キヤノンがC500 Mark IIを発表 - 6KフルフレームとCinema RAW Light搭載
キヤノンは、C500の後継モデルとなるC500 Mark IIを発表した。これは、同社のシネマカメララインナップの中でもモジュール式のアプローチを初めて採用したカメラだ。
C500は、2016年にC700が導入される以前はキヤノンのフラッグシップシネマカメラだった。発売から7年以上が経過した今、C500 Mark IIが発表された。その間、他社からもニューモデルが発売され、競争が激化している。キヤノンはこのような状況下、フラグシップモデルを更新した。
まず技術仕様から見てみよう。
6Kフルフレーム、17:9センサー搭載
C500 Mark II には5.9Kフルフレーム17:9センサーが搭載された。同社が15stop以上のダイナミックレンジを持つと述べているフルフレームセンサーで、1年半前に導入されたC700フルフレームと同じセンサーだ。
4:3ではなく6K/17:9を採用
現在、フルフレームで6K解像度を持つカメラは、ソニーのVeniceがあり、パナソニックのS1Hもあるが、Veniceはアナモフィックを撮影する場合にのみフル解像度対応する4:3センサー、パナソニックは3:2のセンサーを採用している。キヤノンは異なるアプローチを採用し、17:9フルフレームセンサーを使用してほぼ6Kの解像度を実現している。つまり、通常の球面レンズで撮影する場合、他のカメラよりも効果的に解像度を上げることができる。 4:3の画像領域を使用してアナモフィックレンズで撮影することもできるが、この場合はフレームの端で解像度が失われる。 C500 Mark IIは、アナモフィックデスクイーズ機能も搭載しており、プレビューする場合正しい映像で確認できる。
DIGIC DV7を搭載、Cinema RAW LightとXF-AVC 4K 4:2:2/ 10-bitで内部記録
C500 Mark IIは初めて最大5.9KでCinema RAW Lightと4K \4:2:2/ 10ビット/XF-AVCで内部記録できる新しいDIGIC DV7プロセッサを採用した。従って、このカメラはC200とC300 Mark IIで多くのユーザーが望んでいたことができるが、より大きなセンサーでより高い解像度で実現している。
Cinema RAW LightとXF-AVCのフレームレート
Cinema RAW Lightで5.9K、4Kで最大60fps、2Kでは残念ながらクロップされるが最大120 fpsで撮影できる。
XF-AVC /10ビット/4:2:2では、4K DCI、UHD、2K、およびHDで撮影できる。このコーデックでは5.9Kで記録できない。 (4Kは5.9Kオーバーサンプリングで撮影されるためクロップはされない)。 XF-AVCを使用すると、4Kで最大60fps、2KおよびHDで120fpsで撮影できるがこれはクロップされる。
デュアルピクセルAFは更に最適化
キヤノン独自の優れたデュアルピクセルオートフォーカスも搭載されており、画像領域全体の約80%をカバーしている。これは、他の同社のカメラと同様だが、オートフォーカスの追跡速度と応答を調整できるようになったことが新しい。
モジュラーデザインを採用
C500 Mark IIの本体の重量はわずか1750グラムで、ハイエンドのカメラとしては非常にコンパクトだ。
モニター出力、12-G-SDI出力およびHDMI出力などのコネクターは本体に組み込まれている。どちらも1本のケーブルで4K 50p / 60pに対応し、タイムコードを重畳する。その他、ミニジャックマイク入力、ヘッドフォン出力、2系統のXLRポートも本体に内蔵している。更に下部には12.6V DC入力がある。このカメラはC200やC300 Mark IIと同じバッテリーを使用する。
C500 Mark IIには、CFastの後継となるCF Expressカードスロットが2スロットと、同時にプロキシファイルが記録できるSDカードスロットが搭載されている。また、2、4、6stopの3ポジション固定NDが内蔵されており、8stopと10stopはこれらを組み合わせる。可変NDフィルターは採用していない。
「Slow and Fast」専用のS&Fボタンも用意されており、スローモーションモードに素早く切り替えることができる。
LCDモニター、着脱式EVF、エクステンションユニットなど
4.3インチのタッチスクリーンLCDモニター、LM-V2が付属しており、これはC200に搭載されているものよりわずかに大きく、堅牢で本体にしっかり取り付けることができる。
またEVFは着脱できるようになっており、カメラをジンバルやドローンにマウントする場合、重量とスペースを節約することができる。EVFは1.77メガピクセルの0.46インチOLEDを採用。
カメラにゲンロック、リモート接続、イーサネットを追加する場合は、エクステンションユニット1を使用する。
大きいほうのエクステンションユニット2は、まずVマウントをカメラに取り付け、マウントする。このユニットは、24V/2AのDC出力のD-タップ、ゲンロック、リモート、イーサネット、B4レンズコネクタ、12-G SDI、2系統のXLと専用コントロールポートを付加できる。
拡張ユニットを接続すると標準のEVFは使用できなくなるが、モジュール式を採用したことはメリットが大きい。更にC700のショルダーパッドとレールも使用可能だ。光軸はC300シリーズよりも低く、リグへのマウントがより簡単になる。
EF、PL、Cine EFマウントを採用 - ユーザーがレンズマウント交換可能
標準はEFマウントで、オプションのPLマウントやCineEFマウントにはユーザーが自分で交換できる。六角レンチで4本のネジを外すだけで交換可能だ。従来はEFバージョンとPLバージョンが別々に存在していたため、ユースケースが限られる場合があった。
電子式手振れ補正
キヤノンは、シネマカメラに初めて手振れ補正を搭載した。同社はこれを5軸イメージスタビライザーと称しているが、完全に電子的であるため技術的にはIBISではない。
まとめ
もちろん、まだこのカメラで撮影することはできなかったが、見た感じでは、このカメラはキヤノンの従来のシネマカメラの中で最も柔軟に使用できるモジュール式のシネマカメラで、幅広い撮影状況に対応できる魅力的なカメラだ。
筆者はC300を現役で所有し、長年にわたって多くのショットを撮影してきたが、C500 Mark IIは、使いやすく汎用性の高いカメラのように感じる。確かに、C200は正しい方向への大きな一歩だったが、10ビット/4:2:2記録ができなかったため限界があった。 C500 Mark IIは、異なる価格帯ではあるが、多くのユーザーが期待していたものを実現している。早くこのカメラで撮ってみたいものだ。
C500 Mark IIはエクステンションユニットやオプションのPLマウントなしで約15,000ユーロの価格だが、実際にはC300 mark IIが最初に発売されたときと同じ価格だ。しかしC500 Mark IIは、最大5.9K/Cinema RAW Liteを内部記録でき、ユーザー交換可能なマウント、優れたオートフォーカス、および期待されるすべての機能を備えている。できるだけ早くこのカメラを実際に使って撮影しレビューをお届けしたい。