キヤノンは、ミラーレスフルフレームカメラのEOS RラインナップにEOS Raを追加した。名前が示すように、このカメラはEOS Rに近いものだが、「a」はその目的である天体写真(astrophotography)を暗示しているようだ。
EOS Raはまったく新しいカメラではないが、天体写真撮影専用の機能が多数搭載されている。天体写真を撮るカメラマンは、天の川を美しく撮影するのがどれほど難しいか知っている。EOS Raは、このような難しい天体撮影をサポートしてくれる。
EOS Raの概要
天体写真を専門に撮影する場合は物理学の知識が必要だ。宇宙には可視光があまりないが、代わりに多くの目に見えない赤外線がある。 Hアルファ線と呼ばれるものだ。そして、これらのHアルファ線(Ha、656.28nm)をキャプチャすることにより、正確に色付けされた遠方の銀河のショットを撮影できる。そのため、EOS RのIRブロッキングフィルターを変更している。この変更により、EOS Raは、EOR Rカメラと比較して約4倍の光を取り込むことができる。遠方の星雲でも、専用のアクセサリーなどを必要とせずに撮影できる。
キヤノンEOS Raは、広角レンズで非常に遠くの天体を撮影するときに注意が必要なフォーカシングを支援するため、EVFとライブビューで30倍に拡大することができる。一方、EOS Rはわずか10倍の倍率だ。
このカメラは、特別な用途のための特別なカメラなので、通常の撮影をする場合は購入するべきではない。IRフィルターにより、色が消えてしまう。ただし、レンズの前に別のフィルタを追加すると、その効果を打ち消すことができる。このカメラの目的から外れてしまうが、EOS Raを通常のカメラとして使用することができる。
主な仕様
上記のように、EOS RaはEOS Rを変更したものなので、仕様もほぼ同じとなっている。
- 30.3メガピクセルフルフレームCMOSセンサー
- 最大解像度(静止画):6720 x 4480
- 内部ビデオ録画:mp4 / h.264
- UHD 4K(3840 x 2160)@ 23.976p / 24p / 25p / 29.97p
- FullHD(1920 x 1080)@ 23.967p / 24p / 25p / 29.97p / 59.94p
- 外部録音4:2:2 10ビットUHD
- デジタル5軸手振れ補正(ビデオのみ)
静止画モードで手振れ補正が搭載されていないが、天体を撮影する場合は常に三脚を使用するので、これは問題ない。
EOS Raの意義
EOS Raは特別な目的のための特別なカメラだ。天体写真を撮るカメラマンには大きなニュースだろう。完全に専用のカメラというのは、その目的で使うならこれ以上のものはない。ただし、通常の撮影には全く向かない。
EOS Raは12月上旬発売予定。価格はオープンだが、実勢価格は30万円前後。
Link: キヤノンのサイト