先日ニコンの新しいフルフレームミラーレスZ6とZ7の記事をリリースしたが、今度はキヤノンがフルフレームミラーレスシステム“EOS R”を発表した。今回の発表は単に新製品の発表ではなく、カメラボディと4本のレンズを含む“システム”として打ち出された。
EOS Rは、同社初のフルフレームミラーレスカメラシステムとなる。もちろんマウントが新しくなり、“RFマウント”と名付けられている。バックフォーカスを短く設計されており、これによりアダプターを介して従来のEFレンズもマウントできる。
また、今回の発表では、新しいRFマウントに対応した4本のネイティブレンズも発表された。新しいレンズは24-105mm F4と28-70mm F2の2本のズームと、50mm F1.2と35mm F1.8の2本の単焦点レンズだ。
EOS Rシステムの概要
キヤノンEOS Rシステムは、フランジバック20mm、マウント径54mmの新しいRFレンズマウントで、12ピンでカメラボディとレンズが通信する。同社によれば、これによりレンズ設計におけるより大きな柔軟性が可能になるという。以下は新しいEOS Rシステムのプロモーションビデオ。
https://www.youtube.com/watch?v=3uAxIA6I_BE
EOS Rシステムは、アダプターを介して従来のEFマウントレンズを装着することができるが、このアダプターには、“マウントアダプター”、“コントロールリング マウントアダプター”、そして2種類の“ドロップインフィルター マウントアダプター”の4種類が用意されている。
コントロールリング マウントアダプターは、新レンズに搭載されているコントロールリングと同じ働きをするリングが装備されている。また、ドロップインフィルター マウントアダプターは、円偏光フィルターと可変NDフィルターを搭載する。
カメラボディの“EOS R”は、同社のDSLRに対し、いくつかの新機能を備えている。まずカメラ後部には様々にカスタマイズできるファンクションバーが付けられた。好みの機能をアサインし、バーをなぞることによってコントロールすることができる。さらに、約369万ドットのOLED(有機EL) EVFと、回転式のバリアングルタッチスクリーンLCDパネルが搭載されている。
静止画撮影では、同社の新しいRAWフォーマットであるCR3(RAW / C-RAW)での撮影が可能。デュアルピクセルAFもサポートされる。もちろん、ボディはマグネシウム合金製で、軽量化を図り、耐候性、耐塵性にも配慮されている。
ビデオ機能
ビデオに関しては、EOS RはフルHDで50p / 60p、4K UHD(3840×2160)で25p / 30pで記録できる。コーデックはMPEG-4 AVC / H.264で、ビデオはRec.2020またはCanon Logで、8ビットで内部記録できる。我々は、4K UHDでの撮影では、クロップモードで動作すると言われた。これは残念なことだ。しかしRec.2020あるいはCanon Logで、422 10bitをHDMI出力できるのは良い点ではある。
ハイフレームレートの収録は見送られたようだ。ソニーのα7 IIIは1080pで、最大120fps記録できる。新しいニコンZ6とZ7もフルHDで120fps記録が可能だ。 キヤノンによると、EOS Rは新しいシステムの最初のボディなので、今回の新製品には搭載されなかったとのこと。我々ビデオクリエーターにとっては、上記の仕様は少し残念なところがあるが、単純に仕様からカメラを判断しないで、今後レビューしてみたいと思う。
現在の情報からEOS Rに欠けていると思われるものは、次のような機能だろう。IBIS(in body image stabilization:ボディ内手ブレ補正)が無い。 EOS Rに搭載されているセンサーは、ソニーのα7IIIやニコンZシリーズのようなボディ内IS機能を持っていない。また、EOS RはSDカードスロットは1スロットしか無い。(これはニコン機も同じ)
新RFマウントレンズ
EOS Rカメラ本体に加え、RFマウントの4本の新レンズがリリースされる。
新しいレンズは、次の4本。
- RF 24-105mm F4 L IS USM
- RF 28-70mm F2 L USM
- RF 50mm F1.2 L USM
- RF35mm F1.8 MACRO IS STM
これらすべてのレンズは、RFレンズマウントにより、柔軟なレンズ設計のもとに作られている。これにより、レンズをよりコンパクトにできると同時に、非常に明るいレンズを設計することが可能になった。28-70mm f / 2はズーム全域で開放F値2の初のズームレンズで、その成果だろう。
RFレンズは、アイリスコントロールなどのいくつかの機能をプログラムできるコントロールリングを新たに搭載している。これにより、ボタンやダイヤルを操作することなく、両手でカメラを保持しながら、瞬時にすべての機能を制御することができる。
競合
ニコン、そしてキヤノンの参入により、ミラーレスカメラの競合が熱くなってきた。ソニーはこのセグメントでリードしているが、今後これらカメラの老舗が追ってくるだろう。ニコンZ、キヤノンEOS Rと続いたが、パナソニックも何か考えているだろうか? そして、多くのユーザーが待ち望んでいるのが、ソニーα7SIIIだ。
キヤノンのデュアルピクセルオートフォーカスは、おそらく現状では、ビデオのオートフォーカスとしては最高のものだろう。そしてそれはEOS Rにとって大きなセールスポイントになることは間違いない。
価格と発売時期
カメラは10月下旬より発売予定。ボディは2299ドルとされている。(日本ではオープン価格)レンズとアダプターの価格は以下の通り。
- RF24-105mm F4 L IS USM 15万5,000円(税別) 10月下旬
- RF50mm F1.2 L USM 32万5,000円(税別) 10月下旬
- RF28-70mm F2 L USM 42万円(税別) 12月下旬
- RF35mm F1.8 MACRO IS STM 7万5,000円(税別) 12月下旬
- マウントアダプター EF-EOS R 1万5,000円(税別) 10月下旬
- コントロールリング マウントアダプター EF-EOS R 3万円(税別) 10月下旬
- ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R
- ドロップイン 円偏光フィルター A 付 4万5,000円(税別) 2019年2月下旬
- ドロップインフィルターマウントアダプター EF-EOS R
- ドロップイン 可変式NDフィルター A 付 6万円(税別) 2019年2月下旬
- ドロップイン 円偏光フィルター A 3万円(税別) 2019年2月下旬
- ドロップイン 可変式NDフィルター A 4万5,000円(税別) 2019年2月下旬
- ドロップイン クリアフィルター A 1万2,000円(税別) 2019年2月下旬
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