オーストリアのハイエンドキャプチャメディアソリューションメーカーAngelbirdは、最新のCFexpress Type Bカードシリーズを発表した。Angelbird AV PRO SEとAV PRO SXは異なるユースケースをターゲットにしているが、多くの共通した特徴を持ち、高速性を必要とするユーザー向けに作られている。
カメラの記録メディアは、どのブランドも標準的な技術を使用しており、主にブランドにお金を払うので、それほど重要ではないと思うかもしれないが、記録メディアのメーカーとモデルによってかなり大きな違いがある。
よくある落とし穴は、メーカーが非常に高い読み取り/書き込み速度を謳っていても、最初は確かにその速度を達成するが、それははじめだけのことだ。カードが少し熱くなると（あるいは空き容量が少なくなると）、書き込み速度が著しく低下し、フレーム落ちや、クリップの破損、画像の読み取り不能などの問題が発生する。
Angelbird AV PRO SEとSX
Angelbirdは、自社で製品を開発しており、カスタムコントローラとメモリアーキテクチャに多くの研究開発を行っている。その最新作が、Angelbird AV PRO SEとAV PRO SX CFexpressカードだ。
SEは512GB、書き込み速度800MB/s（最大850MB/s）、SXは160GB、書き込み速度1,480MB/s（最大1,600MB/s）となっている。
両バージョンともサステインリードが1,785MB/sで、撮影した映像や静止画の高速オフロードが可能。
AV PRO SEは、高解像度の映像を撮影する映像制作者に適しており、書き込み速度よりも容量が重要視されるのに対し、AV PRO SXは、非常にハイエンドな撮影、特にRAWフォーマットでの高速バーストモード写真撮影に適している。この場合、速度が重要である一方、容量はそれほど重要ではない。
また、Type BのCFexpressカードを使用するカメラが登場すれば、高速動画用途にも使用できるようになるだろう。下のグラフにあるように、SEの800MB/sは、キヤノンEOS R5が8K 30pのRAW映像を撮影する際に必要な速度（325MB/秒）を大きく上回っている。つまり、これらのカードは将来的にも十分通用する。
両カードとも、Y2と呼ばれるカスタム設計のプロセッサーなど、内部は共通だ。ここで注目したいのは、AngelbirdのStable StreamTMと呼ばれる技術で、ビデオ録画や連続モード撮影時に、謳われている持続的な書き込み性能がスロットルや速度低下しないことを保証している。
Angelbirdの創業者兼CEOであるRoman Rabitsch氏は、次のように語っている。
私たちは、高速なCFexpress Type Bテクノロジーのすべての機能を、仕事に最適な容量で提供するカードのラインアップを開発したいと思いました。ますます激化する競争において、適切な機材を持つことは、もはや成功への足がかりではなく、最新の製造品質基準を維持するために必要な救命胴衣なのです。
Roman Rabitsch
特徴
Angelbirdは、この新しいType B CFexpressカードに、前述の技術に加え、この優れた速度を維持するためのサポート機能を発表している。
- アダプティブサーマルマネージメント（Adaptive Thermal Management）。AV PRO CFexpress SEおよびSXは、アダプティブ・サーマルマネージメント・テクノロジーを採用し、カードとコンテンツを損傷やフレームの損失から保護しながら安全にシャットダウンすることが可能。
- アダプティブ・パワー・マネージメント（Adaptive Power Management 低消費電力とバスパワー駆動のコンポーネントにより、バッテリーの消耗を最小限に抑え、駆動時間を向上させる。
- 電源断時の保護機能 突然の停電の際、コンテンツの損失や破損から保護するために、安全なシャットダウンを通知する。
- 堅牢な構造 湿気、X線、衝撃、埃、-10℃から70℃に対応する。
- SSDマネージャー。カードの寿命を延ばし、ドライブを工場出荷時の状態にリフレッシュするSecure Erase機能により、カードの状態を監視し、最適化することができる。
- 無料エングレービング CFexpressカードに名前、プロジェクト、連絡先などの詳細情報を刻むことができる。
- 高速データオフロード 20Gb/sのデータ転送をサポートするAngelbird CFexpress Type Bカードリーダーとの組み合わせで、最大読み取り速度1,785MB/sを実現し、ポストプロダクション作業やカード容量を管理することができる。
このように、CFexpressなどのメモリーカードは、形状は統一されていても、内部構造はそれぞれで、高品質な記録メディアを使うことが重要だ。せっかくのハイエンドカメラも、一発勝負の撮影で記憶媒体が壊れたら意味がない。
Angelbirdは、その優れた品質とサポートで知られている。今回のAV PRO SX/SEも、その期待に応えてくれるものと確信したい。
価格
Angelbird AV PRO SE CFexpress Type BとSXカードは、それぞれ179.99ユーロ/米ドル（消費税別）で販売されている。
Link: Angelbird
