Digital Anarchyは、同社のTranscriptive AI技術を用いて、Adobe Premiere Proユーザー向けにテキストベースのビデオエディタを発表した。また、ウェブアプリのtranscriptive.comでも利用可能。この新しいエディタは「Rough Cutter」と呼ばれている。タイトルが示すように、この新しいプラグインは、元のビデオから作られたテキスト、より正確にはトランスクリプトを編集してビデオシーケンスを作成する。また、多言語にも対応している。
Digital Anarchyは、以前からトランスクリプションビジネスに取り組んできた。2017年に開催されたNABショーでは、オーディオサービスを開始した。ソースビデオに合わせてタイムコードが付加されたオーディオをインポートすることができ、従来のビデオ編集の準備として、トランスクリプトを編集することができた。今回のRough Cutterでは、さらに一歩進んでビデオ編集ができるようになった。そして今回は、2017年ではオプションとして用意されていたIBMのWatsonではなく、自社のAIを使用している。
Digital Anarchyは、Transcriptive Rough Cutterは、テキストファイルや、SRT(主にYouTubeやFacebookで使用されるフォーマット)などの認識されたフォーマットを含む、あらゆるソースからトランスクリプトを取り込むことができるとしている。テキストを読み込んだ後は、新しいPremiere Proのプラグインパネルで作業するか、より良いコラボレーションのためにtranscriptive.comのウェブアプリを使用する。デジタルアナーキーでは、Premiere Pro内で使用した場合の機能はより強力なものになるとアドバイスしているが、インターフェースは非常に似ている。
デジタルアナーキーのトランスクリプトラフカッター
シーケンスの編集内容とトランスクリプトの編集内容が一致すると、各単語にタイムコードが付加されたラフカットが即座に作成される。タイムコードを使用することで、対応する単語をクリックしたときに、映像内の適切な場所に瞬時にジャンプすることができる。
また、プロジェクトパネルでクリップやシーケンスを選択して、AIをバッチ処理に適用することもできる。複数のファイルを同時に登録することも可能だ。アライメントツールを使うと、既存のトランスクリプトをビデオに同期させることができる。これにより、新しいインポートにはAIトランスクリプトと同じタイムコードが与えられる。
テキストの編集が終わると、「Rough Cutter」ボタンを押せば、あとはアプリケーションがやってくれる。どのくらいの時間がかかるのかは不明だが、サイトからデモをダウンロードして確認できる。
対象ユーザー
ビデオ編集は非常にクリエイティブな作業であり、99.9%の場合、ビデオを見てカットする。しかし、テキストを編集して完成度の高い映像にするという使い方ができるかもしれない。ディレクター、プロデューサー、ライター、編集アシスタントなどが対象となるだろう。
テキストを使った映像編集について、友人の編集者が次のように言っていた。「ドキュメンタリー番組のディレクターやプロデューサーが、ちょっとした同期を選択するのに便利かもしれない。問題は、すべてがイントネーションに依存しているということだ。ほとんどの国の人はモノトーンで話さないから、文章の途中でカットすることはない。YouTubeで動画を作っている人たちには向いているかもしれないが、編集とは悪い部分だけを切り取ることではない」。
その他のAIエディタ
似たような製品に「Descript」というものがあるが、これは編集者ではないYouTuberを対象としたもので、上記の非常に楽しいビデオがある。自動編集機能を備えたアプリとしては、MagistoやLumen5などがある。
Transcriptive Rough Cutterの価格は、199ドル。 Transcriptive Rough Cutterは、transcriptive.comで無料のデモをダウンロードしたり、購入したりすることができる。