DJIのドローン、Mavicの後継機がリリースされた。 1インチのセンサーを持つハッセルブラッドカメラを搭載したDJI Mavic 2 Proと、世界で初めて光学ズーム機能を備えたドローンのMavic 2 Zoomの2機種。これらのドローンは、最長31分の飛行時間とより安定したビデオ伝送システムのほか、多くの機能を備えている。
多くのドローンユーザーが注目していたMavicの後継機が発売された。 1ヶ月前からすでにアナウンスされていたが、DJIは新モデルは2種類存在することを公表していた。一つはHasselbladカメラを内蔵した世界初のドローン、Mavic 2 Pro。 もう一つは世界で初めて光学ズーム機能を備えたドローンであるMavic 2 Zoom。両方のドローンは折りたたみが可能で、さらに安定したビデオ伝送を装備し、最長31分の飛行時間を実現している。
Mavicの歩み
最初の DJI Mavic Pro(レビューはこちら)が2016年に登場したとき、それはドローンの世界に小さな革命をもたらした。今までにない携帯性と画質を両立していたのだ。折りたたみ可能なデザインで、バッグに入り、ドローン撮影を手軽なものにした。 60Mbpsという低いビットレートでダイナミックレンジがそれほど大きくないにもかかわらず、現在でも非常に人気のあるドローンの一つだ。
2018年1月、DJIはMavic Proの弟分にあたるDJI Mavic Air(Mavic Proとの記事はこちら)を発表した。これはより小さく、より軽く、より手頃な価格で、100Mbpsのより高いビットレートの映像を記録することができる。しかし、従来のMavic Proと比較して、いくつかのトレードオフがあった。たとえば、使用される無線技術(Pro vs Extended Wifi in AirでのOcuSync)に起因する飛行範囲の制限などだ。
Mavic ProとMavic Airは同じ1 / 2.3 “センサーを搭載していた。レンズの焦点距離は、Proが26mm(フルフレーム相当)、Air が24mm(同)だ。
Mavic 2 Proは画質に重点
DJI Mavic 2 Proは、DJIがハッセルブラッドと共同開発した新しいカメラモジュールを搭載している。 Mavic 2 Proはレンズにハッセルブラッドのロゴが誇らしげに刻印されている。カメラのパイオニアとのパートナーシップは非常にインパクトがある。
カメラモジュールには、1インチのCMOSセンサーが内蔵されており、10ビットのDlog-Mカラープロファイルで記録できる。これにより、Mavic Proと比較して4倍の色数を記録することを意味し、写真やビデオの編集に非常に高い柔軟性を提供する。
またMavic 2 ProはH.265/100Mbpsのビットレートで4K UHDビデオを収録できる。内蔵レンズは28mm(フルフレーム相当)の焦点距離で、f / 2.8-f / 11の絞りレンジを持つ。残念ながら、公式のプレスリリースに、正確な解像度とフレームレートについての言及がされていない
Mavic 2 Proは4Kの10ビットHDRをサポートしているため、HLG対応の4Kテレビに接続し、適切な色調の映像を再生できる。静止画に関しては、Hasselblad Natural Color Solution(HNCS)技術を使用し、20メガピクセルの空撮写真を撮影することができる。
DJI Mavic 2 Zoomは柔軟性に重点
DJI Mavic 2 Zoomは1 / 2.3 “サイズのCMOSセンサーを搭載し、ズーム機能を備えたDJIの最初のドローンだ。このカメラモジュールは、24-48mm(フルフレーム相当)の2倍の光学ズームと2倍デジタルズームを組み合わせている。したがって、フルHD解像度で96mmの望遠映像を撮影することができる。なお、4Kモードではデジタルズームを使えないので48mmまでとなる。また、H.265/100Mbpsのビットレートで4K UHDビデオを収録する。
ハイブリッドオートフォーカスは、位相感度とコントラストの検出機能を組み合わせて高いフォーカシング精度を実現し、高速化を実現する。 DJI Mavic 2 Zoomは、12メガピクセルの写真を撮影できる他、光学ズームを使用して9枚の写真を自動的にキャプチャし、張り合わせて、きわめて詳細な48メガピクセルの画像を作成することができる。
なお、特筆できるのが、Dolly Zoom QuickShotモード。被写体から遠ざかりながら、自動的にズームインする。ドリーズームは印象的な映像効果が得られるが、撮影には極めて高度な技術が要求された。
Hyperlapse機能
DJI Mavic 2は、最大飛行時間を考慮しつつ、タイムマップとハイパーラプス映像を自動的に撮影できる。いわゆる「タスクライブラリー」機能は、異なる時間に同じ画像を撮影するため、飛行経路を保存し、繰り返し撮影することができる。 静止画ではJPEGとRAWの両方で撮影でき、Micro SDカードか内蔵ストレージに同時に保存できる。DJI GO 4 Mobile アプリをタップするだけでハイパーラプスの4つのモードを選択できる。
