キヤノンがRFマウントのフルフレームミラーレスカメラEOS R5とEOS R6を発表した。キヤノンEOS R5は45メガピクセルの静止画を撮影でき、8K RAWビデオを最大29.97 fpsで、4Kで最大120 fps/10ビットで内部記録する史上初のフルフレームミラーレスカメラだ。 EOS R6は、20.1メガピクセルの静止画、最大60p/10ビットの4Kビデオ、または最大120fpsのフルHDを記録できる。
同社はC500 Mark IIやC300 Mark IIIといった革新的なEOSシネマカメラや、1D X Mark IIIなどのDSLRを相次いで導入しているが、今回ミラーレスカメラでも注目の新製品が発表された。
EOS Rは多くの映像クリエーターに使用されているが、十分に満足できるものではなかった。トリミングされる4Kモードや10ビット4:2:2以上の内部記録モードを欠いていたことなどが挙げられる。
今回の発表は、我々映像クリエーターにも非常に興味深いミラーレスカメラと言える。
新世代のEOS Rカメラ
EOS R5とEOS R6はどちらもフルフレームのCMOSセンサー(解像度は異なる)とRF マウントを備えている。 EOS R5とEOS R6の中心部には、EOS-1D X Mark IIIで使用されているのと同じDIGIC Xプロセッサーが内蔵されている。なお、この記事ではいつものようにビデオ機能に焦点を当てて解説する。
ただし静止画機能も興味深く、EOS R5とEOS R6はどちらも、フルオート露出(AE)およびオートフォーカス(AF)トラッキングの電子シャッターで最大20fps、またはメカニカルおよびエレクトロニックファーストシャッターで最大12fpsで静止画を撮影できる。
手振れ補正
どちらのカメラにも、新しい5軸のIBIS(ボディ内手振れ補正)が搭載されており、手持ち撮影や低シャッタースピードで非常に有用だ。キヤノンは、このIBISはすべてのレンズ交換式デジタルカメラの中で世界最高の手振れ補正であると述べており、8.0stopまで補正できる。
IBISは、RFおよびEFレンズのISシステムと連携してさらに強化されるが、もちろん非ISレンズやビンテージレンズでもIBISだけで補正される。
オートフォーカス
キヤノンの優れたデュアルピクセルオートフォーカスシステムは今や誰もが知る存在と言える。どちらも次世代のデュアルピクセルCMOS AF IIをサポートしており、フォーカス速度と信頼性がさらに向上している。オートフォーカスはまた、暗い場所でも良好に機能し、EOS R5は-6EV、EOS R6は-6.5EVの暗さでもフォーカシングできる(どちらも写真撮影時)。
オートフォーカスはオブジェクトを追跡することもできる。 iTR AF X AFシステムは、浅い被写界深度で予測できない動きをした場合でも、被写体にフォーカスが保たれる。例えば人が一瞬背を向けても、常に追跡され続ける。人間だけでなく、猫、犬、鳥の顔と瞳を認識し、静止画モードと動画モードの両方でオートフォーカスされる。
接続性
どちらのカメラにもBluetoothとWi-Fiが内蔵されている。 EOS R5は5GHz Wi-Fi、EOS R6は2.4GHz Wi-Fiでスマートフォンやネットワークに接続でき、高速ファイル転送とFTP / FTPS転送が可能。また、Camera ConnectやEOS Utilityアプリを使用し、Wi-FiやUSB 3.1 Gen 2でパソコンにテザリングすることで、リモートコントロールすることもできる。
EOS R5の8K RAWビデオ記録
EOS R5は45メガピクセルセンサーを搭載しており、5,940の選択可能なAFポイント、100〜51,200のISO範囲で100%のAFを備えている。マグネシウム製の本体にはCFexpressとSD UHS-II の2つのカードスロットがある。 EOS R5本体の重量はわずか650g(バッテリー/メモリーカードを含むと738g)。
そして内部記録モードは以下の通り。
- 12ビットRAW、4:2:2 10-bit Canon Log(H.265)、または4:2:2 10-bit HDR PQ(H.265)で最大29.97fps(非トリミング)の8K(8192 x 4320)ビデオ記録
- 4:2:2 10ビットCanon Log(H.265)または4:2:2 10ビットHDR PQ(H.265)で最大119.88fps(非トリミング)の4K(DCIまたはUHD)ビデオ記録
30pまで使用できるいわゆる4K HQモードもある。オーバーサンプリングにより8K映像を4K解像度にし、通常の4Kモードよりも高精細な4K映像を可能にしている。
EOS R5はHDMI経由で、4:2:2/ 10-bit / Canon Log の4K 59.94fps、または4:2:2 /10-bit HDR PQビデオを出力することも可能。
なお現在のところ、4K RAWが記録できるかどうかについての情報はない。また、FHDで利用可能なフレームレートや、各記録モードのビットレートも明らかにされていない。今後情報が入り次第お知らせする。
大きなピクセルを持つEOS R6
EOS R6は、最大6,072個の選択可能なAFポイントを備えた20.1メガピクセルのフルフレームセンサーを搭載している。センサーのピクセルが大きいため、100〜102,400のISOが選択できる。 EOS R5よりも低照度特性が優れていると思われるが、今後テストしたい。
EOS R6は、Canon Log/8ビット/H.264、またはYCbCr /10ビット/4:2:2 /H.265のいずれかで、最大59.94fpsの4K UHD映像を内部記録できる。これは、トリミング無しの5.1Kからのオーバーサンプリングで撮影される。
FHDでは、AFで最大119.88fpsのスローモーション映像を記録できる。
0.5インチEVFは369万ドット最大120fpsのリフレッシュレートのR5よりわずかに低く、背面のモニターディスプレイはわずかに小さく、3インチで、162万ドットの解像度を持つ。
カードスロットは2つあるが、どちらもSD UHS-IIスロットで、異なるフォーマットで同時記録できる。 EOS R6本体の重量は598g(バッテリー/メモリーカードを含むと690g)で、EOS R5よりもわずかに軽量となっている。
新バッテリーとバッテリーグリップ
キヤノンは、新しいバッテリーパック、LP-E6NHも発表した。 LP-E6またはLP-E6Nと同じ形状だが、2130mAhで容量が14%増加している。
新しいBG-R10バッテリーグリップは、EOS R5とR6共通。 2個のバッテリー(LP-E6 / N / NH)を収納でき、垂直方向の撮影用のコントロールも付属する。
なお、WFT-R10はEOS R5と互換性があるバッテリーグリップスタイルのWi-Fiトランスミッターで、2×2 MIMOアンテナを備え、高速で長距離の伝送を実現する。 WFT-R10は、Wi-Fi経由のSFTPを可能にする強化されたネットワーク処理も可能で、イーサネットポート経由のギガバイト速度を実現している。
価格と発売時期
価格はキャノンオンラインショップで、EOS R5が460,000万円(税別)で7月下旬発売予定、EOS R6は305,000円(同)で8月下旬発売予定となっている。なお、EOS R6はレンズキットも用意されており、RF24-105 IS STM付属で345,000円(同)、発売時期は8月下旬とされている。