ブラックマジックデザイン URSA Mini Proレビュー
ブラックマジックデザインがENG / デジタルフィルム / ストリーミングに対応したクロスオーバーカメラ、URSA Mini Proを発表した。従来のURSA Miniから何が変わったのだろうか?
ブラックマジックデザインが新しいカメラを発表した。 同社の新製品発表は、常に新しい驚きと興奮を伴っている。しかし、もう一歩というところがあったのもまた事実だ。同社はRAW記録など多くのプロレベルの機能を初期の段階から搭載することで、カメラ業界に大きな影響を与えてきた。RAW記録により、低予算の映画制作でも、以前ならはるかに高価なカメラでしかできなかった高画質の作品を生み出せるようになったのだ。一方、同社は、同時に多くのカメラを発表したが出荷が遅れたり、カメラのセンサーの問題が指摘されたりと、ユーザーを失望させたこともあった。
過去の経験から、同社は製品発表を、発売が確実に見通せるようになってから行うことにしたように見える。これに従い、新製品のリークもされなくなったようだ。
次世代のカメラ
そしてURSA Mini Proは、既に手元にある。発表されたばかりだが、既に出荷されているのだ。
オリジナルのURSA Mini 4.6Kから大幅なユーザビリティの向上を実現した、第2世代のカメラであることは明白だ。センサーは従来と同じなので、光学性能はほぼ同じと思われるため、このレビューではカメラの機能面に焦点を絞ってレビューする。
URSA Mini 4.6Kとの相違点
オリジナルの URSA Mini 4Kと4.6Kでは、EFとPLバージョンは別々に購入する必要があったが、URSA Mini PROではEF、PL、B4、Nikonのマウント交換が可能で、ユーザーに開放されている。
サイドバイサイドで比較すると、最初に気付くのは、ボディサイズが同じだということ。URSA Mini Proは、我々の測定では約300グラム重くなっている。このカメラは軽量とは言えないが、個人的にはこのフォームは嫌いではない。なぜなら、重量が均等にバランスされており、肩にしっくりと馴染むからだ。
また、起動時間が短縮されている。 URSA Mini 4Kと4.6Kでは約10秒かかったが、URSA Mini Proでは約5秒だ。何度もOn/Offする日常の撮影では、全体の時間短縮に貢献するだろう。
ENG用途も提案
写真のように、URSA Mini Proの左側面は大きく変更されている。 同社のカメラではシンプルな操作性を実現するため、カスタムボタンを多用している。これは、他のカメラ、特に放送用のカメラではよく使われている方法だ。これにより、いちいちメニューを掘り下げる必要がなくなり、必要な機能への迅速なアクセスが可能となる。アイリス、ISO、シャッター、ホワイトバランス、ハイフレームレート記録、オーディオ設定などをカスタムボタンへアサインすることができるようになったため、URSA Mini Proは制作用途ばかりではなく、ENGカメラとしての使用も提案されている。また、ヘッドホンの音量やアイリスコントロールなどへも、簡単にアクセスできるようになっている。残念ながら、オーディオボリュームつまみはまだ無制限回転でハードストップがないため、オーディオレベルの設定に画面を常に見なければならないが、外部ディスプレイによってもオーディオモニターができるようになったので、この問題は多少緩和されている。
ビルトインNDフィルター
オリジナルの URSA Mini 4Kと4.6Kの最大の欠点の1つは、NDフィルターを内蔵していないことだった。これはENGの世界では欠かせないものであり、このフォームファクターで設計されていることを考慮すると、NDが搭載されていないというのは考えられないことだった。 URSA Mini Proでは2、4、6stopの3段階の内蔵NDが新たに追加されている。これは、ソニーFS7に搭載されているのと同じような回転フィルターホイールだ。フィルターホイールには1-2-3-4の数字が刻印されており、フィルターの設定は2以降で有効になっている。1の代わりに「Clear」としたほうが分かりやすかったかもしれない。まあ、カメラの側面に説明書きがあるので、大きな問題ではないが。フィルターはうまく動作しており、フィルター使用時に色の変化は見られなかった。
側面LCDモニター
LCDモニターのサイズは、URSA Miniの5インチから4インチに縮小された。これは実際には内蔵ディスプレイとして使われるだろう。このLCDモニターの内側に、XLRファンタム電源やオーディオ再生機能など、あまりアクセスする必要のない機能が移されている。
LCDモニターの問題点は、180度回転させて、カメラの前から見ることができないこと。つまり、自分がインタビュアーで、画面を確認しながらインタビューするような場合、困ることになる。また、角度によっては、アイリスコントロールつまみをブロックすることになってしまう。
ビューファインダーはオプション
このカメラを肩担ぎで使用する場合は、オプションのURSAビューファインダーが必要になる。このファインダーは、1080pの解像度で、フォーカシング用の画面拡大機能とピーキングを備えている。なお、ピーキングは、カメラで映像にオーバーレイされるメニュー表示にも付いてしまうことは知っておく必要があるだろう。
直感的なメニュー構成
URSA Mini Proに搭載されているオペレーティングシステムは、同社のアドバンテージだろう。まず、タッチスクリーンの応答性は非常によく、自分自身はタッチスクリーンが好みではないが、この応答性であれば、プロの現場でも通用するのではないかと思われる。
また、メニュー項目と設定のレイアウトは非常に論理的に構成されている。これは、多くの日本のカメラメーカーが苦労している点だ。ソニーのカメラで通常使わない機能を探したことがあれば、私が何を言っているのか分かると思う。URSA Mini Proでは、このような場合でも簡単に必要な機能を探すことができる。バーチャルタッチボタンとスライダーがあり、画面を効果的に使用して操作できる。これに匹敵する使い易さを持つカメラは、おそらくArri Alexaであり、REDもいいところまで来ている。
更に、URSA Mini Proは、LCDモニターを閉じているときでも、明るさ調整のできる外部ディスプレイにより、カメラ設定を確認することができる。非常に使いやすく、既にこのようなカメラを発売している他のメーカーからも注目されるだろう。
記録メディアはCFastカードとSDカード
URSA Mini Proには、2つのCFastカードスロットと2つのUHS-II SDカードスロットが搭載されている。RAWのようなハイレートで記録しない場合は、安価なSDカードに記録することができる。ProRes Ultra HDやRAW HDでの収録には最適だ。URSA Mini Proは最大12ビットのCinemaDNG RAWでの記録も可能。この価格帯の他社のカメラでは、実現できていなかったことだ。また、ProResでも記録する事ができ、ProResXQまで選択することができる。
URSA Mini Proは大きさこそあまり変わっていないが、機能的には大きく改善された、全く新しいカメラと言える。Cinema5Dでは今後もこのカメラについてフォローして行く予定だ。
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