このゲスト投稿では、バンクーバーに拠点を置くフリーランスの映画製作者であり、アナモフィックレンズで撮影しているTito Ferradans氏がアナモフィック撮影に理想的なセンサーサイズについての考えを述べている。
ブラックマジックは安価なBMPCC 6Kに、アナモフィックモードを搭載した。アナモフィックモードは、以前はURSAラインナップのみのものだったが、BMPCC6Kにも搭載された。
センサーサイズとアナモフィックシューティングについては、多くの誤解がある。これはパナソニック GH4から始まったと思われるが、まず問題を説明しよう。筆者のメールには、GH4にはアナモフィックモードがないため、2倍のレンズを使用できないとの意見が寄せられる。彼らは1.33xや1.5xのレンズに限定され、どのレンズを使ったらよいのか分からないと言う。またどのようなカメラが良いのか、との質問も寄せられる。ソニーα7S IIにはアナモフィックモードがないが、筆者はこれで3年間アナモフィックを撮影しており、トラブルはなかった。更に最近では、アナモフィックモードを備えたGH5を使っている。
アナモフィックで撮影する意義
アナモフィックレンズは、より広い視野を圧縮してセンサーに取り込む。他にも多くのポイントがあるが、まずはこの点が基本だ。理想的なアナモフィックレンズのスクイーズは2倍だ。つまり、ポストプロダクションで映像の幅を2倍にする必要がある。
簡単な計算をすると、16:9を撮影し、フレームの幅を2倍にすると、極端なアスペクト比3.56:1となる。これまでのところ、レンズテストとTaylor Swiftミュージックビデオを作ってみた。
アナモフィックモードのカメラでは、必ずしも16:9ではなく、センサーのより広い範囲で記録できる。 GH4はアスペクト比4:3、BMPCC 6Kは6:5のセンサーを持つ。 2xスコープを使用すると、4:3は2.66:1になり、6:5は2.4:1になる。これは従来のCinemaScopeだ。ただし、これらのモードはセンサーの全幅を使用していない。基本的に、カメラは映像の側面を切り取っている。
ここでの例外はGH5とそのオープンゲートモードだ。GHシリーズには4:3センサーが搭載されているため、全領域を使って記録する。これは、アナモフィックモードの実際の利点につながる。
アナモフィックモードの利点
アナモフィックモードのひとつの利点は、センサー領域をより効率的に使用できるため、ポストプロダクションでクロッピングが少なくてすむか、あるいは全く必要ないことだ。また、得られる映像で、カメラのビットレートをより有効に使用できる。
一方アナモフィックモードの最大の利点は、16:9ビデオと比較してセンサーの高さが大きくなることだ。下の図を見ると、GH5とOpen Gateで記録する他のカメラで違いが明確に分かる。これにより、ストレッチ後の幅が広くなるだけでなく、背の高いフレームも得られる。
しかし、BMPCC 6K、Ursa Mini 4.6Kなどを見ると、状況は少し異なる。
16:9モードなので高さが不足しているだけでなく、ポストプロダクションでの再フレーミングも効率的ではない。
アナモフィックモードを使わない場合の利点は?
カメラにアナモフィックモードがあるが、他の録画モードと比較してセンサーの高さを有効に活用できない場合は、基本的にアナモフィックモードの有用性は低い。
従ってα7S IIで2倍のアナモフィック撮影をする場合は、理にかなっていたのだ。 4:3のクロップマークを設定し、16:9で記録する。重要なのは、この4:3の領域で美しい映像が得られることだ。これらのマークを超えて使用できる部分はすべて追加情報で、編集で構図のバランスをとったり、カメラの動きを付け加えることに使える。
結論を言うと、後でフレームの一部をトリミングする必要がある場合でも、常に最も垂直解像度が高く、センサーをより適切に使用できるモードを選択すると良い。より多くのセンサー領域を使用し、より多くのデータを取得して、より範囲の広い画像を使用できる。制作に使える時間が限られている場合は、ポストプロダクションでのクロッピングではなく、すべてカメラで行うことができる。
これらのポストプロダクションアスペクトに対処する方法がわからない場合やアナモフィックに慣れていない場合は、編集ソフトウェアで適切なアスペクト比を設定する方法と、映像を簡単にトリミングする方法についてのビデオ(いずれも英語)を作ったので見て欲しい。
GH5なら必要なスコープの機能を最大化できる。
まとめ
アナモフィックレンズがなくてもアナモルフィックなルックを得たい場合、BMPCC 6Kには2.40:1の録画モードがあり、球面レンズで撮影しても完璧なCinemaScopeのフレームが得られる。後でトリミングに手間をかける必要はない。このアスペクト比をモディファイされたレンズとフィルターと組み合わせて、アナモフィックルックを作成することができる。今後anamorfakingについても解説したい。
ほとんどのカメラでは、16:9以外に2.40:1や2.35:1のフレームを作成できるクロップマークまたはオーバーレイが提供されている。クロップマークを使用してフレーミングを行うと、最終的なフレーミングの正確な情報が得られ、ヘッドルームが大きすぎたり、頭が切れたりするなどの問題を回避することができる。