今やジンバルは多くのメーカーから多種多様なものが発売されている。スマートフォン用、GoPro用、DSLR用、そしてREDやAlexa Miniのようなシネマカメラ用まで揃っている。B&Hでは実に30を超すジンバルが販売されている。さて、今回紹介するZhiym-TechのCreneジンバルはどのような特徴を持っているのだろうか。
ZhiyunのCraneは1.2Kgまでのカメラを登載でき、ミラーレスカメラやDSLRに最適だ。(最新のファームウエアにより、1.8Kgまでの耐荷重となっている) このジンバルはブラシレスモーターで動作し、360°の回転が可能。コントロールはトグル形状のボタンで行う。次の3つのオペレーションモードがある。
- パン/フォローモード
- ロックモード
- パン/チルトフォローモード
今回はソニーのα7Sとメタボーンアダプタを介して、タムロンの17-50mm F2.8の組み合わせで使っている。純正のEマウントレンズが無いのでアダプターを介してレンズをマウントしているが、その重さの分、多少動きに影響を及ぼしているが、レンズの手振れ補正が安定した映像に貢献している。
セットアップと機器構成
Craneは専用のハードケースに入っている。バランスは極めて簡単に短時間で調整することができるが、自分が所有している他のジンバルよりも簡単だった。もちろんちょっとしたバランス調整は必要だが、特別なツールは必要ない。実に数分で使用可能となる。バランス調整で気付いたのだが、モーターはロックされていないので、カメラを乗せるプレートがぐるぐる動いてしまうのだ。これはセットアップの時間を無駄に長くすることになり、いただけない。その他の部分については問題なかった。
操作性
この手のジンバルは過去にもいろいろ使っているので、特に使い方、あるいは撮影の仕方について戸惑うことはなかったが、やはり自然とジンバルに合わせた歩き方になっている。ただ、重いレンズになると難しいかもしれない。以前使用したソニーの16-50mm F3.5-5.6は数百グラムしかなく、しかもOSS搭載だったので、結果は上々だった。同じくソニーの10-18mm F4も、ジンバルでの使用に適した1本と言える。
移動しながらの撮影は、極めてスムースだ。ジンバルは素早く立ち上がるし、すぐに撮影を始めることができる。Craneはスタンダードモード(カメラが上位置)とインバーテッドモード(カメラが下位置)で使うことができる。後者の使い方をしたことは無いが、デュアルハンドルで下位置からの撮影では理想的ではないかと思う。いずれにせよ、これだけ短時間のセットアップで撮影が始められるのは驚きに値する。
撮影した映像(全て50p)を再生してみると、細かい揺れが見られた。ほとんどが、歩いているときの上下動だ。Premiereのワープスタビライザーを使えば取り除けそうではある。Craneの問題点は、ジンバルのモーターがカメラのモニターの前にあり、モニターが見づらい点だ。ただ多くのジンバルと異なり、カメラの左側にあるHDMIポートが使えるので、軽くてしなやかなHDMIケーブルを使って外部モニターに出力すれば一応解決する。
ただ、もっと大きな問題点がある。それはクイックリリースプレートが無いことだ。従って、ジンバルから三脚に乗せ換える場合や、その逆の場合、素早く行えないのだ。三脚からカメラを外し、プレートを外し、多くの場合レンズも交換し、ジンバルにカメラをネジでマウントし、バランスを取り直し、電源を入れるまで、ゆうに5分はかかるだろう。自分は、そのため、ジンバル専用のカメラを取り付けたままにしている。
撮影の結果は?
25pで撮った場合、重いレンズということもあり、細かい揺れは顕著だった。50pではカメラの手振れ補正無しでも、幾つかのショットは使えるレベルだった。他のジンバルならカメラの手振れ補正も必要かもしれない。
Craneで撮ったショットを見てみると、動きがスムースで、映像に新たな価値を付加することだろう。
価格とアクセサリー
Craneは649ドルと、このレンジのジンバルにしては手頃な価格だ。アクセサリーでは、デュアルハンドルが用意されており、これは両手で持つことにより重量が分散される。また、Bluetoothリモートコントロールはパンとチルトをワイヤレスでコントロールできる。
まとめ
ZhiyunのCraneはミラーレスカメラと、アダプター無しで直接マウントできるレンズの組み合わせで使うなら、なかなか良いジンバルだ。セットアップが短時間でできるのが良い点で、安価なことも評価できる。組立ての品質やモーターの反応、あるいはオペレーションが容易な点など、使っていると良さが分かってくる。幾つか改善して欲しい点はあるが、使って見る価値は十分あるだろう。
ZhiyunのWebサイトはこちら