キヤノン5D Mark IVレビュー-実試用レポートとファーストインプレッション
キヤノン5D Mark IVが発表された。MarkIIIよりも60g軽くなっているが、4Kサポートを腹をすかして待ち望んでいたユーザーを満足させることができるだろうか?更には、かつてキヤノンのDSLRを使っていたけれど、今や使っていないこれらのユーザーを、またまた振り返らせることはできるだろうか?是非、自分でも確かめて欲しいが、ここに短い時間ではあるが作品を作ってみた感想をお伝えしたい。
我々映像制作者にとって、5D Mark IVの最も大きな特徴は、恐らく4Kビデオが内部記録できることと、進化したオートフォーカスだろう。しかし、30メガピクセルのセンサーととデュアルピクセルRAWを持つこの高機能カメラは、やはり静止画ユーザーの方を向いて作られているように思える。相変わらずEOSはビデオも撮れる静止画カメラで、EOS-Cこそが大型センサーで高画質なビデオを撮るカメラの位置付けなのだろう。このカメラは素晴らしい映像を見せてくれるのだが、我々のような映像制作者がビデオを撮るには、基本的な機能が十分でないように思える。
5D Mark IV レビュー
メリット(順不同)
- DCI 4K(4096×2160)/4:2:2/8bit本体内記録。上のビデオは厳しい光の条件下で撮ったのだが、良くコントロールされている。オーバーヒートによるシャットダウンも無かった。
- フレームレートや解像度の選択肢も十分。4K/30p、フルHD/60p、720HD/120pで収録可能。
- デュアルピクセルAFとタッチスクリーンAF。フォーカスポイントを素早く変更できる。
- CFカードとSDカード両方のスロットを持ち、記録メディアを選択できる。
- ヘッドホンジャックとマイク端子搭載。
- 見たところでは、各フレームレートで良好な画質だが、ラボテストで詳細をテストする予定。
- 1080/50/60p記録が可能。放送用映像制作やスローモーションに対応。
- 4KからフルHDにカメラ内でリアルタイムにダウンコンバート可能。
- ピクチャースタイル設定を“ニュートラル”にすると、シャープネスは自動的に最小になる。
- 4Kビデオで収録した動画から880万画素の静止画を切り出しできる。
- MarkIIIよりも更に高解像度になったLCDディスプレイ
- 従来と共通のバッテリー。5D MarkIIやMarkIIIユーザーはそのまま使用可能。
デメリット(順不同)
- 4Kビデオではセンサーをクロップして読み出し。なお、フルHDや720HDの場合はフルサイズで使用している。
- C-logが搭載されていない。ただ、1D X IIでもC-logは搭載されておらず、それより安価な5D MarkIVでは期待できないだろう。
- MotionJPEG圧縮を採用。ファイルサイズが大きいので記録メディアが多量に必要
- ピーキング機能が無い
- 記録中は拡大モニターができない。
- 35:1など16:9以外のアスペクトレシオのマーカーが無い。
- ローリングシャッター現象が認識できる。詳細はラボテストで。
- 100/120p記録は720HDモードのみ可能。
- 4Kモード時のHDMI出力はフルHDになる。音声は重畳される。
- 最長連続記録時間は29分58秒。
- 従来と同様、ディスプレイは固定されており、チルトしない。
なお、HDRモードとタイムラプス機能は今回テストしていない。
まとめ
私見だが、5D Mark IVは高画質な4Kビデオが撮影できる最先端のフォトカメラと言う印象だ。プロのフォトグラファーには最適だろう。我々のように映像を扱うユーザーは、キヤノンが明確にプロダクトラインアップを分けており、高画質で動画を撮影でき、機能的にも満足できるカメラをキヤノンに求めるなら、EOS Cのラインアップを選択すべきと言うことを、改めて認識しなければならない。
今後続けて5D Mark IVのテストを行うつもりだ。そこで低照度特性やオーディオ特性、あるいはダイナミックレンジやローリングシャッター特性についてチェックし、ラボテストとして記事にするのでご期待いただきたい。
撮影データ:ピクチャープロファイル:ナチュラル、編集:Adobe Premiere最新バージョン、解像度は4K/1080/720を使用、FilmConvertで多少のカラーコレクション処理(Canon 1D C ニュートラルのプリセットを使用)
BGM: Art-List, “The Monkey Funk by Yanivi“