ドイツのARRは、交換可能な無線モジュールやiOSアプリなどを搭載した、ワイヤレスフォローフォーカスシステム用の次世代ハンドユニット「Hi-5」を発表した。
Hi-5は、高い評価を得た「ARRI WCU-4」(2012年発売)の後継機。ハンドユニット「Preston HU4」と合わせて、ワイヤレスコントロール&フォーカスユニットの最上位機種の位置付け。
ARRIによると、Hi-5は次のような特徴を持っている。
- Hi-performance: 長距離でも安定した受信が可能
- Hi-versatility:無線モジュールを交換して様々な場所で使用可能
- Hi-speed:迅速で効率的なオンセットシステム
- Hi-tech: 将来性のあるハードウェアおよびソフトウェアアーキテクチャ
- Hi-reliability: 堅牢性、耐候性、長いバッテリー持続時間
ARRI Hi-5 ハンドユニット
これは第5世代のECS(Electronic Control System)の一部でもある。既に実績のあるデザインのため、フォームファクターはWCU-4からあまり変わっていない。外観で注目すべき変更点は、ユニット上部にモニターやその他のアクセサリーを取り付けるためのNatoレールが付いたこと。
従来のハンドユニットと同様に、Hi-5からALEXA Mini LFなどのARRIカメラをコントロールすることができるが、受信機やアダプターの追加は必要ない。またソニーやREDなど、ARRI以外のカメラもコントロールできる。
ユーザーインターフェースはALEXA Mini LFのものに近いため、非常に直感的で使いやすいものになっている。
また、ARRI ECS Sync Appを使用することで、iOSデバイス上でレンズファイルやソフトウェアのアップデートを管理することができる。
スワップ可能な無線モジュール
最大の特徴は、スワップ可能な無線モジュールの導入だ。全ての撮影場所に対応するには、1つの帯域だけに頼ることは困難だ。2.4GHzは多くのメーカーで採用されているが、Wi-FiやBluetooth、電子レンジなどの波長でもあり、かなり混雑した周波数帯だ。新しいHi-5では、複数のモジュールを切り替えて使用することができる。
ARRIは3つの無線モジュールをリリースしている。2番目は2.4GHz帯で、ダイレクトシーケンス技術(単一周波数)を採用したRF-EMIPと、周波数ホッピングスペクトラム拡散技術を採用したRF-2400がある。3番目は900MHz帯で、周波数規制のため米国とカナダでのみ使用可能だ。将来可能なモジュールはプラグインできるので完全な後方互換性がある。
Hi-5は、WCU-4でサポートされているすべての製品と互換性がある。また、ARRI ECSファミリーの新製品も増えてくると思われる。
また、頑丈な密閉型の耐候性・防塵性ハウジングで高い信頼性がある。
スマートフォーカスリング
装着するとHi-5ハンドユニットと通信する、スマート・プレマーク・フォーカス・リングも新たに採用した。これにより、レンズのキャリブレーションと取り付けが正しく行われていれば、レンズを通して距離を測り、別々のフォーカスリングに印をつける必要がない。
また、コンデンサーを内蔵しているため、Hi-5本体の電源を切らずにバッテリーのホットスワップが可能だ。使用するバッテリーは、ソニーのNP-F550タイプ。ARRIはこのタイプの独自のバッテリー「ARRI LBP-3500」を販売し、1個95ユーロで販売する予定。
そして、最後に、テールスレートモードがある。これは、テールスレートを必要とするショットにおいて、オペレーターがテールスレートを撮影する前に録画を停止することを防ぐもの。2回目の確認動作が必要な「Are you sure? 」と聞かれる。テールスレートを忘れてしまうことが多く、簡単な機能だが役に立つ機能だ。
価格と発売時期
ハンドユニット「Hi-5」は、今週中に予約が可能で、8月末に出荷を開始する予定。価格については未定だが、WCU-4ハンドユニットで提示していた8000ドルに近い価格になると思われる。
もちろん、Tiltaなどの製品よりもかなり高いが、ARRIは「市場で最も洗練されたハンドユニット」になると述べており、交換可能な無線モジュールのことを考えると、長期的な投資としては価値があるだろう。
ARRI Hi-5についての詳細は、こちらのARRIのウェブサイトをご覧いただきたい。