- Free – ハイパーラプスビデオを撮影する場合にドローンを手動でコントロールする。
- Circle – 自動的に被写体の周りに円を描いて飛行する。
- Course Lock -まっすぐ飛行している間、選択した被写体をフォローする。
- Waypoint – 高度とGPS座標に基づいて複雑な飛行経路を計画し、複雑なショットを撮影する。
自律機能
ActiveTrack 2.0は、フレーム内で動きのある被写体をフォローする。メインカメラとフロントデュアルビジョンカメラを使用して、自律トラッキング機能と障害物検知機能を組み合わせている。 Mavic 2は、その領域の3Dマップを作成し、新しい軌道アルゴリズムを使用して動きを分析し、今後3秒の被写体の経路を予測する。被写体が障害物の後ろに一瞬隠れても見失うことはない。なお飛行速度は最大で72 km / hだが、高速飛行(高速追尾とスポーツモード)では障害物を検知できない。
DJI Mavic 2は、より正確な障害物感知とより安全な飛行を実現するため、FlightAutonomyシステムがアップグレードされ、自律飛行能力が向上している。ボディに10個のセンサーがあり、自動的にその障害物を検出し、衝突を防ぐ。新しいMavic 2は完全に自律的な飛行をするわけではない。改善された高度なパイロットアシスタンスシステム(APAS)により、周囲の環境を分析し、障害物を感知し自動的に飛行する。 Mavic 2には、夜間でも安全かつ正確な着陸ができるよう、自動的に点灯する下部補助光も装備されている。
改善された映像伝送機能
新規設計されたOcuSync 2.0ビデオ伝送システムは、ドローンとリモートコントローラーとの安定した接続を可能にする。このシステムは、2.4GHzと5.8GHzの周波数帯域をサポートし、アップリンクとダウンリンクのデータストリームに異なる周波数を使用することができる。また、より強力な干渉耐性と自動切り替え機能を備えている。
最大8kmの距離から1080pのビデオを送信できる(障害や干渉のない場合)。ユーザーは、DJIアプリケーションから直接フルHD映像を編集してアップロードすることができる。またJPEGの写真をモバイルデバイスに直接保存できるため、ユーザーはドローンからファイルを転送する必要なく、作成した内容をすぐに共有できる。
空力設計と飛行時間
従来のDJI Mavicのボディは、非常に機能的に設計されていたため、大幅に再設計する必要がなく、新モデルはそれほど大きく違ったデザインではない。しかしDJIは、Mavic 2は空力学的に改良された新しい機体のため、Mavic Proと比較してボディドラッグを最大19%減少させているとしており、スポーツモードで最高速度72km / hの速度を実現している。より効率的で静かな推進システムと騒音低減プロペラは、最長31分の飛行時間に貢献している。
その他の機能、価格、発売時期
DJI Mavic Pro 2は、Micro SDカードスロットに加えて、8 GBのオンボードストレージを持っている。再設計されたリモコンには取り外し可能なコントロールスティックが装備されている。ドローンは、ヘッドトラッキングモードで-75°〜+ 75°のジンバル(ヨー)制御範囲を持つDJIゴーグルと互換性がある。これにより、より没入型のFPV飛行が可能となっている。
DJI Mavic 2 Pro(ドローン本体、バッテリー、リモコン、充電器、4組のプロペラを含む)の価格は189,000円(税込)。 Mavic 2 Zoom(ドローン、バッテリー、充電器、リモコン、4組のプロペラを含む)の価格は162,000円(同)となっている。
Mavic 2 Fly Moreキット(2個の追加バッテリー、複数バッテリー充電ハブ、カーバッテリーチャージャー、電源用バッテリーアダプター、プロペラ2組、持ち運び用バッグを含む)は39,000円(同)。
DJI Care Refresh(一部の国で利用可能)は、最大12ヶ月間の通常使用中のドローン、ジンバル、またはカメラの偶発的な損傷をカバーする。このプランは2回まで交換することができる。Mavic 2がアクティブになる前、またはアクティブ化後最初の48時間以内に申し込むことができ、価格は129ユーロ。詳細はDJI Care Refreshのウェブサイトを参照いただきたい。
Mavic 2はDJIのオンラインショップで購入することができる。 DJI Mavic 2の新機能と機能の詳細については、DJIのウェブサイトの製品ページをご覧いただきたい。
なお、DJIは「Mavic 2専用のジンバル交換サービスがまもなく利用可できるようになる」と言っている。 これはかなり興味深い内容だが、必要な時にいつでもジンバルを変更することができるということだろうか?詳細は分からないが、多くのドローン愛好家にとっては非常に興味深い機能だと思う。