キヤノンは多数の新しいカメラを発表した。2つのプロフェッショナル向け1/2.3″CMOSカムコーダーと2つの1″CMOSカムコーダー、そしてそれぞれ15倍と20倍ズームを特徴とするエンスージアストモデルがある。さらに、ハイエンドのPTZ放送用カメラも発売された。すべてのカメラが4k UHDとFull-HDを記録できる。
ミラーレスカメラの進化が続いているが、カムコーダーも進化している。
特にジャーナリズムや大規模な組織でカメラ機材を共有する場合、カムコーダーのボディは標準化されており、特定のブランドのものを使用したことがあれば、新機種でもすぐに使うことができる。今回キヤノンは新しいカムコーダーを発売した。
XA60/XA65, XA70/75
キヤノンの5つの新しい4kカムコーダーは、実際にはプロフェッショナル向けの姉妹カムコーダーとプロシューマー市場向けのカムコーダーの2組だ。プロ用カムコーダーはすべてDIGIC DV6 CMOSセンサーを搭載し、XA60/65は1/2.3″、XA70/XA75は1″を使用している。
XA60/65の小さいセンサーサイズは、20倍の光学ズームおよび40倍のデジタルズームを可能で、XA70/XA75は15倍の光学ズームおよび40倍のデジタルズームが可能だ。4つともオーバーサンプリングによる4k UHDとフルHDの記録、デュアルXLR入力、赤外線撮影とUSB-CでのUVCストリーミングに対応している。
XA65とXA75は、姉妹機のHDMI出力に加え、3G SDI出力が追加されている。また、XA70/XA75はキヤノンが誇る顔追尾のDUAL PIXEL AFを搭載し、5軸手ぶれ補正も搭載している。コーデックは、XF-AVC 4K UHD 160Mbps/25Pと、よりコンパクトなMP4 4K UHD 150Mbps/25Pが使用できる。
カスタムピクチャーメニューは、他のキヤノン製カメラとのマルチカメラで使用しながら、カラーマッチングを可能にしている。3.5型の大型タッチパネル液晶モニターと高解像度の眼視式EVFは、ゼロから設計し直されたものだ。
主な特長は以下の通り。
XA75/XA70:
- 1インチタイプCMOSセンサーとDIGIC DV6プロセッサーによる4K UHD記録対応
- 光学15倍ズーム、デジタル40倍ズーム
- 5軸手ぶれ補正
- DUALピクセルCMOS AF、顔追尾機能搭載
- デュアルXLR音声入力、4ch音声記録可能
- 赤外線撮影対応
- USBビデオクラス(UVC)ストリーミング
- 3G-SDI(XA75のみ)、HDMI出力対応
XA65/XA60
- 1/2.3インチタイプCMOSセンサーとDIGIC DV6プロセッサーで4K UHD記録可能
- 光学20倍ズーム、デジタル40倍ズーム
- 4ch音声記録可能なデュアルXLR音声入力
- 赤外線撮影対応
- USBビデオクラス(UVC)ストリーミング
- 3G-SDI(XA65のみ)、HDMI出力対応
LEGRIA HF G70
5つの新しい4kカムコーダーのひとつは、プロシューマー向けのLEGRIA HF G70だ。センサーサイズはXA65/XA60と同じ1/2.3″で、フルHDをオーバーサンプリングした4k UHD収録が特徴。レンズは光学20倍ズーム対応で、Hybrid-AFやストリーミング用USB出力を搭載している。
HDMI出力も装備している。キヤノンはこのカムコーダーを多機能プロシューマーモデルと位置づけ、ユーザーがウェブコンテンツや高画質ビデオを作るのと同じように、映像制作への参入をサポートすることを目的としている。主な特徴は以下の通り。
Vixia HF G70:
- 4K UHD 1/2.3型CMOSセンサー搭載
- オーバーサンプリングハイビジョン処理
- 高画質20倍ズームレンズ
- ストリーミング用USB-C出力
- HDMI出力
- ハイブリッドAF
- ナイトモード、オーディオシーンモードなどのシーンモード
- オンスクリーンディスプレイ録画
PTZ CR-N700
これはまったく別の製品となる。キヤノンのPTZ(パンチルトズーム)カメラは、コンパクトな筐体にロボット制御のカムコーダーを搭載し、ある種の自動化や遠隔操作に適していると考えることができる。特にCR-Nラインは、マルチカメラによるTVや放送、演奏やイベントの記録、CR-Xラインは、よりハイエンドな監視やストリーミングに適していると思われる。キヤノンは、CR-N300、CR-N500に続くハイエンドPTZカメラとして、新たにCR-N700を発売した。
CR-N700は1.0″DIGIC DV7 CMOSセンサーを搭載し、最大4k UHD 60p 4:2:2 10bitに対応、その画質をIPでストリーミングすることも可能だ。レンズは4kで光学15倍ズーム、フルHDで30倍ズームを実現。ナイトモードを搭載し、IRカットフィルターを内蔵し、HLGとPQのHDRフォーマットを搭載しているため、より高品質な低照度撮影が可能となっている。
また、PTZ「CR-N700」は、EOSのハイエンドモデルで知られる「EOS iTR AF X」を搭載したキヤノンの「デュアルピクセルAF」を搭載している。これにより、被写体の瞳にロックし、被写体が振り向いた場合でも追尾し続けることができるほか、特定の被写体をアンカーとして設定し、優先的に撮影することも可能だ。他のカメラとマルチカメラ撮影を行う場合では、CLog 3やワイドダイナミックレンジの画像設定により、他のキヤノン製カメラとマッチングさせることが可能。
PTZ CR-N700のようなカメラは、その接続性とリモートコントロールの機能が重要だ。プロトコルの面では、NDI|HX, SRT, FreeD, RTMP(S), RTP, RTSP, 標準通信プロトコル & Canon XCなどのプロトコルをサポートしている。
ハードウェア面では、標準的な12G SDI出力と3G-SDI、HDMIまたはIP(PoE++)、デュアルXLRオーディオ、GEN-LOCKがある。また、CR-N700では、フレーム内の関心領域を選択することで、フルHDのセカンダリーストリームを作成し、同時にキャプチャすることも可能だ。
操作性については、キヤノンのコントローラー「RC-IP100」、キヤノンのソフトウェアコントローラー、およびサードパーティーのコントローラーのいずれにも対応している。最大0.1°/秒の低速かつ正確な動きが可能で、シネマティックな撮影を実現する。
主な機能は以下の通り。
CR-N700:
- 1.0型CMOSセンサー、DIGIC DV7プロセッサー搭載、4K60P 4:2:2 10bit対応
- 光学15倍ズーム(アドバンスト・ズーム30倍)
- iTR AF XによるデュアルピクセルAF
- NDI|HX, SRT, FreeD, RTMP(S), RTP, RTSP, 標準通信プロトコル & Canon XCなど複数のプロトコルをサポート
- 12G-SDI、3G-SDI、HDMIおよびIP(PoE++)出力
- 0.1°/秒の動作
- デュアルXLRオーディオ
- GEN-LOCK
- 他のキヤノン製カメラとのカラーマッチングを可能にするCLog 3
この新しいPTZカメラと、本日発売されたキヤノンの5つの新しい4kカムコーダーなどの製品で、キヤノンは放送局用カムコーダーを更新した。また、本日発売された他の製品も含め、さらなる展開が期待される。
Link: Canon website