ラスベガスで開催されているCES 2020で、キヤノンは新しいフラッグシップフルフレームDSLR、 EOS-1D X Mark IIIを発表した。このカメラは新しい20.1メガピクセル CMOSセンサーを備えており、最大4K 60pのビデオを10ビット4:2:2 Canon Logおよび5.5K RAWで内部記録できる。
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EOS-1D Xの系譜
今年の夏に東京で開催される2020年オリンピックの直前に、キヤノンは新しいフルフレームDSLR、EOS-1D X Mark IIIを発表した。 EOS-1Dシリーズは、2011年に最初のEOS-1D Xが導入されて以来、常にキヤノンのフラグシップDSLRだった。2016年、同社はEOS-1D X Mark IIを発売。今日でも、静止画と動画撮影両方の主力製品だ。
EOS-1D Xは万人向けではない。大きく、重く、かつ高価だ。しかし確かなことは、高価なだけのことはあるカメラだ。ボディはマグネシウム合金製で、写真とビデオどちらにも通用するハイエンド機だ。キヤノンのデジタル一眼レフは、ここ数年で、ビデオ機能に関しては大幅に遅れをとってしまったが、EOS-1DX Mark IIIで挽回するかもしれない。
静止画機能
EOS-1D X Mark IIIは、フルフレーム20.1メガピクセルCMOSセンサーを搭載している。また、新しいDIGIX Xプロセッサーとローパスフィルターにより、100~102,400 ISO(最大819,200まで拡張)で撮影でき、よりクリーンでノイズの少ない画像を生成できる。
また、ビューファインダーまたはLiveViewモードでは、最大16fpsを撮影できる。バーストモードでは、AF / AEフォーカストラッキングにより、正確にフォーカスされる。 RAW + JPEGバッファーの定格は1000+となっている。
JPEG、RAW、またはHEIF形式の写真を撮影できる。この新しいHEIF形式は、iPhoneの撮影形式に似ており、JPEGファイルの2倍の情報を保存できる。
ビデオ機能
ビデオでは、素晴らしい機能を持つ。まず、Mark IIに搭載されなかったCanon Logがサポートされた。以下は、各記録モードのリスト。
- 1080Pで最大120fpsのビデオ記録。
- 4K DCI では、H.265 / HEVCコーデックを使用し、4:2:2 10ビット/ Canon Logで最大60fps。 Canon Logをオフにすると、H.264で4:2:0 8ビットのみ可能。
- 5.5K(5,472 x 2,286)RAWで、最大60fps/12ビット記録。ビットレートは2600 Mbps。
5.5K RAW撮影モードではクロップされないが、4K DCIモードではわずかにクロップされる。5.5Kではセンサー幅全体を使用するが、4K DCIではダウンサンプリングするため、両側に約256ピクセルの小さなクロップが予想される。
EOS-1D X Mark IIIのセンサー自体に手振れ補正機能は無いが、Movie Digital ISを組み込み、補正している。また、ビデオモードでは、ピーキングとフォーカスガイドを使用できる。
映像は常時、2枚のCFexpressカードに保存される。
入出力は、3.5mmのマイクジャック入力と3.5mmのヘッドフォンジャック出力が装備されている。また、ミニHDMI出力もあり、これは4Kのみに対応する。 USB Type-Cポートも搭載されているが、これを通してカメラを充電できるかは不明。
新AFセンサー
EOS-1D X Mark IIIには新しいAFセンサーが搭載されており、Mark IIのAFセンサーよりもはるかに大きくなっている。この新しいAFセンサーは、センサーの90%をカバーし、合計525のAFエリアに対応している。
これはEOS-Rの優れたAF性能の技術を継承している。キヤノンによると、「あらゆる状況で比類のないフォーカス追跡のためのディープラーニング技術を備えた高度なAFアルゴリズム」を採用している。
ビデオ撮影で有用なAFシステムの1つであるデュアルピクセルCMOS AFテクノロジーはEOS-1D X Mark IIIにも採用されている。ただし、デュアルピクセルCMOS AFは、4K 50P / 60Pアンクロップモードおよび5.5K RAW 60Pビデオ撮影モードでは機能しない。
その他の機能
前述の通り、1D X Mark IIIは、バッテリーとカードを備えた1.4Kgのマグネシウム合金ボディで、レンズなしでも十分重いカメラだ。サイズは158.0 x 167.6 x 82.6 mm。
背面には、3.02インチ/8.01cmのタッチスクリーンディスプレイと、2つのステータスディスプレイがある。1つはメインスクリーンの下に、もう1つはカメラの上部に置かれている。 バッテリーはLP-E19を使用すし、持続時間は23°Cで4時間40分、0°Cで4時間10分とされている。
最近のカメラ同様、写真をスマートフォンにBluetooth経由で転送できる。またGPSがあり、撮影場所の情報も添付できる。フルサイズのイーサネットポートとWiFiモジュールも内蔵している。更にオプションのWFT-E9ワイヤレス送信機を購入すると、ワイヤレス転送の範囲を拡大し、高速化できる。
なお、カメラの背面にあるすべてのボタンを照らすことができ、暗い状況では非常に便利。またAFセンサーを効果的に管理するために、マルチコントローラーに加えてAF-ONボタン内に新しいAFポイント選択コントロールが装備されている。
価格と発売時期
価格は88万円前後。2020年2月中旬発売予定。