Atomos AtomX CAST レビュー
スイッチャー、ライブストリーミングデバイス、モニター、レコーダーが1つになったAtomos AtomX CASTをレビューする。
Ninja VおよびNinja V+用のAtomX CASTは興味深いデバイスだ。通常、様々なデバイスに分散している多くの機能を1つのボディに収めているため、競合製品と比較するのは少し難しい。
このハンズオンCASTレビューで、様々な機能を解説するが、取り上げるべき機能がかなりある。
Atomos AtomX CASTとは?
まず第一にHDMI経由で最大4つの映像ソースに対応するスイッチャーだが、そのままライブストリーミングする機能も持っている。そしてもちろん、Ninja VとV+で動作するため、ProResとDNXコーデックでの録画機能を備えた1080pスクリーンのモニターでもある。
さらに、AtomX CastとNinja Vの両方を含むNinja CASTパッケージを購入すれば、スイッチング機能を使用しないときは、非常に強力な外部レコーダーとカメラ用モニターとして使用できる。
また、最近のファームウェアのアップグレードにより、ソニーFS5とFS7からProRes RAWを記録することができるようになり、レガシーカメラにとって非常に素晴らしいアップデートとなった。
ハードウェア
CASTのレビューを始めるにあたり、まずはハードウェアから見ていこう。AtomX CASTは、Ninja VおよびV+のためのドッキングステーションだ。NinjaはCASTにドッキングするだけの非常にスマートな構造になっている。
また、CASTの底面には1/4インチのネジがあり、例えば撮影現場にテーブルがない場合、ユニットをライトスタンドに取り付けることができる。テーブルがある場合は、デバイスの弾力性のある足でしっかりと固定される。
入出力端子、スイッチ、内蔵ファン
フルサイズのHDMI入力が4つあり、それぞれ1080pまたは1080iまで対応、同じくフルHD解像度までのHDMIプログラムアウトが1つ、同じ解像度のUSB-C「CAST Outが1つある。
Ninja VまたはV+に装着したときのみ電源が入るため、CASTには個別のオン/オフスイッチはなく、レコーダーでCASTをソースとして設定する必要がある。
本機にはファンが内蔵されており、常時動作しているように見えるが、録音中でも気にならないほど静かだ。
インターフェースとボタン
次にインターフェースは、CASTにはご覧の通り、スイッチング用のボタンが4つ、さらにFボタンが4つある。Ninjaの画面の下には、CASTのF1〜F4ボタンの機能の表示がある。
F1がアクティブの場合、ハードウェアボタン1~4でピクチャーインピクチャーの入力を選択でき、F4がアクティブの場合、1~4ボタンでカメラの入力を切り替えることができる。F2はオーディオソース、F3はオーバーレイを切り替える。
どのFボタンをアクティブにするかによって、大きなボタンが複数の機能を持つことに慣れるまで、これが私にとってCASTで作業する際の最大の難関だった。そしてもちろん、エラーも起こる。Blackmagic ATEM Miniのような競合製品では、すべてに専用のボタンがあるが、その一方で、価格が高いにもかかわらず、内蔵モニターと録画機能がない。
Atomosはカメラオペレーター向けで、Blackmagicは放送局向けだが、機能的には同じようなものだ。
マルチスイッチング機能
CASTのボタンの機能で素晴らしいのは、ダイレクトカットの代わりにプレビュープログラムモードがあることだ。これを使用すると、ボタンを最初にタップすると緑色に変わり、意図したスイッチ、オーバーレイ、エフェクトのプレビューが表示され、ボタンをもう一度タップすると赤く変わり、それが適用されてライブになる。もちろん、ミスが許されないライブストリーミングの場面では、これは間違いなくミスの防止に役立つ。
