キヤノンがEOS C200を発表した。新ビデオフォーマット「Cinema RAW Light」により、内部4K DCI(4096×2160)/60P RAW、4K UHD(3840×2160)/60P記録が可能。フルパッケージの”EOS C200”と用途に合わせて付属品が選択可能な“EOS C200B”が用意されている。
EOS C200の概要
EOS C200はRAWをメインコーデックとして内部記録が可能としており、ドキュメンタリー収録に適したスタイルのカメラだ。「Cinema RAW Light」という新しいRAW記録フォーマットを採用することにより、ファイルサイズを小さくすることで内部記録を可能としている。Cinema RAW LightはCinema RAWと同等のカラーグレーディングが可能で、CFast 2.0メディアに記録される。
これは、多くの映画カメラユーザーにとって大きなニュースだろう。特に、約9,000ドル(公式の価格は未定)の価格はかなり魅力的だ。 RAWや高いビットレートでの収録は、高画質記録のための必要条件だが、多くの映像制作者にとってはなかなか手が出せない領域だった。内部4K RAW記録が可能な10Kドル以下のカメラの登場は非常に大きなニュースとなる。
記録フォーマット
新たに開発されたC200のDual DIGIC DV6プロセッサーは、クロップすることなく4K DCI RAW 60P、4K UHD MP4 60P、フルHD 120fpsハイフレームレート(HFR)内部記録を可能としている。
なお、EOS C200はCinema RAW Lightフォーマット以外でも、150Mbps 4K UHD、または35Mbpsでの2K/フルHDをMP4フォーマットでSDカードに記録することができる。
4K RAW/60Pでの録画が可能だが、150MbpsのMP4でも記録することができる。これはプロフェッショナルにとっては理想的とは言えない低ビットレートのコーデックだ。現在のところ、C300MarkIIのような“410Mbps All-Iコーデック”は搭載されていない。これは、高画質の収録をしたいが、RAWのワークフローまでは望んでいないドキュメンタリーやテレビ番組の制作者にとっては、少し中途半端な選択肢と言える。
ただし、プレスリリースによると、XF-AVCフォーマットでの記録は将来のファームウェアアップグレードでサポートされるとのこと。アップグレードは無償で、2018年第1四半期にリリースされる予定。
進化したオートフォーカス
キヤノンEOS C200はデュアルピクセルCMOS AF技術と新しいタッチスクリーンLCDモニターを搭載しており、ユーザーは被写体を選択してトラッキングしながらAF動作をスムースに行うことができる。顔の検出には顔優先と顔のみの選択肢があり、ユーザーのフォーカス制御を支援する。
キヤノンは、既に大型のセンサーでデュアルピクセル技術を搭載している。 C200のようなカメラでは、より優れたインテリジェントなオートフォーカスは大変有用だ。
低照度特性とNDフィルター
従来よりキヤノンのEOSカメラは、非常に良好な低照度特性を持っており、多くのユーザーに支持されている。 C200は従来機同様、102,400のISOレンジを誇っている。 同社はEOS C200は「難しい照明条件でも優れた性能」を発揮するとしている。
キヤノンによると、C200はCinema RAW Lightでダイナミックレンジを最大15ストップ、即ち、他のEOSカメラのダイナミックレンジに匹敵し、Canon Log / Log 3/MP4で最大13ストップまでサポートする。
なお、最大10stopのNDフィルタが内蔵されている。
操作性
EOS C200の重量は1.4kgとされている。ちなみにC300MarkIIは約1.8kg、C100MarkIIは1.1kgだ。このカメラがRAWで記録できることを考えると、1.4kgは優秀で、特にハンドヘルドジンバルやドローンのようなアプリケーションでも使いやすいだろう。
また、リモートコントロールのためのWi-Fiとイーサネット接続も可能で、FTP経由でファイルを転送するオプションも用意されている。
なお、新しいEVFであるEVF-V70も搭載されたが、現時点では詳細は明らかにされていない。
Cinema RAW Lightのワークフロー
キヤノンは各パートナーと協力し、Cinema RAW Lightがさまざまなソフトウェアで扱えるようにします。例えば、Blackmagic DesignのDaVinci ResolveでCinema RAW Lightの編集とグレーディングがサポートされます。 また、Avid TechnologyのMedia Composerで編集することも可能です。更にキヤノンのアプリケーション、Cinema RAW Development3を使用して処理することもできます。
Final Cut Pro X用のCanon RAW Pluginを使用すると、グラスバレーの編集ソフトウェアEDIUS ProでもCinema RAW Lightを扱うことができます。
上記のコメントから推察すると、Adobe Premiereは、現時点ではリストにはないようだ。
主な機能
- Cinema RAW LightまたはMP4形式の内部4K記録
- フルHDで、クロッピングなしで連続120fps(最大)のハイフレームレート記録
- 最大15ストップのダイナミックレンジ(Cinema RAW Light)
- プロフェッショナル品質の画像とオーディオ
- タッチコントロールと豊富な撮影機能を備えたデュアルピクセルCMOS AF
- 操作が簡単で柔軟な構成
価格と発売時期
EOS C200は2017年7月に発売の予定で、価格は約9,000ドル(正式な価格は未定)とされている。現時点では、欧州での事前予約が可能。
以上、現時点の情報だが、これは非常に興味深い製品であり、今後が楽しみだ。LAのCine Gearで初めて目にすることになると思われるので、来月中に改めてレポートしたい。
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