Accusonusは、映像クリエーターに向けプラグインERAのバージョン4をリリースした。このプラグインアプリは、市場に出回っているほぼすべてのNLEおよびDAWに対応している。
Accusonusは継続的に製品の改善を進めており、当サイトでも数ヶ月前にERAシリーズのプラグインについて記事をリリースした。同社はそれまでバージョン3.0をリリースしていたが、新たにDe-Clipperプラグインも導入し、バージョン4を発表した。
従来のアップデート同様、今回のバージョン4.0も無料だ。そこで今回は、これらのツールがオーディオをどの程度改善することができるかの徹底的なレビューをすることにした。
使用感
筆者はプロのサウンドミキサーでもサウンドエンジニアでもない。実際、筆者は音中心の仕事は行っていない。筆者は映像を専門にしており、主に企業広告用の映像やミュージックビデオを撮っている。
しかし、多くの映像クリエーターは録音と音のポストプロダクションに携わる必要がある。個人で仕事をする場合、全てを自分でこなす必要がある。今日では、優れたオーディオ機器が簡単に手に入り、適切な音の収録の知識があれば、すばらしいサウンドを得ることができる。しかしEQ / Compress / Automationなど多少専門的な話になると、多くのビデオクリエーターはお手上げだ。
ビデオクリエーターにとって問題なのは、サウンドミックスやボーカルの収録技術を磨くのに十分な時間がない、または十分な予算がないということだ。常に時間に追われ、作品はできるだけ早く仕上げる必要がある。通常、普通に録音していれば、それなりにうまく録音できる。オーディオについて詳しく知るよりも、納期に間に合わせる方が優先されるのだ。
Accusonus ERAのコンセプト
フリーランスの映像クリエーターなら、インタビューの収録を行う段になって、部屋の反響が大きすぎることに気が付くが、部屋を移動するわけにもいかず(毛布があれば敷き詰めればよいのだが)、仕方なくそのまま収録したことが一度か二度はあるだろう。こうなってしまうと、後処理でできるだけ修正するしかない。
しかしポストプロダクションでのオーディオ処理は複雑で時間がかる。解決策は、プロのサウンドレコーディング担当者を雇うか、自分でその方法を学び、機材を購入するかだ。
そして後者に挑戦するビデオクリエーターのために、AccusonusはERA collection of pluginsを開発した。ERAはビデオクリエーターを念頭に置いて開発されているため、できるだけ分かりやすく、操作が簡単なように設計されている。
Accusonus ERAプラグインのインストール
今回のテストでは、Adobe Premiere Proで使用することにした。インストールは簡単だ。ダウンロードし、ダブルクリックするとプラグインがインストールされる。これだけですべてのプラグインが自動的に追加される。インストール終了後Premiere Proを起動し、オーディオライブラリをスキャンし、VSTバージョンかAUバージョンを選択して[OK]をクリックする。
ERAプラグインエフェクトをサウンドに適用して[エフェクトコントロール]パネルの[編集]を押すと、アクティベーションウィンドウが表示されるので、購入時に受け取ったシリアル番号を入力する。 14日間無料で試すこともできる。
https://www.youtube.com/watch?v=tOslJDOB0OE
ERAシリーズのプラグインは、「標準」バージョン用の6つのプラグインと「プロ」用の7つのプラグインで構成されている。
- De-Clipper:録音レベルが大きすぎて歪んだ音声を修復する。
- De-Esser:このプラグインは「s」の発音を滑らかにする。
- Noise Remover:ファンや空調などから発生するバックグラウンドノイズを低減/除去する。録音レベルが非常に低い場合に発生するノイズを除去するのも効果がある。
- Plosive Remover:破裂音を滑らかにする。破裂音は、通常、「P」と「B」の音で、歪む場合がある。
- Reverb Remover:反響を低減する。
- Voice Leveler:話者が一様なレベルで話していない場合に、声のゲインを均等に調整する。
- ERA D: DenoiseとDereverberationのに対応。Proバージョンでのみ利用可能。
同社のWebサイトでフルリストを見ることができる。
操作法
今回のテストでは、1つのタスクに1つのツールを用意した。ERAプラグインにはノブが1つしかないので、いろいろな操作をする必要がない。ノブを回して、一番改善されるところで止めれば良いのだ。内部がどのように動いているのかは分からないし、知る必要もない。
もちろん、各プラグインの中には、調整できる他のパラメータがいくつかあるが、オーディオのプロが操作するような多くの調整項目ではない。たとえば、ERA Voice Levelerプラグインなら、出力ゲインやブレスコントロールが調整できる程度だ。
テストの実際
このテストでは、各プラグインに対応する録音をいくつか行った。もちろん、実戦でもテストしたが、これは機密保持の面から公開することはできない。
テストには、内蔵プリアンプ付きのレコーダーとしてSound Devices MixPre-6を使用した。96kHz/24bitのWAVですべて録音している。また2系統のチャンネルと2本のマイクを使っている。
- ひとつはSanken COS11ラベリアだ。これをシャツに付け、RØDELinkトランスミッタに接続する。受信機は直接Sound Devicesの入力に接続されている。
- 2本目はRØDENTG1ブームマイク。約1メートルの距離でSound Devicesに直接接続されている。これらのマイクは業界ではかなり標準的なもので、多くのインディーズ映画製作者が使用している。
テスト結果
以下が各プラグインの結果だ。
- 最初のテイクはラベリアから直接レコーダーに記録したもの。
- 2つ目はERA 4プラグインが適用されたラベリアの音声。
- 3つ目はブームマイクから直接レコーダーに記録したもの。
- 4つ目はERA 4プラグインが適用されたブームマイクの音声。
できればヘッドホンを使うことを勧めする。
結果は、かなり良好だ。他の多くのプロジェクトでも試したが、簡単な調整で素晴らしい結果だった。使ったパソコンはMacBook Proだが、ERAプラグインはスムーズにリアルタイムで動作する。ただ、De-Clipperを除いてはもう少し処理が必要と感じた。なお、Premiereはプラグインが原因ではクラッシュしなかった。
もちろん、オリジナルの録音が良ければ、結果は良くなる。ERAプラグインは、多大な労力と時間を費やすことなく、迅速に修正することができた。
価格と発売時期
ERA 4プラグインは、AccusonusのWebサイトからダウンロードできる。バージョン4へのアップグレードは、ERA Bundle StandardおよびERA Bundle Proのユーザーには無料で提供される。
価格はERA Bundle Standardは149ドル、ERA Bundle Proは349ドル。