Sumire Primeの開発背景をキヤノンに聞く
今年のInter BEEで、キヤノンのSumire Primeレンズについて、プロダクトマネージャーの塗師氏にインタビューを行った。このレンズは鮮明さの中にも柔らかさを求めた独特のレンズだが、その開発の背景を伺った。
キヤノンSumire primeは、オリジナルのCN-Eシネプライムとは対照的に、独自の特性を加えた、新開発のレンズラインアップだ。これらのレンズは非常に高い解像度を持ちながら、柔らかさも併せ持っている。また、多少のフレアも見られるが、これらのフレアはよく制御されており、むしろこのレンズの特徴の一つとなっている。
現代のデジタルカメラやレンズの進化は目覚ましいものがある。しかし、最近の映画用レンズには、高解像度で「完璧」な光学特性だけではなく、ストーリーを伝えるためのもう一つの「何か」が求められている。このような要求に応え開発されたのが、Sumire Primeレンズで、技術的な優位性と完璧な画像以上のものを持つレンズだ。
Sumire Primeレンズの概要
レンズの「キャラクター」とは最近よく聞く言葉だが、Sumire Primeレンズはまさにそのキャラクターを持つレンズだ。ただし、古いヴィンテージレンズのようなものではない。Sumire Primeは、間違いなく最先端の技術で開発されたものだ。もともと優れた性能を持つレンズに、その品質に影響を与えず、独特のルックを加味している。以下はキャノンがC700 FFにマウントして撮影したSumire Primeのプロモーションビデオ。
Sumire Primeを開発するにあたり、キヤノンは世界中のプロのシネマトグラファーから多くのフィードバックを集めた。明確な傾向は、光学的に完全な(ニュートラルな)レンズではなく、独特のルックを持つ創造的なツールとしてのレンズが求められているという事実だった。
そしてその結果が、Sumire Primeのレンズラインアップとなって製品化された。レビューで分かるとおり、これらのレンズのルックアンドフィールはかなり印象的なものだ。
Sumire Primeは、現在以下の焦点距離で構成されている。
- 14mm T3.1
- 20mm T1.5
- 24mm T1.5
- 35mm T1.5
- 50mm T1.3
- 85mm T1.3
- 135mm T2.2
各レンズはフルフレームセンサー用で、最大8Kの解像度に対応する。インタビューでキヤノンの塗師氏は、コントラストと解像度は同じものではないため、非常に高い解像度を実現しながら、適切なコントラストを持っている、と述べている。
14mmを除く各レンズは、105mmのフロントフィルターを装着することができる。すべてのレンズはスムーズな300度の回転角を持つフォーカスリング、11枚の絞り羽根、統一されたハウジングを持つため、フォーカスギアとアイリスギアは同じ位置にある。114mmのフロント径に加え、レンズの両側の焦点距離と絞り値のマーキングも同様に統一されている。 マウントはPLが標準だが、EFに交換することもできる。
価格
シネレンズは高価なキットになる傾向があり、Sumire Primeも例外ではない。同様の他のレンズと比較して非常に高価という訳ではないが、どちらかというとレンタルハウス向けだろう。
更に詳しい情報は、こちらから入手できる。(英語サイト)