カラーマネジメントという言葉は、今や映像制作者なら誰でも聞いたことがあるだろう。しかし、その内部構造を本当に理解している人はほとんどいないし、そのようなワークフローを必ず実装する必要性もない。そんな私たちのために、Netflixがカラーマネジメントのワークフローの基本を7分でわかりやすく解説したビデオを公開した。
現代の映画制作者は、カラースペース、ログフォーマット、LUT、ACES、REC.709、カラーマネージドワークフロー、HDRなど、無数の専門的な(そしてかなり技術的な)用語に対処しなければならない。これらの用語はすべて聞き覚えがあり、これらの用語はすべて、ある共通のもの:色に関連している。より具体的に言うと、これらはすべて、映画制作者が撮影現場で見ているものを、観客がテレビやタブレット、映画館で見るものとまったく同じに見せるにはどうしたらよいかという問題を中心に展開されている。
カラーマネジメントを理解する
最近のカメラは、画像の忠実度、ダイナミックレンジともに圧倒的なクオリティの画像を撮影できるようになったことは素晴らしいことだ。しかし、撮影した映像を表示するためのスクリーンは、ほとんどの場合、高忠実度とダイナミックレンジを処理できないため、それぞれのデバイスで映像が異なって見えてしまう。
つまり、撮影された映像は、多くの人の手、部署、ワークステーションを経て、最終的な映像として納品されなければならないという問題に直面している。また、プロ用、民生用を問わず、ディスプレイごとに映像信号の処理方法が微妙に異なるため、ポストプロダクション・パイプラインの最終段階で得られる結果は予測不可能なものとなる。
あるタイムラインをカラーグレーディングするとき、作業中のディスプレイが視聴者のさまざまなデバイスやテレビとまったく同じように色を処理していると、どうすれば確認できるだろうか。この例では、ディスプレイを参照するワークフローについて話しているのであって、基礎となる映像の取得方法はまったく考慮されていない。重要なのは、あなたが今使っているディスプレイの種類だけなのだ。
これに対して、カラーマネジメントされたワークフローでは、ディスプレイの種類に依存するのではなく、そもそもカメラが撮影したいわゆるシーンデータを利用することになる。ここでの専門用語は、シーンリファードステート(scene-referred state)だ。
カメラでは、撮影した各シーンを色忠実度やダイナミックレンジの観点から最大限に活用するために、このシーンリファードステートをキャプチャするログ形式がよく使われる。ご存知のように、キヤノンのC-Log 2やソニーのS-Log 3などのログフォーマットは、非常にくすんで平坦な印象だ。それは、これらのフォーマットが人間の目に美しく映るためではなく、できるだけ多くの情報を保存するのが目的だからだ。
その日の主要な撮影が終わると、対数変換された映像を作業用色空間と呼ばれるものに変換する必要がある。これにより、各部署で映像を共有し、見栄えを確認することが容易になる。この作業用色空間は、カラーグレーディングアーティスト、VFXアーティスト、エディターなどのニーズに合わせて、再び変換され、あらゆるモニターやプロジェクターで映像を見ることができる。
ACES
ポストプロダクションが完了し、すべてが整えば、最終的なタイムライン(複数可)は、配信したい形式に簡単に変換することができる。REC.709、DCI-P3など、あらゆるフォーマットに変換できる。ポストプロダクションの段階で、できるだけ色の忠実度とダイナミックレンジを維持しながら、撮影時に意図した通りの色を再現することが重要なのだ。このようなワークフローの設定には、新しいACES(Academy Color Encoding System)フレームワークが良い出発点となる。
また、DaVinci Resolveベースのカラーグレーディングパイプラインに前述のACESフレームワークを実装する方法について、より実践的なアプローチを提供してくれるCullen Kelly氏のビデオもチェックする価値がある。
パート2とパート3では、DaVinci Resolveでのカラーマネージドワークフローのコンセプトと実装について、さらに深く掘り下げる。
もちろん、すべての人がカラーマネジメントやACESをわざわざ使う必要はない。しかし、複数の部門からなるチームで作業している場合や、異なるカメラの映像を扱う場合、ポストプロダクションワークフローにカラーマネージメントパイプラインを導入することは、検討する価値があるだろう。
Links: Netflix Partner Help Center
featured image credit: Setyaki Irham on Unsplash