ディスプレイ技術は、長年にわたりカメラ技術に追い付かず、映像制作者が創造性を発揮する妨げとなってきた。今日やっと、HDR TVとHLGのおかげでその制限が無くなりつつある。
HDR (11 stops) vs SDR (6 stops)
まず最初に、HDRについて確認しておこう。 HDR(High Dynamic Range)とは、より広い輝度とコントラスト範囲を表示できることを意味する。 HDRディスプレイは、Rec.709のSDR(Standard Dynamic Range)の通常のテレビと比較して、最大10倍の明るさを表示できる。
HDRディスプレイでは、すべてが明るく表示されるわけではない。たとえば、白い紙は純粋な白として表示されるが、直接光のみ適切なHDRディスプレイで明るく表示される。
Rec.709のテレビ(SDR)は、5-6ストップだけで表現しているが、人の肌の色合いなど、白と黒の間にある色の被写体を表現するには、これで事足りている。
HDRに関しては、カメラはテレビよりはるかに進んでいる
一方、カメラはかなり以前から6ストップをはるかに超える範囲で収録することができている。たとえば、ログプロファイルを使用して撮影する場合、カメラは14ストップ程度を記録することができる。 しかしこれをテレビやSDR(Rec.709)ディスプレイで映すと、わずか6ストップに制限されてしまい、メリハリのない映像になってしまうのだ。
従って、カメラで撮影された高ダイナミックレンジの映像を再現することが重要になってくる。ログで撮影することによりHDRに対応することができる。
HDR TVは映像制作者にとって救世主だ
HDR TVは11ストップのダイナミックレンジを表示することができるため、ログやフラット画像プロファイルで撮影された映像を完全に再現することができ、鮮明でコントラストのある画像を得ることができる。
Alister Chapman氏のビデオでは、Rec709ディスプレイとHDRディスプレイを並べ、フラットな画像プロファイルで撮影したカメラからの入力を切り替えているが、そこには大きな違いを見ることができる。
結論:ログで撮影するときは、画像を正しく見るためにHDRモニターを使用する必要がある。
HLG(Hybrid Log Gamma)は配信用のガンマ
HLGはHybrid Log Gammaの略で、Rec 709とLogのハイブリッドを意味している。 ソニーのFS7、α7RIII、AX700などのカメラで画像プロファイルとして搭載されているが、これは、HDR映像をディスプレイに送信するための配信規格だ。しかし、このカーブは配信に最適化されているが、撮影とグレーディングにも非常に優れたガンマでもある。
通常のRec709 TV(SDR)でHLGを見る場合でも、75%の白で少し暗く見えるが、特に問題なく見ることができる。このプロファイルをHDRモニターで見ると、はるかに鮮明で高輝度な映像を見ることができる。
HLGはHDRに最適化されているが、SDRでも見ることができる。
Alister Chapman氏の下のビデオではHLGの効用が語られている。
ディスプレイ技術はやっとカメラに追いついたと言える。今や、我々はカメラが本来持っていた画質をフルに見ることができるようになったのだ。