「iPhoneで撮影」というムーブメントは、最近ある種のギミックになってきている。『28年後』がiPhoneで 撮影さ れたにもかかわらず、他の多くの映画よりも巨大なリグとレンズを使用しているということを聞いたことがあるだろう。予算が数百万ドルになると、iPhoneで映画を撮影する利点は少なくなる。しかし、映画撮影用のスマートフォン装備で知られるビーストグリップは最近、iPhoneで撮影されたショートフィルムを発表した。Beastgripの新しいDOFアダプター「Фoton（フォトン）」を使っている。
「O₂」 – アナモフィックシネマレンズを使ってiPhoneで撮影されたショートフィルム
スタニスラフ・カプラロフが脚本・監督、ユージン・ウサノフが撮影を担当したショートフィルム『O₂』は以下で見ることができる。このショートフィルムでは、Atlas MercuryシリーズのアナモフィックシネマレンズとiPhone 15 Pro Max、そしてレンズをiPhoneに取り付けるためのBeastgripФotonアダプターが使用されている。
ビーストグリップのФotonアダプターがなければ難しかったことが、非常に簡単にできるようになった。DPのユージン・ウサノフは、「Beastgrip DOFアダプターのおかげで、アトラスのアナモフィックレンズを使うことができた。iPhoneのダイナミックレンジと低照度性能に対する懸念にもかかわらず、Apple ProRes Logは期待以上のものだった。アトラスのレンズと組み合わせると、まるでシネマカメラで撮影したような映像になる。物理学を覆すような感覚だった」と述べている。
この短編映画制作では、iPhone 15 Pro Maxのボディ、Atlas Mercuryシリーズのアナモフィックレンズ、そしてベースとしてBeastgrip Фotonが使用された。
なぜわざわざiPhoneで撮影するのか？
iPhoneやその他のモバイルデバイスで撮影されたと聞いたとき、私が最初にする質問は「 なぜ？」だ。冒頭で述べたように、iPhoneで撮影することの潜在的な利点は、ある程度予算がある場合には通用しないと思う。高級レストランに行ってマクドナルドのハンバーガーを注文するようなものだ。なぜそんなことをするのか？
iPhoneやAndroid端末で何かを撮影できることの魅力は、それらが広く出回っていることだ。ほとんどの人がスマートフォンを持っている。つまり、iPhoneを持っていて映像クリエイターになりたいと思えば、撮影を始めることができるということだ。「プロの」シネマカメラ機材に投資することなく、スキルを磨き、教訓を学ぶことができる。しかし、長編映画をiPhoneで撮影し、数万ドル相当の機材を追加するとなると、帽子に帽子をかぶせるようなものだ。
アップルがiPhoneで映画を撮ることを映画監督に依頼し、それが可能であることを証明するのは目に見えている。有名な話だが、スティーブン・ソダーバーグは『Unsane』（2018年）と『High Flying Bird』（2019年）の2作品を（少なくとも）iPhoneで撮影している。広く批評家の称賛を浴びた映画『タンジェリン』（2015年）もiPhoneを使って撮影された。これは間違いなく、映画制作を志す者にとって刺激的なことであり、最小限の機材で映画が制作できることを示している。この「iPhoneで撮影」というムーブメントは、現時点では新しいものでもニッチなものでもない。
Beastgripと「O₂」に話を戻そう
では、なぜわざわざiPhoneで撮影するのか？この場合、理由は明白だ。私はポイントを作るために、このようなことを並べたのだ。私の考えでは、『O₂』は正しいiPhone映画制作だ。ギミックでもスタントでもない、純粋な映画制作だ。予算がほとんどない中、映画監督のスタニスラフ・カプラロフは、iPhoneでストーリーを語るためにBeastgrip Фotonを使用したが、それが視覚的にどのようにスクリーンに反映されるのか確信が持てなかった。カプラロフは、「私はO₂に真の映画的な雰囲気を持たせたかった。ビジュアルディレクターである私は、この新しいDOFアダプターでAtlasレンズを使用した結果を見るのが楽しみだった。」と述べている。
確かに、iPhoneでAtlasレンズを使うのは、バズーカで蚊を狙うようなものだ。しかし、カパルロフは言っている。「この映画の最終的なルックがそれを物語っていると信じている」。iPhoneを使用し、Beastgripの新しいアダプターシステムとレンズに投資して映画制作を行うというのは素晴らしいソリューションだ。
詳しくは、ビーストグリップのウェブサイトをご覧ください。
