2015年の発表以来長らく発売を待たれていたRODE RoadLink Newsshooter Kitが数週間前に発売された。よく使われているRoadLink Filmmaker Kitの姉妹品で、これを引き継ぎ、多くの機能を持つ。
ENG取材をワンマンで行う記者が望むのは、柔軟性である。オーディオに関しては、ライブで流されるニュースの音声を撮らなければならないうえ、突然の予定の変更や、急なインタビューにも対応しなければならない。これらそれぞれの状況は皆違ったもので、それぞれに対応する機材が必要になる。即ち、全てに対応するためには多くの機材を持ち歩かなければならないのだ。RødeLink Newsshooter Kitはこのような状況を解決してくれるもので、それゆえ昨年の発表から長らく待たれていた。
RødeLink Newsshooter Kitのレシーバー(RX)は既に発売されているFilmmaker Kitのものと同じものだが、トランスミッター(TX)はXLRと3.5mm入力が可能となっている。即ち、ハンドヘルドのポータブルマイクとラべリアマイク両方に対応でき、必要に応じて使い分けられるわけで、それぞれにTXを用意する必要が無くなる。
XLRはファントム電源供給が可能だが、3.5mmジャックもプラグインパワーが可能。ショットガンなどのコンデンサーマイクには最適だし、ブームマイクでXLRケーブルをぶら下げる必要もなくなる。ニュース取材だけでなく、ブームマイクを使用する現場でも非常に便利なのだ。
RødeLink Newsshooter Kitのもう一つの特徴は、TXに3.5mmのヘッドフォンジャックが付いている点。これでレポーターは取材中の音声をモニターすることができる。
自分はこれまでもFilmmaker Kitを使っており、音質の良さは確認済みだ。2.4GHzのデジタル送信技術を使っており、全世界で、周波数制限などの問題に悩まされることなくRødeLink systemを使用できる。理論的には、この技術は、Wi-Fiなどが飛び交う街中などではドロップアウトを発生する可能性があるが、今までのところ問題が発生したことは無い。システムが自動的に最良のコンディションの周波数帯を見つけ、そちらに移動してくれるのだ。
RødeLink Newsshooter Kitは高音質であり、送信距離は約100mといったことのみならず、マイクロUSBで電源供給ができるという点に対してもFilmmaker Kit同様、高い評価を与えたい。ソニーのNP-Fバッテリーと単3電池からTXに電源供給できる。
ただ、残念ながらNewsshooter Kitは大きな問題点も引き継いでいる。それは大きさと不格好な形状だ。ユニットはプラスチック製で、競合製品より幾分大きい。大きな問題と言うわけではないが、金属製の方が信頼性は高いように思える。
もっとも、TXユニットのコーナーにはゴムの緩衝材が付けられているので、それほど心配することもないのかもしれないが。よほど心配ならTX用にレザーケースも用意されているので、これを装着しておくと良いだろう。しかし、この大きさはなんともいただけない。
このカバーにはひとつ言いたいことがある。と言うのはFilmmaker KitのTXの本体には付属していたが、Newsshooter Kitには付属していないようだったので、ベルトへの取り付けをどうするのかと思っていたのだ。しかし、実際には付属していたのでうれしい誤算だったのだが、ちょっとした問題があった。ベルトに装着すると、3.5mmジャックが下に来てしまうのだ。即ち、ラべリアマイクのケーブルは長いものが必要になる。短いケーブルのラべリアの場合は届かないので、ベルト装着時はマイクジャックが上に来るようにすべきだろう。
全体的にはRødeLink Newsshooter Kitはお勧めできる製品だ。実にスマートな製品と言うわけではないが、プレスカンファレンスのような場合に限らず、ほぼどのような状況でもワイヤレスでマイクを使える柔軟さは特筆できる。音質、電源供給、信頼性、そして価格の面からも競争力が高く、ワンマン取材の強い味方となる製品と言える。
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