Ninjaの内蔵スクリーンは非常に素晴らしいのだが、フルスクリーンのプログラム/プレビューか、マルチビューインターフェースのどちらかしか見ることができない。このため、例えば外部モニターにプログラムやプレビューを出力し、Ninja Vでマルチビューを表示させるといった使い方ができる。
スイッチャーモードでプレビューやプログラムビューを通してNinjaの入力を見ている場合、露出、フォーカス、カメラ映像のチェックなど、AtomOSの標準的な機能もすべて使用することができる。
嬉しいのは、デバイスのUSB-Cポートが常にウェブカメラ用に利用可能で、録画とストリーミングを同時に行いたいときにブロックされないことだ。Blackmagic ATEM Miniでは、そのUSB-CポートからSSDに録画するか、ウェブカメラの映像をコンピューターに出力するかを選択する必要がある。AtomX CASTのもう一つの優位点だ。
オーディオ入出力とスイッチング
オーディオに関しては、Ninja Vにはヘッドフォン出力が内蔵されている。音声入力については、HDMI入力からカメラの音声を使用するか、Ninja側面のマイク/ライン入力から外部音声を入力することができる。
オーディオメニューでは、使用するオーディオソースを指定できる。1つのHDMI入力またはマイク/ラインポートに固定するか、現在アクティブなカメラ入力にオーディオを追従させるか、どちらかを選択する。この場合、音声はカメラ映像に合わせてスイッチングされる。
ピクチャー・イン・ピクチャー機能
ピクチャー・イン・ピクチャー機能については、Ninja Vの所定のメニューでウィンドウのサイズ、位置、不透明度、ソースを変更することができる。この機能は基本的なものだが、十分期待に応えてくれる。
オーバーレイグラフィックス
CASTでは、アルファチャンネル付きの1080pのPNGグラフィックスをビデオフィードの上に重ねて使用することができる。パソコンからNinjaのSSDにグラフィックを保存し、Ninjaの8つの内部スロットをオンザフライで切り替えることができる。すべてのスロットをプログラムした後、オーバーレイボタン1~4を短く押すとオーバーレイがプレビューされ、長く押すとプログラムアウト(ライブストリーミングフィードでもある)でオーバーレイをオンエアすることができる。
ATEMスイッチャーのように、パソコンやアップストリーム・ダウンストリームキーがなくても使えるのは、本当にありがたい。ATEMはPNGの透明度に対応できないので、このAtomosデバイスの大きな利点だ。しかし、Ninja CASTには、今のところオーバーレイとして静止画しか扱えないという制限がある。この点は、将来的に追加されることを期待したい。
足りない機能
今のところ、ディップからカラーへのトランジションにはブラックとホワイトしか用意されていない。カスタムカラーを選択できるようにしてほしい。また、ディップ・トゥ・カラーとハード・カットだけでなく、もっと多くのトランジションが欲しい。
また、オーバーレイは入力対入力で、ある入力にオーバーレイをプログラムして、他の入力に切り替えるとオーバーレイが消えてしまう。これは、特に常時表示されるグローバルなチャンネルロゴがある場合に問題だ。
もうひとつ、将来のアップデートで実装してほしい小さな機能として、AtomX CASTのハードウェアボタンのバックライトは暗い環境では少し眩しいので、暗くすることができるようにして欲しい。ハードウェアボタンについて言えば、ATEMスイッチャーのボタンと比較して、押したときの感触が柔らかく、より静かであることは素晴らしいことだが、ATEMのボタンと同様に耐久性を確認する必要がある。
まとめ
全体として、Ninja CASTは、他の製品と比較して素晴らしい価値提案だ。常にマルチカメラで収録しないが時には必要と言う場合に、頼りになるスイッチャーとストリーミングデバイスになるだろう。Ninja VとV+に単なるレコーダーとモニター以上の機能を与えるCASTは、お勧めできる製品だ。
このCASTのレビューは、CineDチームのFlorian Milzにお願いした。彼はチームの中でマルチカムのエキスパートであり、私と一緒にほとんどのテストを行っている。