ARRIはスタジオ用のライトマネージメントシステム「LightNet」を発表した。このシステムは、デバッグとメンテナンスが容易なシステムモニターだ。
ドイツのメーカーARRIは、映画産業における様々なツールで知られている。つい先日も、フォローフォーカスハンドユニット「Hi-5」を発表したばかりだが、カメラやライトについてもよく知られている。今回、同社はハードウェアではなく、照明のシステムを管理すソフトウェアを開発した。
ARRI LightNetは、照明システムをモニターし、大規模なスタジオのセットアップの調整を容易にしたソフトウェアプラットフォームだ。
ARRIは、ラップトップ/PCやタブレット上で動作するフロントエンド・インターフェースと、放送施設の中央監視システムを区別しているため、LightNetのバックエンドがインストールされたサーバーを使用している。
中央型または分散型の運用
このシステムでは、中央型または分散型の運用が可能。中央とは、バックエンドとフロントエンドの両方が同じシステム上で動作し、1つのデバイスを使用することを意味する。一方、分散型では、より柔軟な運用が可能となる。
バックエンドは、照明のシステムに常設されているデバイスにインストールできる。そして、LightNetのフロントエンドを搭載したタブレットでコントロールできる。また、離れた場所からVPNを使ってリモートでインターフェースを開くこともできる。これは、スタジオに技術者がおらず、迅速な技術サポートやリモートメンテナンスが必要な場合に便利な機能だ。
また、このシステムはARRIの製品に限られたものではない。ARRI製品に限らず、ネットワークに接続された機器やDMXに接続された機器など、メーカーや機器を問わず、さまざまな機器と連携することができる。
LightNetでは、照明器具、コンソール、ネットワークスイッチ、スプリッター、ノードなどの監視、故障診断、管理が可能となっている。そのため、何十台もの照明器具と大規模なインフラを持つスタジオのライトネットワーク管理を効率化することができる。
マルチユーザーオペレーション
ソフトウェアプラットフォームは、マルチユーザーオペレーションを特徴としている。複数の人が同時にLightNetを使用・操作することができる。
もちろん、このシステムはモバイル化を想定していない。LightNetは、あらかじめ照明がインストールされている大規模なスタジオ向けに作られている。また、最新のバーチャル・プロダクション・スタジオでも使用できる。
IPとDMXの両方のデバイスを監視することができるので、様々なスタジオや既存のシステムに後付けすることができる。システムを初期化する際に、ネットワーク内のデバイスを自動検出し、それに追加する。
オンライン状態や、IPアドレスやDMXアドレスなどの様々なデバイスデータをユーザーインターフェースに表示することができ、システムの障害や不具合を素早く見つけることができる。
デバイスのグループ化
広大なエリアや複数の部屋に分かれている場合、照明や機器を部屋ごとにグループ化することができる。
ARRIは、「照明の専門家でなくても操作して理解できる」直感的なユーザーインターフェースを誇っている。
LightNetにはハードウェアは付属していないようで、ソフトウェアは仮想サーバーや「あらゆるパフォーマンスマシン」上で動作する。また、APIを介してZabbixやPrometheusなどの他の監視システムに導入することも可能となっている。
発売時期
LightNetは現在発売済みだが、価格は公開されていない。おそらく、単なるプラグアンドプレイのシステムではないため、ARRIと連絡を取る必要がある。
ARRIのサイトでは、このシステムに関する詳細情報が掲載されている。