2016年はマスマーケットを狙った高級シネマレンズの当たり年だったと言える。映画“Game of Thrones”でも使われたが、Angenieuxのレンズが使えるといったことは、今までなら夢だっただろう。手頃な価格のシネマプライムやズームレンズを開発してくれたシグマ、ツァイス、トキナ、そしてAngenieuxなどには感謝したい。ここでは2016年のベストレンズを取り上げてみたい。
Zeiss LWZ.3 21-100mm T2.9-T3.9 (EF, PL, MFT): cinema5DのNino Leitnerはこのレンズを今年初め、南アフリカでの撮影に使い、フィールドドキュメンタリーでの使用感を好評価している。ただ、サーボコントロールできないのが難点との評価だ。自分では、ドキュメンタリー用のレンズとしては、キヤノン24-105 F4 w/ISが良いと思う。ドキュメンタリーには21-100mm程度が最適だ。Zeiss LWZ.3 21-100mm T2.9-T3.9の価格は$9,900だが、この価格帯はZeissでは珍しい。2Kgを切る重量は、かなり軽量と言える。
プリオーダーはこちらからできる。
シグマ Cinema Lenses (EF, Sony-E, PL): cinema5DではIBCで、シグマの新ズームとプライムレンズのラインアップを紹介した。これらフルフレーム対応レンズの出荷は2017年に予定されている。焦点距離は20mm, 24mm, 35mm, 50mm and 85mmで、全てT1.5 と明るいレンズだ。Super35mm対応の2本のズームレンズ、18-35mmと50-100mm T2.0も予定されている。これらのレンズのレビューも紹介したが、極めて優秀な口径食特性を持ち、6K、18mmに達するまで視認できなかった。これら2本のズームレンズは、なんと$3,999と低価格で、しかもシグマの高級ブランドARTの名が刻まれている。
ズームレンズは既に発売済みで、プライムレンズはこちらからプリオーダーが可能。
トキナ Cinema Primes (EF, PL): IBC2016 で発表されたレンズで、35mm, 50mm, 85mm T1.5がラインアップされている。Phil HollandなどシネマトグラファーがRED Heliumセンサーカメラに装着して8Kを撮っている。価格は$3,999から$4,499の間で、ZeissのCP.2と競合する価格帯だ。トキナは更に今年初めに、 Tokina Cinema 11-16 T3.0、16-28mm T3.0、50-135mm T3.0といった低価格のズームレンズも発表している。
Angenieux EZ Line (PL): 普及価格帯を狙ったAngenieuxのEZラインは、やはり今年初めに発表され、現在プリオーダーができる。発売は2017年夏の予定。まだかなり発売まで時間があるが、$10,185の価格を付けられては待つしかない。フルフレーム/ VistaVisionとsuper35mmバージョンが用意されており、super35mmバージョンでは30-90mm T2.0 (EZ-1) と 15-40mm T2.0 (EZ-2)が存在する。
プリオーダーはこちらからできる。
ソニー18-110mm f/4 G OSS (E): これもIBCで発表されたレンズで、super35mm対応のズームレンズだ。プロのビデオグラファーに向けて作られたもので、ズーム全域F4で広いズーム域が特長。SMO(Smooth Motion Optics)と名付けられた機構を持ち、極めてスムースな動きをする。Optical steady shot (OSS)も装備されており、手持ち撮影での手振れ補正も進化している。レンズには、ズーム、フォーカス、絞りの独立したリングが備わっている。
プリオーダーはこちらから。2017年1月出荷予定。
ZEISS Otus 28mm f/1.4 ZF.2 Lens (EF, Nikon): Otusラインアップは極めてシンプルだが豪華なレンズだ。EFとニコンマウントで28mm f/1.4が用意され、既に今年出荷されている。夜のタイムラプス撮影などに最適で、価格は$4,990と、特別安価なレンズではないが、その価値はあるだろう。Duclos Lensesのような会社でモディファイするのであれば、ひとつの候補だろう。
こちらからオーダーできる。
特別賞
- XEEN Line from Samyang: Xeenは同社のプライムレンズのラインアップで、徐々に充実してきている。今年は、従来のものとは多少暗いレンズだが135mm T2.2が追加された。Xeenの 14, 24 , 35, 50, 85 と、この135mmはこちらから購入できる。
- キヤノンCN-E 18-80mm T4.4 SERVO Cinema Zoom Lens (EF): このレンズは広いズーム域を持ち、サーボコントロールや手振れ補正が装備されており、ドキュメンタリーに最適の1本。スムースなサーボでC300 MK IIなどのレンズとして使えるだろう。価格は$5,225と手頃だが、T4.4は多少暗く、室内での撮影ではISOを高くする必要があるかもしれない。このレンズはまた、フォーカスリングの終端がなく、フォローフォーカスには理想的とは言えない。このレンズのオートフォーカスと手振れ補正は同社のEOSカメラで使ったときのみ最適な設計がされており、キヤノンのシネマカメラユーザーなら、お勧めのレンズだ。購入はこちらから。