ARRIは、新しいラージフォーマットシネマカメラ、ARRI ALEXA Mini LFを発表した。これはALEXA Miniのコンパクトな筐体に4.5K ALEXA LFセンサーを搭載している。このカメラには、3つの内蔵FSNDフィルター(ND 0.6、ND 1.2、ND 1.8)、12 V電源入力、電源出力、新しいCodex Compact Drive、および新開発のMVF-2ハイコントラストHDビューファインダーなどの機能がある。
ARRI ALEXA Miniは、4年前に発売されたが、今日でも、多くの映画制作分野で最も人気のあるシネマカメラの1つだ。長編映画、ハイエンドコマーシャル、ミュージックビデオなどの撮影に広く使用されている。小さな筐体なので、ドローンやジンバルなどへの搭載も可能で、もちろん大きなシネマカメラでは入って行けない場所での撮影にも有用だ。
ARRIのLFカメラシステムは、2018年にALEXA LFシネマカメラとARRI Signature Primesの導入から始まった。そして今回ALEXA Mini LFがシリーズに加わった。
ARRI ALEXA Mini LFの概要
新しいALEXA Mini LFは、ラージフォーマットイメージセンサーとコンパクトボディの完璧な組み合わせと言える。同社はALEXA Mini LFをALEXA LFのサブカメラとして使われることを想定しており、両者は同じルックを持っている。下はプロモーションビデオ。ラージフォーマットのルック、肌の色合い、そして総合的なカラーサイエンスを確認できる。
ラージフォーマットセンサーのサイズは36.70 x 25.54 mmで、フルフレームよりもわずかに大きく、最大解像度は4.5 K(4448 x 3096)となっている。 ARRIが述べているように、センサーはその自然なカラリメトリー、心地よいスキントーン、低ノイズ、そして高ダイナミックレンジ(HDR)と広色域(WCG)を持ち、ワークフローの適合性にも優れている。
使い勝手に関しては、ALEXA Miniと比較すると、12 Vおよび24 Vのアクセサリ電源、新しい6ピンオーディオコネクタ、内蔵マイク、およびWiFiの向上など、いくつかの追加された機能がある。 6個のユーザーボタンがカメラの操作側にあり、カメラとビューファインダーにはそれぞれ独自のロックボタンがある。記録メディア、VFおよびTCコネクタへのアクセスもより簡単になっている。
また同社の経験から、厳しい撮影条件への対応も考慮されている。ALEXA Mini LFは堅牢なカーボンボディを持ち、-20°C〜+ 45°Cの広い温度範囲で使用できる。さらに、ALEXA Mini LFは工場出荷前に全品激しいストレステストを受け、その後ARRIのグローバルサービスセンターによってサポートされる。
ALEXA Mini LFは、カメラの左側にあるメディアベイを除いてALEXA Miniと同じサイズ。 ARRIによると、現在のプロトタイプはLPLレンズマウント付きのカメラ本体で2.6 Kg、MVF-2ファインダーは800 gの重量とされている。
ALEXA Mini LFでは、MXF / ARRIRAW、MXF / Apple ProResなどさまざまなフォーマットやアスペクト比で内部記録することができる。メディアに関しては、Codexの新しいコンパクトドライブ記録メディアを採用する最初のカメラとなる。 SSDには、MacやWindowsパソコンで追加のソフトウェアやライセンスなしで使用できるUSB-C Compact Drive Readerが付属している。さらに、SXRキャプチャドライブを搭載するドックでは、コンパクトドライブアダプタを使用できる。これはダウンロード速度を2倍以上にする可能性を持つ。
CodexのHigh Density Encoding(HDE)は、ダウンローやその後のワークフローでARRIRAWファイルサイズを約40%削減することができるロスレスエンコードの新しいテクノロジだ。これによりストレージコストが削減され、転送時間が短縮され、ワークフローがスピードアップされる。 HDEは、Codex CaptureまたはCompact Driveでの使用が無料となっている。
ARRI MVF-2ビューファインダー
ALEXA Mini LF用の新しいMVF-2ビューファインダーは、ALEXA LF用のEVF-2ビューファインダーと同じハイコントラストHD OLEDディスプレイ、カラーサイエンス、およびARRICAM接眼レンズを搭載しており、フォーカス、ダイナミックレンジ、カラーの最適な判断を可能にする。さらにMVF-2はエンコーディング映像やカメラのコントロールメニューを表示する4インチフリップアウトモニターを備えている。
MVF-2はカメラのどちら側でも使用することができ、CoaXPress VFケーブルで10mまでの範囲でカメラをリモートコントロールできる。洗練されたユーザーインターフェース、曇り止め用の内蔵接眼レンズヒーター、内蔵ヘッドフォンコネクタも備えている。
出荷時期
ARRIによると、ALEXA Mini LFは2019年半ばから出荷を開始する予定とのこと。このカメラは、本体のみ、またはLPLレンズマウント(PLマウントアダプター付き)のいずれかで入手できる。また、2種類のコンプリートパッケージも用意されている。1つはVマウントバッテリープレート付き、もう1つはゴールドマウントプレート付きで、レンズマウント、MVF-2ビューファインダー、2つの1TB SSD、バッテリープレート付きショルダーリグ、必要なケーブルなどが同梱されている。
欧州では、本体のみの価格は48,000ユーロから始まっている。これは、ALEXA Miniの価格よりもおおよそ10,000ユーロほど高くなっている。 ALEXA Mini LFのすぐに使えるセットの価格は約63,000ユーロ。
主な仕様はARRIのWebサイトを参照いただきたい。