Adobe Premiere CCアップデート - 同社のBill Roberts氏に聞く
Adobe Premiere CC 2017のアップデートが先日リリースされた。これについて、プロフェッショナルビデオプロダクトマネージメントのシニアディレクターであるビル・ロバーツ(Bill Roberts)氏にインタビューを行った。 Premiere CCの新機能やAdobeのソフトウェア開発について話を伺った。
新しいPremiere CCの機能
1)チームプロジェクト
クラウドコラボレーションエンジンとそれに伴うチームプロジェクトは、バージョン1.0の機能を搭載している。このツールを使用すると、プロジェクトで同時に作業する場合効率が上がる。また、個人用のUndo機能は、プロジェクトのHistoryの一部になった。クリエイティブなデシジョンをステップごとに振り返り、必要に応じてUndoできる。
新バージョンのPremiere CCでは、マルチプルオープンプロジェクトが可能になった。同時に多くのオープンプロジェクトを持つことができ、オープンプロジェクト間でオブジェクトを移動することもできる。これは、FCP7ユーザーからの大きな要求だった。
また、ハリウッドの編集ワークフローのニーズに対応するAdobeの取り組みの一環として、プロジェクトをロックしながら作業できるようになった。残りのコラボレーションチームでは読み取り専用になる。終了したら、再びオープンすることができる。
2)バーチャルリアリティ/360°映像
アドビは、Skyboxスイートのmettleを買収した。この技術は、Premiere Pro CCに統合されている。mettleの開発者であるChris Bobotis氏は、Adobeでこの機能のヘッドを務めた。最初の結果として、アドビはいわゆる「没入型環境」を導入した。これにより、VRヘッドセットを使用してコンテンツを見ることができるが、タイムラインはオーバーレイして表示され、最終的な結果を確認することができる。
3)その他の機能
エンハンスドモーショングラフィックテンプレートなど、多くのマイナー機能が追加、更新された。その一つは、ワンクリックでタイムライン上のすべてのギャップを削除する機能だ。
Adobeの方向性
インタビューの第2部では、ビル・ロバーツ氏はAdobeのソフトウェア開発の内部的な仕組みについて語ってくれた。
彼の仕事は、製品の長期的(3~4年)な目標を定義することだ。ミーティングは、製品や機能の開発チームと行った。これらのチームは、基本的に、顧客の要望リストに沿って開発を続けている。
チームはその年のリリースサイクルでいくつかのマイルストーンを掘り下げようとしている。たとえば、過去8年間、Adobeは放送用の機能寄りだった。ここ2年間は、予算の豊富なハリウッドのニーズに焦点を合わせているが、これはインディ映画制作とはかなり異なるワークフローとなる。
ソフトウエアのハンドリング
Adobeは他のソフトウェア会社と同様、リリースサイクルに沿ってバグや安定性の問題を取り除くことに取り組んでいる。アドビ製品の各機能は、多くの場合、自動化されたマシンプロセスと人間によりテストされている。もちろん、Adobeはクラッシュレポートのデータを収集し、クラッシュシナリオを特定するのに役立てている。しかし、すべてのコンピュータ設定と、すべてのカメラデータとで検証するのは簡単なことではない。
クラッシュで消えてしまった未保存データを取り戻せるわけだは無いが、ロバーツ氏によると、リリースサイクルごとにクラッシュ率は低下しているとのこと。また、氏のような人々が、ソーシャルメディアやcinema5Dで上がっている話題についてフォローしてくれているということが、今回分かったのは収穫だ。
ビデオの将来
シスコシステムズの最近のブログ記事によると、IPベースのインターネットトラフィックの82%以上は2020年までにビデオが主流になると述べている。もちろん、この大きな需要はテレビ会議などのストリームだが、ビデオは間違いなく主流になるだろう。 Adobe、Blackmagic Design、Appleなどの企業は、この分野で市場シェアを拡大するためにしのぎを削っている。これにより、我々顧客にとって良い競争が生まれ、イノベーションが促進されるだろう。
リンク: AdobeのWebサイト