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3,350mの高所でTeradekワイヤレスシステムを使う

3,350mの高所でTeradekワイヤレスシステムを使う

今回の撮影は、ユニークなものだった。標高が高く氷河もあり、極端な温度変化もある環境で、3人のカメラチームでTVドキュメンタリーを撮影した。カメラは、REDのMonstro VVを使用している。今回の撮影をレポートしよう。

Bolt 500 LT on Aletsch Glacier at 11,371ft. Temperatures hovering around 40 degrees fahrenheit.

今回の撮影ではDJI Ronin 2など優れたカメラやツールを使用することができたが、これらの機材は重量があり、携帯性は良くない。また、Ronin 2には、素早い動きにコントロールが間に合わないため、ワイヤレスフォーカスを使用した。

更に今回はシグマのシネマレンズで撮影したかったので、これがまた荷物に加わった。私のドキュメンタリーの多くは、フジノン19-90やキヤノン17-120のようなサーボ装備のズームを使っているが、今回はパートナーのRin Ehlers Sheldonと私がルックにこだわり、シネプライムを使用することを強く希望した。このような現場では、荷物を軽くするため明るいレンズは使わないのが普通だが、今回のドキュメンタリーでテストするという目的もあった。気温が32°から4°まで変化し、気象条件が良くない山岳地帯で、これらのレンズの実用性もチェックしてみたかったのだ。

急速に変化する撮影環境でレンズ交換やRonin-2の操作を行うには、瞬時に最適な機材を選択し、正しく操作することが不可欠となる。このような場では、本質的に信頼できる機材が分かってくる。更に、確実に撮影を敢行するため、ワイヤレスシステムも導入した。

ワイヤレスシステムは、機動性と携帯性を考慮し、Teradek RTワイヤレスレンズ制御システムを選択した。私にとってはTeradek RTシステムは初めてだったが、プロダクションとTeradek社との関係もあり、これを使用することになった。

Teradek RT being used on a DJI Ronin 2 at the Castelgrande in Ticino, Switzerland.

Teradek RTワイヤレスレンズコントロール

ワイヤレスフォーカスシステムでは、幾つかのブランドが有名だ、私はそれらのほとんどを使用した経験がある。TeradekのLatitude Sidekickを装着することにより、Teradek RTシステムは他のブランドに差をつけることができている。カメラからぶら下がるケーブルは事故のもとであり、Sidekickはこれを解決している。Latitude SidekickはREDのDSMC 2カメラに直接取り付けられ、最大3台のTeradek RT MK 3.1モーター(今回は2台使用)とシームレスに接続し、通常はREDカメラのサイドハンドルで行う機能をサイドプレートで行うことができる。

セットアップは簡単で、マニュアルを読まなくても5分でRonin2に乗せたRED DSMC 2 HeliumにSidekickとアイリス、およびフォーカスモーターをセットすることができた。アイリスの調整やハンドコントローラのフォーカス制御調整を済ませたら、モーターをレンズのフォーカスリングにセットし、エンドポイントを自動的に較正する。自動キャリブレーション機能は信じられないほど有用で、レンズを交換する場合は時間を大きく節約することができる。

Teradek RTは、他のフォローフォーカスのリモコンを使用したことがあれば、すぐに使える。バッテリーはキヤノン5D DSLRシリーズで使用されているLP-E6で動作するが、これは他のバッテリーと異なるもので、追加のバッテリーを持っていくのが悩ましかった。しかし1週間程度ならバッテリーを交換する必要がないことがわかり、この問題は解決した。撮影は12時間山中を駆け回り、 5TBもの撮影を行った。

注意すべき点の1つは、カメラ本体にLatitudeサイドプレートに電力を供給するための出力がないので、バッテリーのD-Tapからプレートに電源を供給する必要があること。Teradek RTは、D-tapからlemoケーブルを介してプレートに電力を供給する。また、キャリブレーション後、モーターにテープでマークしておくと、後々混乱することがないだろう。

私は過去に、トルクに問題があるモーターを使ったことがある。歯車がスリップし、レンズに損傷を与えてしまった。 MK 3.1のモーターにはこのような問題はなく、Ronin 2 / DSMC 2 Heliumは、現場で頻繁に動かしたにもかかわらず、モーターがスリップすることは無かった。 15mmのロッドあるいは19mmのロッド上のMK 3.1をスライドさせ、モーターホイールをレンズのアイリスリングやフォーカスリングに噛ませ、モーターケーブルを取り付け、サイドキックのポートに差し込むと、これで準備は完了する。

Teradek RTシステムを一度に購入できない場合は、段階的に購入することができる。まずフォーカスコントロールから始め、予算に応じてアイリスやズームコントロールを導入する。システムはモジュラー設計されているため、必要な機能のみ導入すれば良い。さまざまな構成が存在するが、構成により4000ドル以下に収まる。 Teradekは各種ツールを用意しているので、安価に最適なシステムを構築することができる。

ワイヤレスシステム

今回はTeradek RTを使用したが、正確なフォーカシングには遅延の無いワイヤレスビデオシステムが必要になる。アシスタントカメラマン用のモニターには、703 Boltを選択した。 703 Boltモニターは、SmallHDとTeradekのコラボレーションによって実現した製品で、モニターに1台のSidekick IIレシーバーを組み込むことができる。 今回REDのモニターが直射日光下で反射がきつかったため、露出やフォーカスチェックでは703 Boltで頻繁にチェックした。703 Boltについてのレビューに詳しく解説しているが、703 Boltは小型軽量で、波形やピーキングなど、必要なすべての機能を備えたモニターだ。

703 Bolt at 6am in Gstaad. Picture Credit: Graham Sheldon

なお、703 Boltにはシンプルなストラップを取り付けた。これにより、アシスタントカメラマンは、モニターを首にかけてフォーカシングしながら歩き回ることができた。撮影場所となった古城の壁は非常に厚く、また非常に寒いく、湿気の多い条件にもかかわらず、ワイヤレスで問題なく動作した。インタビューでは703 Boltの背面に別のSidekick IIレシーバーを超軽量アームで追加した。 703 Boltのデュアルカメラモードを使用すると、モニター上で2つの映像を並べて見ることができるのだ。

カメラには、新製品のBolt 500 LT SDIトランスミッタを取り付けた。これらのトランスミッタは以前のものよりも小型で、スペック通りの性能を持っていることが確認された。また「ゼロ遅延」という言葉も単にマーケティングの誇大宣伝では無いことも判明した。このプロジェクトでは、最適なカメラを選択することができたため、手頃な価格で堅牢なBolt LTとBolt XTシステムを使うことができた。 Bolt LTは、今回の撮影のニーズに合っていたので、XTのデュアルHDMI / SDI機能や柔軟な電源システムの出番はなかった。システムはうまく動作し、セットの他のアイテムが熱の警告を表示すると、これらの情報もリアルタイムで送信できる。 小型軽量であるにもかかわらず、堅牢に作られており、少々乱暴に扱っても問題なかった。過去には、まれに信号が途絶えてしまうシステムもあり、プロフェッショナルな用途には使えないこともあったが、そのような心配はなかった。

Teradek Bolt 500 LT at the Basel Paper Mill. The mill was built 500 years ago.

まとめ

私たちのチームは映画的な美しい映像のドキュメンタリーを撮影すべく、今回の撮影を行った。 RED MonstroやHeliumのようなシネカメラは、ドキュメンタリーの撮影に必要な機動性の面では最適とは言えないが、ワイヤレスシステムを使用すれば、3人のチームでもこのようなドキュメンタリーが制作できることが証明されたと言える。

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