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ベストミラーレスカメラ2018は富士フイルムX-T3に

ベストミラーレスカメラ2018は富士フイルムX-T3に

cinema5Dでは今年も多くの新製品をテストし、レビューしてきたが、特にミラーレスカメラに絞って “2018年ベストミラーレスカメラを選択してみた。いろいろな使い方があるので、すべての読者が同じ意見とは限らないが、ひとつの参考にしていただければ幸いだ。 2019年も多くの新製品が出てくるだろうことを期待したい。

2018年も多くのカメラが発売されたが、cinema5Dでは主にインディー映画やプロの映像制作にも対応できるハイエンドのミラーレスカメラについてテストし、レビュー記事を発信してきた。この記事では、今年テストしたマイクロフォーサーズからフルフレームセンサーサイズまでのミラーレスカメラに絞ってふり返り、その中でも特に印象に残った1台をピックアップした。もちろんすべてのカメラが同じ目的で作られているわけではないので「リンゴとオレンジ」を比較することも認識しているつもりだ。ご自分の用途を考え、参考にしていただきたい。

フルフレームカテゴリーの最優秀モデルはソニーα7III

ソニーのα7IIIのレビューを行ったのは今年の2月のことだが、すでにずいぶん前のことのように思える。ソニーは、α7シリーズで従来からフルサイズセンサーミラーレスを手掛け、徐々にシェアを伸ばしてきている。α7SIIが多くのビデオクリエーターに使われているのは周知の事実だ。今年登場した最新のα7 IIIは、「基本モデル」という言葉を再定義するカメラだった。機能、画質、性能のバランスが取れたフルサイズミラーレスカメラといえる。

ソニーα7III総評

価格と機能の適切なバランスが取れているという意味では、ソニーα7IIIは特筆されるカメラだ。手頃な価格で多くの機能を持つフルフレームミラーレスカメラが手に入るからだ。優れたビデオ性能と静止画機能を併せ持つ、オールラウンドで使えるカメラといえる。静止画機能については、プロの写真を撮っている仲間の意見も参考にしている。 将来、50 / 60p、より高いビットレート、色深度、そして願わくば内蔵NDフィルターを期待したいところだ。レビューはこちら

フルフレームカテゴリーの次点は、キヤノン EOS R

先日キヤノンEOS Rミラーレスカメラをレビューしたので、こちらの記事も参考にして欲しい。EOS Rは技術的にはフルフレームカメラと見なされるが、ビデオを撮影する場合大きくクロップされるので、本当の意味でのフルフレームサイズではない。ただ、同社初のフルフレームミラーレスカメラで、注目度が高いことも事実だ。今後、ビデオ機能の進化を期待したい。

ニコン Z6  Z7のレビューはできず

残念ながらこれらのカメラをテストする機会はまだ無いが、ビデオ撮影でも期待したいところだ。ただ、最近のデータでは同社のシェアは低下しており、これらのニューモデルが、進化するミラーレスビデオ市場で同社の起爆剤になることを期待したい。記事はこちら

APS-Cカテゴリーでは富士フイルム X-T3が最優秀

富士フイルムは2月に、多機能でボディ内手振れ補正システムを組み合わせたX-H1を発表した。(インタビュー記事はこちら)そして 9月後半に、X-T3がリリースされた。 X-H1は優れたカメラだが、ビデオ撮影の点から言えば、X-T3のほうが扱いやすさ、画質、オートフォーカス性能面から、自分でも気に入ったモデルだ。このカメラは、解像度やフレームレートなどの柔軟性にの面では、「スイスアーミーナイフ」のように感じる。そして価格においても、このカメラは、ビデオや写真のパフォーマンスに関し、アドバンテージがある。 唯一、このカメラに欠けているのはボディ内手振れ補正機能だ。これに関しては、レンズの適切な選択でカバーするしかない。レビュー記事はこちら

