Image Sensors Worldのレポートによると、アップルがQuantumFilm技術を持つイメージセンサーの新興企業InVisageを買収したという複数の情報がある。 QuantumFilmは、次世代のスマートフォンカメラの性能に大きな影響を与える可能性のあるイメージセンサー技術だ。
現時点ではAppleがこの技術をどのように使うのか、あるいは使わないのか分からない。この情報源は、現在InVisageのスタッフがアップルで働いていると報告しており、投資家は既にInvisageに投資していないとも伝えている。 これらのことからAppleがInVisageが保有し、2015年にYouTubeでデモされた “QuantumFilm”センサー技術を取得した可能性が高いと思われる。
QuantumFilmとは?
https://www.youtube.com/watch?v=WpfIHdn1Df0
伝統的なCMOSベイヤーのイメージャーに基づいているが、“quantum dot”のレイヤーが追加されているため、光とダイナミックレンジに対する感度が大幅に向上し、グローバルシャッターの実装などの利点がある。高密度で小さなフットプリントのイメージャーにより効率は50%から90%へ飛躍的に向上し、スマートフォンカメラの高解像度化、高ダイナミックレンジ化を可能にする。
QuantumFilmセンサーはフィルムと同様、光に対する非線形の電気的特性を持っている。これは、従来のイメージャーの線形応答とはまったく異なる特性だ。これは、出力側で非線形エンコードするのではなく、センサー自体でハイライトを自然に圧縮する。
https://www.youtube.com/watch?v=GbShbMRudUM
2015年のYouTube上のテストの結果は完ぺきではないが、これがiPhone 6の時代と重なっていることは重要なポイントだ。それ以来、基盤となるセンサー技術と処理能力は大きな進歩を遂げている。上のビデオ“PRIX”は、それまでのデジタル的なものではなく、有機的で素晴らしい映像となっている。それはスーパー16ミリフィルムを彷彿させるものだ。例えば肌のトーンなどは、現在のスマートフォンのカメラでは、たとえカラーグレーディングしても難しいだろう。しかし現在では当時とは比べるべくもない多大なデータを処理できるデバイスが存在するのだから、アップルがこの技術を現在の4Kスマートフォンセンサーの世界で展開することは、十分期待できることと言える。