AputureのLS C300dは、昨年話題になった新しいLEDライトだ。 300ワットの強力な出力で、LS c120dに比べ、パフォーマンスが2倍以上に向上している。このLS C300dレビューでは、LS c120dと比較する形を取った。
Aputure Light Storm c120dは、2016年に発売されて以来、多くのビデオやフォトカメラマンが愛用している。これは、COB(Chip On Board)技術を採用した最初のものの1つで、プロをターゲットにした、低ノイズで優れた操作性、そして高品質なカラーレンディションを比較的低価格で実現しているLED光源だ。
筆者は、低予算の映画制作にAputure c120dを使用している。家庭用電源で動作するが、屋外ではVマウントバッテリーで使用することができる。Alexa Miniのように、特別高感度ではないカメラを使う場合重宝する。
Aputure c120dは多くの撮影で欠かせない存在だ。しかし、より強力なLEDライトが欲しい場合もある。そのような要求に応え、 c120dよりも更に強力なAputure Light Storm C300dがNAB 2017で発表された。これは、更に強力になったばかりでなく、多くの機能も追加されていた。今回は、 C300dをレビューしたので報告しよう。
Aputure C300dレビュー
Aputure LS C300dは、 c120dが135ワットだったのに対し、その名前が示すように300ワットの出力だ。他の多くの単一光源LED照明も、100〜300ワットの範囲のワット数で動作する。
クローズアップやポートレートではなく、特に広角で撮影する場合、ソフトボックスなどを装着すると、 c120dでは光量不足となることがあった。
このような場合、 C300dは十分な光量を出力してくれる。もちろんコントロールユニットで調光でき、10%の光量まで落とすことができる。またリモコンも用意されているので、離れたところからでも操作可能だ。
ただし、 C300dは c120dよりも大きく、バッグも多少大きく、重くなっている。ソフトバッグにはすべての部品がきれいに収納される。照明器具自体は、それほど重くはないが、多くのケーブルや、電源アダプター、その他の部品で重くなっているのだ。
C300dの出力光量
LS C300dの出力光量を c120dと比べてみよう。
両方のライトを比べると、 C300dは c120dに比べ倍以上の光量があり、1ストップ以上明るい。 C300dは、2K(2000ワット)のタングステンライトに相当するだろう。
ただし、実際に2Kタングステンライトと比較した他のレビューでは、 C300dは多少暗いという結果も出ている。理論的には出力光量は同じでも、照明器具の構造によって異なる結果となる場合もある。 これはLED素子の構造にも関係している。すなわちCOB LEDライトは、伝統的な電球のライトと比較して、ボーエンマウントの構造では不利になるからだ。 ボーエンマウントのデザインは当初は写真用に開発されたもので、通常はソフトボックスと組み合わせて使用されることが多かった。伝統的なフィルムライトには、光線の散乱を減らし、ビームを集束させるため、背面が鏡になっている。LEDライトはこの恩恵をあまり受けられないのだ。
c120dは人間工学的に考えられており、使い勝手が優れたライトだ。ヘッドは軽量にできており、セットアップが簡単に行える。 Aputure LS C300dも同様のコンセプトで、機能的に似たものだが、残念ながら C300dはセットアップが c120dほど簡単ではない。
C300dには本体を制御ユニットに接続するケーブル、制御ユニットを電源に接続する別のケーブル、電源を電源コンセントに接続するケーブルがある。これらのケーブルは見分けにくく、電源ユニットにオン/オフスイッチが付いているため、セットアップに時間がかかってしまう。
2つの部品を統合するとか、照明器具本体に統合するとか、解決策を期待したい。現時点では、豊富な光量で価格的にも手頃なので満足しているが、上記のような点も改善されることが望まれる。 なお、LS c120d IIでは、バラストとコントロールユニットを1つにまとめ、一足先にこれを実現している。
C120dIIには電源にファンが付いているが、 c120d同様静かだ。しかし C300dでは2つのファンを使用しており、電源の小さなファンはかなりのノイズを発生する。静かな撮影現場ではこれが問題になり、4ピンケーブルを追加して本体から離さなければならない場合がある。
マイクがライトのすぐ隣になければほとんどの場合は問題ないが、指摘しておくべきだろう。
色に関しては、LS c120d同様、 C300dは95+のCRIで素晴らしい演色性を持っている。数年前のLEDに比べたら雲泥の差だ。これにより、肌の色も美しく見える。また、 C300dの色温度は5500Kで、これは c120dや c120d IIの6000Kよりはるかに使いやすい。
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なお、 C300dについて一つ気になることがある。ユニットの側面に黄色い光の漏れがあるのだ。(下の写真) 稀にこれが問題になることがある。照明器具の角度や位置によって、邪魔になることがあるのだ。
まとめ
今回のAputure LS C300dのレビューではいくつかの欠点を指摘したが、総じて長所のほうが欠点をはるかに上回っている。 C300dは、好評の c120dの上位バージョンとして、非常に価値あるものだ。 LEDライトが従来のフィルムライトに置き換えられる時が、いよいよ本格的になってきたといえるだろう。特に、低予算で小規模な撮影現場ではメリットが大きく、より少ないリソースでよりプロフェッショナルな品質の映像を作ることができるようになった。 Aputureは、フレネルレンズやライトシェーピングツールなど、いくつかのアタッチメントも用意している。
今後LED技術は更に進化するだろう。わずか数年前に導入されて以来急速に成熟してきたが、伝統的なフィルムライトには、より専門性が求められているものがある。しかし、LEDライトの技術の進化を見ると、未来のLEDライトの展望は明るいだろう。
より広い範囲の照明や、柔らかい光、あるいは大光量の照明が必要な場合、 C300dは有力な選択肢だ。同様のライトを出している他のメーカーはあまり無いので、今のところAputureはその先端を走っているメーカーだ。 ただ、1000ドルの価格は、もう少し低価格であっても良いのではないかと思われる。