富士フイルム X-T3総評

富士フイルムはソニーEマウントと富士フイルムXマウントの、手頃な価格のシネマレンズを開発している。今後同社はますます動画撮影の製品や機能を充実させてくるだろう。さらに、X-T3は内部10bit記録ができる初のAPS-Cセンサーサイズのカメラとしており、ミラーレスカメラでのビデオ撮影を重視していることが伺える。ビデオ撮影に関してはシェアの高いメーカーの1つで、技術開発力も高い。今後、映像制作に携わるユーザーから高い評価を受けるだろう。他のブランドのレンズを持っているユーザーのために、このカメラにマウントするためのアダプターが用意されることを望みたい。昨今、カラーサイエンスという言葉をよく聞くが、このカメラは「アナログ的な」タッチの映像を作り出すことができる。また、これは私の意見だが、写真においても、“デジタルすぎる“画像ではないと思う。

APS-Cカテゴリーの次点は、富士フイルムX-H1

前述のように、X-H1はボディ内手振れ補正機構を持つ素晴らしいカメラではあるが、動画撮影をするなら、画質とオートフォーカス性能に関してX-T3に及ばない。

マイクロフォーサーズカテゴリーでは、ブラックマジックデザインの Pocket Cinema Camera 4kが最優秀

このカメラは今年4月に発表され、10月から出荷されいる。小型ながらRAWやProResで撮影することができ、多くの注目を集めている。そして非常に魅力的な価格であることも大きなポイントだ。 「リンゴとオレンジを比較する」と冒頭で言ったが、これはこのカメラが念頭にあったからだ。 同社が想定する「シネマ」の撮影では、ボディ内手振れ補正はあまり重要なものではなく、また連続オートフォーカス機能が搭載されていないことも欠点とは見なされていないのだろう。しかし、ユーザー側から見ると、このカメラをもっと様々な撮影に使いたいユーザーもいるわけで、その意味では「シネマ」にこだわりすぎる必要はないのではないだろうかとも思う。もちろん、BMPCC 4Kと、例えば富士フイルムX-T3を比較できるかについて、疑問の声があることも十分に承知している。しかし、いくつもカメラを購入できるユーザーは別として、どれか一つを選ばなければならないユーザーなら、やはり比較することになる。

BMPCC 4Kのレビューはこちら

BMPCC 4Kの総評

BMPCC 4Kのレビュービデオでも述べているが、同社は設計段階で、前モデルに関してでできるだけ多くのユーザーの意見を聞いた。その結果、 シネマライクな美しい映像となり、ダイナミックレンジは他のカメラよりも優れたものが完成した。このカメラは搭載されていない一般的な機能も多いが、欲しいと思わせる雰囲気が漂っている。

マイクロフォーサーズカテゴリーの次点はパナソニックGH5s

2017年の終わりにGH5sをテストし、2018年1月初レビューを公開したが、GH5よりもはるかに強化された低照度特性を備えた非常に魅力的なカメラだ。当初、オートフォーカスに関して不満があったが、最新のファームウェアが今年の後半にリリースされ、大幅に改善された。ただ、ボディ内手振れ補正が省略されたのは、残念なことだった。 GH5はこの機能が搭載されているので、余計に残念な気持ちになってしまう。レビュー記事はこちら

パナソニックGH5sの総評

パナソニックGH5Sは、写真を撮影する目的でないなら、GH5よりも適したカメラといえる。ボディ内手振れ補正を除いて、だが。

FUJIFILM X-T3 is our winner for best large sensor mirrorless camera for 2018

全カテゴリーでは、富士フイルムX-T3が最優秀

上記にピックアップしたモデルはどれも非常に優れたカメラなので、同じ土俵で優劣をつけるのは大変難しい。しかし、実際に撮影してみて、そして機能や性能、あるいは価格を組み合わせて考えると、富士フイルムX-T3が最も魅力的なカメラと感じた。

世界中で幾つものプロジェクトを撮影したが、一度も失望したことはなく、小さなサイズで、EVFが搭載されており、多機能であることが気に入っている点だ。解像度やフレームレート、色深度などに関して、プロデューサーやディレクターからの要求にも対応できるカメラとして、フリーの動画クリエーターにもお勧めできるモデルだ。もちろん完璧なものはないが、コストを考えると申し分ない。

さて今年発売された新しいミラーレスカメラを見てきたが、もう一度最後に言っておきたいのは、撮影する条件や目的はユーザーそれぞれであり、自分の用途に合ったカメラを選ぶべき、ということだ。結局は自分の作品をどのように表現するかがすべてだからだ。

 

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