ニコンD5レビュー – 実使用でのファーストインプレッション
ニコンは2016年1月にD5とD500の二機種を発表し、販売が開始されている。折しもキヤノンがEOS 1D MarkIIを発表し、面白くなってきた。今回はD5をフィールドに持ち出して、実際にドキュメンタリーを作ってみた。
ところで、私にとってニコンには思い入れがある、D90を使っていたのだが、それはかなりお気に入りのカメラだった。このD5はどうだろうか?
長い間、ビデオ撮影用としてのDSLRで、ニコンはキヤノンの後塵を拝していた。その後、モアレやエリアシングが極めて少ない高画質なHDビデオ機能を実現し、ビデオ機能も前面に出すようになった。そして、いよいよ4Kの時代になったが、ニコンが培ってきたビデオクオリティを考えると、4K UHDの画質もかなり期待できる。
では画質と機能性の両面から、それぞれ見てみよう。
結果から言うと、4K UHD画質は、十分期待を裏切らないものだった。125MbpsのH264 MOVフォーマットで記録されるが、ニコンの画質にはいつも何か特別な美しさがあるように思う。ただ、操作性にはまだ改良の余地がある。例えば、両手を使わないとできない操作が結構ある。(例えばフォーカスを合わせる場合の拡大表示だ) ボタンのアサインも限られているし、記録開始後は拡大表示してフォーカスを確認することができない。ビデオ部門を持たないニコンなのだから、ビデオ部門に遠慮することなく、ビデオユーザーにフレンドリーなDSLRを作ってもらいたいものだ。
冒頭のビデオはドキュメンタリー風に撮ってみたが、D5にはもっとお膳立てされたフィールドの方が向いているかもしれない。その一つの理由が、適切なオートフォーカスが難しいことだ。フォーカスするまでが遅いのと、信頼性に劣るのである。タッチスクリーンでフォーカスポイントを指定することができるのだが、シャッターボタンを半押ししていなければならない。更に、意図しないポイントにフォーカスすることもある。ジンバルに乗せて使うのは、ちょっと厳しいかもしれない。むしろ見やすいLCDモニターを生かして、マニュアルでフォーカシングするほうが確かだ。撮影ではKinotechnik LCDVFを装着したが、ピンポイントのフォーカシングも問題なくできた。
使って見て感じたプロスコンスを書き出してみる。(順不同)
強み
- 125Mbpsの高画質な4K UHD画質
- 高ISOでもクリーンな映像。ISO6400では全く問題なく、それ以上の高ISO域では多少ノイズが出るが、十分使用に耐え
- フラットピクチャープロファイルのフラットモード(フラットモードで撮影時は少し違和感があったが、LUTを当てると問題なかった)
- CFカードとXQDカード選択可能
- アサインボタンによって、スムースなレンズのアパ―チャーコントトールが可能
- ゼブラパターンに相当する“ハイライトプロテクション”機能(数値設定はできない)
- タイムラプス機能(今回はテストしていない)
- RECボタンが複数ある
- FX(フルフレーム)、DX(クロップ)、x3.0モードが瞬時に切り替えられるボタンアサイン機能
- 4K UHD内部記録と外部出力が同時に可能
- 長いバッテリー持続時間
- ヘッドフォンジャックとマイク入力ジャック
- 記録中もオーディオレベル可変
- 各種解像度選択と4K/30pまでのフレームレート選択
弱点
- 連続記録時間は3分まで
- ダイナミックレンジは10Stop止まり(近くラボでテストを予定)
- デュアルカードスロットはフォト撮影時のみ
- HDモードでは低ビットレート(21Mbps)
- ピーキング機能が無い
- ボタンアサイン機能が不十分
- 4K記録時はAPS-Cサイズにクロップされる
- 外部マイク使用時の音質に厚みがない
- 記録モード時はヘッドフォンの音量を変更できない
- 記録モード時は拡大フォーカスができない
- “Lvムービーモード”では解像度とフレームレートの変更ができない(一度フォトモードに行ってLvを設定し、ビデオモードに切り替える必要がある)
- タッチスクリーンでフォーカスポイントを指定できるが、信頼性が薄い
- ローリングシャッター現象が大きい(ソニーα7シリーズと同じ程度)
まとめ
D5は本当に美しい映像を撮れるのだが、4K UHDの連続記録時間が3分と言うのは厳しい。また、操作性に関しても、使いやすいとは言えない。D500が同じレベルの画質で、D5よりも長時間の連続記録ができることを期待したい。D500はD5よりもかなり安価なので、これらが実現できれば、一躍4K UHDが撮れるDSLRのスタンダードになるだろう。
ビデオ撮影データ
4K (UHD)/25p modeで収録. ピクチャープロファイル:FL / ISO設定: 100 (outdoor) to 1600 (Indoor). カメラ本体でオーディオ収録. Adobe Premiere CCで編集、 FilmConvert D800 profileでカラーコレクション.
Music supplied by Art-List. Tracks: Everyone’s Here by Alon Ohana – The Band Is Back, Spark For Love (Instrumental) by Elvis D Preacher, Likes by Lady Lane
A special thank you to Karin, Jannah and Daniel for participating in this video. Click here to learn more about their Immerland project