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キヤノン EOS-1D X MarkIIレビュー – ファーストインプレッション

キヤノンはその昔、ラージセンサーでHDビデオを撮るDSLRを世に発表し、映像業界に革命を起こした。そしてその後、 “Cinema EOS”でハリウッドに参入した。しかし、その裏では、同社の次期DSLRに期待する顧客は離れて行ったのではないだろうか。

外から見ていると、それは、4K解像度への対応を、DSLR技術を流用するだけで商品を高額にし、顧客をそちらに誘導する戦略のように見えた。

しかし、ここに来てやっとEOS 1D X MarkIIが発表された。キヤノンの4K DSLRを待ちわびていたユーザーにとっては、待ちに待った1台ではないだろうか。

 

Canon 1D X Mark II (1 of 1)

1DX MarkII レビュー

今回のカメラのレビューは多くの読者からのリクエストをいただいた。読者からのメールの量を見ても、このカメラに対する期待が大きいのが分かる。ここでは、自分で所有している1D Cと比較しながら、1D Xの進化を見てみよう。

1D Cは良いカメラだったが、他社からいろいろなカメラが発売されるに伴って、自分の仕事に使う機会はどんどん減っていった。1D Cは高画質な4K内部記録、C-logなど多くの機能を持っていたが、ドキュメンタリーを撮ることにおいては、多くの問題点もあった。画質は良かったのだが、使いやすさの点で後れを取っていったのだ。

ピーキングや拡大フォーカス機能が無かったし、音質も平均的なものだった。それで、いつしかソニーのα7を使いだしたのだ。ソニーのカメラは常にカメラそのものだけでなく、システムとして考えられている。XLR入出力のK1/M2やホットシュー、あるいは28-135mmズームレンズなどだ。キヤノンのDSLRには、このような点が多少欠けていたように思える。今回も、この点に関してはあまり変わっていないのかもしれない。

Spot the difference 2 (1 of 1)

左:1D X MarkII 右:1D C

進化したオートフォーカス

外見を見てみると、写真とビデオのモードを切り替えるボタン以外、1D Cとほとんど同じだ。正直、ちょっと新鮮さに欠ける感じがした。しかし、デュアルピクセルCMOS AFは素晴らしい。写真用のレンズで動画を撮影する場合厄介なのが、可変範囲が無く、ぐるぐる回るフォーカスリングだ。キヤノンはこれをLCDのタッチスクリーンで解決している。エントリーレベルのDSLRとハイエンドのCinema EOSシリーズで導入しているが、1D X MarkIIでもこの方法を採用した。LCDモニター上をタッチしてフォーカスポイントを決めるのだが、反応が良く、快適なのだ。KinotehnikのLCD VFなどを使う場合は、右側にある小さなジョイスティックが便利だ。この場合、ルーペを使っているときに、一時的にAFを静止させる機能が欲しいところではあるが。タッチスクリーンを使用する場合は、実に簡単だ。レンズは、キヤノンの写真用のレンズとトキナ11-16mmを使った。動作音は小さくなく、多少迷うことがあったが、全体としては快適だった。

他の新機能

他の新機能としては、50/60fpsで4K収録ができる点だ。他のDSLRでこれができる機種は、まだ無い。また、今回はテストしなかったが、フルHDでは100/120fpsでの記録も可能だ。(HDでのテストは既にラボで行っている。近くレポートする予定)

カメラ本体にはCFとCFastカードスロットがある。高速で信頼性の高いCFカードで4K25p/30pを収録できるが、4K50p/60pを収録するためにはCFastカードが必要だ。コーデックは1D Cと同じMJPGを使用している。

1DXは、キヤノンのDSLRビデオユーザーにとって待望の新製品だが、我々はもう一つ期待していることがある。

キヤノンに是非お願いしたい。来る5D MarkIVでは4K/60p収録を是非実現していただきたい。C-logと外部収録用HDMI出力も必要だ。キヤノンは素晴らしいカラーサイエンスを持っている。もう一度DSLRでその名を轟かせてほしいものだ。

Canon 1D X Mark II vs. 1D C (1 of 1)

1DX MarkII 優位点(順不同)

  • 記録モードを変更した後でもカードをフォーマットする必要が無い
  • デュアルピクセルAF
  • デュアルDIGIC 6+プロセッサー
  • 高画質4K映像記録
  • 高音質の内部音声記録
  • 高感度のLCDタッチスクリーン
  • 良好な低照度撮影(ISO6400以下)
  • ヘッドフォン出力とマイク入力
  • 1DCに比べて改善されているローリングシャッター現象
  • 4K 50/60p撮影

問題点

  • 古さを感じるエンコーディングシステム。高速のPCでは編集できるが、高速のメディアが必要
  • C-logが搭載されていない
  • 4K外部記録ができない
  • 記録中にフォーカスズームができない
  • LCDモニターは固定式
  • 4Kモード時のクロップはAPS-Hよりも小さくなり、APS-Cに近い
  • 異なったアスペクトのシミュレーションをモニター上でできない
  • HDモードは今一つ

まとめ

キヤノン1D X MarkIIは、何よりまず、ハイクオリティなビデオが撮れる、プロ用のフォトカメラである。これまでの1Dカメラ同様、筐体は大きくどっしりしている。価格は20万円程度1D Cから安くなっている。新規に搭載されたデュアルピクセルCMOS AFは、動画撮影を楽にしてくれるが、コストパフォーマンスの面からは、全てのユーザーにお勧めできるわけではない。ただ、自分としては、次の仕事でデュアルピクセルCMOS AFをもう一度試してみたいと思っている。更に、キヤノンの新レンズ、18-80mmを付けても試してみたいところだ。

冒頭のビデオ設定:4K/25p MOVファイル。ほとんどISO300とISO1000~1250で撮影。ピクチャープロファイル:ナチュラル。音声は外部マイクでカメラ本体内収録。ライティングは Kinotehnik Practilite 602を使用。アドビPremiere Pro CCで編集、Filmconvertでグレーディング(Canon 1D C Natural preset)

BGM: Art-List. 使用したテーマ: “Other Scenario by Lana Inspired
A special thank you to Sandra Haischberger, Lilith, Silvie and Rosie from feinedinge. To learn more about their work, please click here

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