フランスの光学機器メーカー、アンジェニューが新しいEZシリーズズームレンズを発表した。ユーザーがマウントを交換できるという画期的なレンズだ。super35mmEFからフルフレームEまで、その間にある全てのマウントに対応する。IBC2016に出展される。
アンジェニューEZシリーズ概要
レンズを購入するとき、あるいはレンタルするときもそうだが、いつも頭を悩ますものだ。次に買い替えるカメラを考える場合も、同じ悩みに直面する。
このアンジェニューEZシリーズは、こんな悩みを解決してくれるかもしれない。なんと、後部の光学ブロックをユーザーが交換することができ、super35mmからフルサイズまで対応することができるのだ。
フルフレームモードで46mmの大きなイメージサークルを持つので、他のフォーマットも許容できるのだ。8KのRED Dragonセンサーでも問題ない。実際、5.5K以上で記録するREDのカメラ、ARRI Alexa Open Gate、ARRI Alexa 65 VistaVision、あるいはフルフレームのソニーα7sMarkII、キヤノンEOS 5D Mark IV、1D X MarkIIといったカメラにも対応する。ちなみにsuper35mmモードでは、イメージサークルは30mm以下。
マウント交換は極めて簡単だ。後部の光学ブロックの交換は、多少慎重さが必要だが、それに注意すれば問題なくできる。更に、フルフレームからsuper35mmに交換する場合は、スピードブースターのごとく、T3からT2になるというメリットもある。
どのマウントを選ぶか迷っているときや、特にカメラの切り替え時期などでは、このレンズを選んでおけば心配がない。アンジェニューのレンズは、素晴らしいがとても高価なOptimoシネマレンズシリーズと、シネマルックは期待できないENGスタイルのズームレンズの2極化が目立つが、このEZシリーズはその間を埋めるものとして期待できる。
標準と広角の2種類を用意
EZシリーズズームレンズにはEZ-1とEZ-2の2種類が用意されている。どちらも、上記のようなマウント交換が可能で、super35mmからフルフレームまで対応可能だ。以下に、これら2種類の相違点を列記する。
- EZ-1はスタンダードズームレンズで、倍率はx3。Super35mmカメラに装着する場合、焦点距離とF値は30-90mm F1.9 / T2となる。
- 外部光学ブロックを交換すると、46mmイメージサークルまでで45-135mm F2.8 / T3となる。
- EZ-2は、ワイドズームで、倍率は7。super35mmカメラに装着すると、焦点距離とF値は、15-40mm F1.9 / T2となる。
- 光学ブロックを交換すると、22-60mm F2.8 / T3となる。
各マウントはPL、EF、Eの各マウントと互換性がある。更に着脱可能なENGスタイルのレンズグリップがMOVCAMから追って発売される予定だ。
主な仕様
EZ-1 FF(フルフレーム) モード
- 45-135mm T3 / f2.8, 46mm 対角以下
- 軽量(2,050g)
EZ-1 super35mmモード
- 30-90mm T2 / f1.9 30mm対角以下
- ズーム全域でT2固定
- 軽量(2,150g)
EZ-2 FF モード
- 22-60mm T3 / f2.8, 46mm 対角以下
- 軽量(2,070g)
- 歪曲の少ないワイド画角
EZ-2 super35mmモード
- 15-40mm T2 / f1.9, 30mm対角以下
- ズーム全域でT2固定
- 軽量 (2,120g)
- 歪曲の少ないワイド画角
更に全てのEZレンズ共通の以下の機能がある
- フォーカスとズームを操作してもサイズは不変
- Optimo など従来のアンジェニューレンズ共通のルック。Optimo や OPTIMO STYLEなど、同社の他のレンズとのカラーマッチングも問題ない
- 最短撮影距離0.6m
- 内部温度制御により、温度差に影響されない安定性
- 精度の高く扱いやすいフォーカスリング。可変範囲は300°
- フォーカス/アイリス/ズームはイルミネーションマーカーで暗いところでも見やすい
- PLマウント可能で、EF、Eにも変更できる
- 前径114mmで、OPTIMO &やOPTIMO STYLEで使用しているマットボックスも使える。
- ENGスタイルのレンズグリップがMOVCAMから発売予定
まとめ
アンジェニューEZシリーズは、なかなか画期的なレンズだ。もっとも価格はまだ発表されていないので何とも言えないが、色々なカメラに使えることを考えると、長い目で見れば投資を抑えることができるのではないだろうか。毎年多くのカメラが発表され、その度に新しいレンズを購入しなければならなかったが、このレンズが解決してくれるかもしれない。2017/1Qの発売予定。(海外)
IBCのアンジェニューブースは#12.E33
アンジェニューEZシリーズのWebサイトはこちら。