キヤノンは先週、3本の新しいハイブリッドレンズを発表した。70-200mm F2.8、24mm F1.4、50mm F1.4の3本で、既存の24-105mm F2.8と35mm F1.4に加え、キヤノンのハイブリッドレンズ専用ラインアップは、プロフェッショナルなスチル写真と動画の両方を対象としている。他のメーカーがすでにハイブリッドレンズを発売しているため、キヤノンはこの流れに遅れているかもしれないが、キヤノンが遅れて参入するのは初めてではないだろう。
最新の発表で、キヤノンはハイブリッド革命の先駆者としての極めて重要な位置に立ち戻った。2008年9月、キヤノンは5D Mark IIを発表した。2100万画素のフルフレームCMOSセンサーを搭載し、堅牢かつ比較的コンパクトなボディ、そして印象的なISO性能を持つこのカメラは、プロの静止画撮影用に調整されていた。しかし、そのメニューの奥深くには、進化の卵があった。
動画用のカメラとしての一眼レフ
キヤノンの5D Mark IIは、動画機能を搭載した最初のデジタル一眼レフカメラではない(ニコンのD90に次いで2位)。それでも、ビデオ、シネ、映画制作ツールとしてプロに使用された最初のハイブリッドカメラだ。巨大なセンサー、交換可能なレンズ、(当時のS35カメラと比較して)非常に安価な価格という組み合わせにより、5D Mk IIは人気を集めた。多くの映画制作者が、信じられないほど浅い被写界深度を活用し(私もその一人だ)、新しい映像表現を楽しんだ。
動画機能の停滞
しかしその後、キヤノンは新しい市場を澪失ったように見えた。動画要としてCラインが用意されたがかなり高価格であり、このセグメンテーションはしばらくの間、EOSカメラから動画の機能を停滞させた。このセグメンテーションは、同社がミラーレス一眼に参入した際にも残っていたが、その後劇的に変化した。キヤノンのミラーレスの第2世代と第3世代は、動画機能が非常に向上している。
レンズのハイブリッド化
EOS R3、EOS R1、EOS R5 Mk IIのようなカメラは、高速読み出しの積層型CMOSセンサー、大容量メディア、様々なコーデックやフォーマットによって強化された、最も進化した動画機能を備えている。キヤノンのハイエンドハイブリッドカメラとシネカメララインを映像仕様だけで区別するのは難しいだろう。そして今、RFマウントがシネカメラのラインを引き継ぎ、次のステップに進もうとしている。
ハイブリッド光学系
キヤノンは、最新のハイブリッドレンズラインで、自社のシネラインや、パナソニック、シグマ、サムヤン、ソニーなどのレンズの後発だが、他を真似るのではなく、光学系とカメラ、スチル、シネにおける豊富な経験を加え、独自の新しい方式を生み出した。
ズームとプライムは、シネとスチルどちらのワークフローでも妥協することなく、ほとんどのメインストリームをカバーする。フォーカスは高速かつスムーズで、クリック感のないアイリスリングと、クリック感のあるファンクションリングがあり、両方のズームレンズにパワーズーム用のギアリングが施されている。光学レベルではフォーカスブリージングが抑制されているため、クロップは必要なく、視覚的な一貫性も確保されている。
More than polished glass
他のシネレンズラインナップと同様に、キヤノンのハイブリッドラインは、操作性、ワークフロー、手持ちでの使用例を重視している。レンズは物理的に一貫しているため、ジンバルバランスを取り直す必要が無い。また、フルオートフォーカスや小型軽量であることなどは、ハイエンドシネカメラにもハイブリッドカメラの利点をもたらすだろう。(レンズの詳細記事はこちら)
今後の方向
もしキヤノンがもっと早い段階でセグメンテーションを見直していたらどうなっていただろうか。我々の想像を絶する形で業界のカタチが変わっていたかもしれない。現実には、キヤノンは現在カメラとレンズのハイブリッドラインを提供し、この流れはますます加速するだろう。