることを確信できる。
- 外部スコープは、内蔵のものよりも機能が豊富。
- 専用のハードウェア・スコープもあるが、OmniScopeはソフトウェア・アプリケーションで、macOSとWindowsで動作する。
使用法
ビデオ信号をOmniScopeに供給する方法は数多くある。AJAやBlackmagic DesignのハードウェアでNDI、SDI、HDMIを介したビデオファイル、画像ファイル、スクリーンキャプチャーなどだ。しかし、OmniScopeが同じコンピューター上で動作する場合、プラグインでDaVinci Resolve、Premiere Pro、After Effects用のスコープを表示することもできる。
OmniScopeのスコープ
スコープの種類は全部で14種類あり、その中にはRGBParade、YRGBParade、RGBWaveform、Luma Waveform、Vectorscope、Audio Metersなど一般的なものも含まれている。また、「False Colors」や「3D Color Cube」など、色や露出を判断するためのユニークなスコープも用意されている。
すべてのスコープは、ワークスペースに自由に配置することができる。レイアウトは保存でき、作業内容に応じて呼び出すことができる。スコープを一時的に全画面表示にして、作業内容をより詳細に確認する「ソロ」も可能。
また、ヒストグラム表示では、色相の範囲を指定できる。これにより、例えばスキントーンを簡単に分離することができる。
OmniScopeの多くの機能は、Elgato社のStreamDeckコントローラで制御できる。
新機能
最近の1.8.0アップデートでは、timeinpixelsが以下を追加した。
- 新しいソースタイプ。Syphonプラットフォームを使った直接GPU転送。
- macOSでのGPUベースのスクリーンキャプチャー – 超低レイテンシーでCPUパフォーマンスへの影響が少ない。
- ライセンスの詳細を更新し、予定されているオンラインチェックを手動で延期。
- 設定可能なグローバルターゲット – オーバーレイカラーとグラティキュールの厚さ。
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価格と発売時期
OmniScope には 2 つのバージョンがある。フォトバージョンは84.0ユーロで、ソースとして画像ファイルとスクリーンキャプチャのみをサポートし、同時に5つのスコープに制限されている。
プロバージョンは340ユーロで、すべての機能を備えている。1つのライセンスで、同時に3台のマシンで使用することができる。
さらに、第3のバージョンとして「ビデオバージョン」が計画されている。これは「Photo」と「Pro」の間に位置する。Pro版との違いは、DeckLinkやUltraStudioハードウェアによるRGB 4:4:4 12Bitをサポートしていないことのみ。ビデオバージョンの価格はまだ発表されていない。