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キヤノンXF405レビュー - 1インチセンサー搭載の4K対応ハンディ―ビデオカメラ

キヤノンが XF405XF400LEGRIA VIXIA GX10(日本名iVIS GX10)を発表したのは既報の通りだが、ソニーからもPXW-Z90をはじめとした一連の新製品が発表され、ここのところニュースやドキュメンタリー向け1インチセンサーハンドヘルドカメラ市場が賑やかだ。これらのカメラはいわゆるビデオカメラのカタチとして古くから確立されているが、確実に進化している。今や4Kハンドヘルドビデオカメラが、安価に手に入る時代になった。

さて、これらハンドヘルドビデオカメラのトレンドは単板ラージセンサー化で、映画的なルックの映像も撮れるオールラウンドなビデオカメラとなりつつある。独立系の映像カメラマンやニュースカメラマンなら、今回紹介するキヤノンXF405 / 400 / LEGRIA GX10(日本名iVIS GX10)は多彩な機能を持ち、手頃な価格で、最適なカメラの選択肢の一つだろう。今回、これらのカメラをテストする機会があったので、レポートしよう。

なお、テストしたカメラは最終製品ではないので、製品と画質が多少異なる可能性がある。

XF405(右) vs. GX10

さて今回はXF405のプリプロダクションユニットを使って撮影しているが、このXF405とXF400、およびコンシューマー向けのLEGRIA GX10(日本名iVIS GX10)は、センサーサイズ、解像度、フレームレート、画質に関して全く同等だ。XF405とXF400の唯一の違いは、XF405はSDI出力を備えていること。また、LEGRIA GX10(日本名iVIS GX10)には、XF405/400と異なりハンドグリップが標準装備でないため、XLRオーディオ入力が省かれている。

XF405(右)とLEGRIA GX10のコネクタの違い

 

XF405/400では4chのオーディオ記録ができる

使い勝手

このカメラのデザインは従来とあまり変わらないし、またあまり変わるべきものではないかもしれない。しかし、カメラの電源を入れると、内部は大きく進化していることが分かる。キヤノンお得意のデュアルピクセルオートフォーカス機能が、このカメラにも搭載されているからだ。 かつてはプロの世界では「オートフォーカス」という言葉は使われていなかった。今や、プロの世界でもオートフォーカスが使えるようになったのは、キヤノンのオートフォーカス技術の貢献が大きいだろう。画面上をタップして被写体にフォーカスを追従したり、マニュアルフォーカスとデュアルピクセルフォーカスアシストを自由に切り替えたりと、今や期待値の95%くらいに達していると感じる。内蔵レンズを完璧にコントロールし、フォーカスアシストインジケーターが緑色に変わるのを見ると実に安心感がある。また、フォーカスリングをマニュアルコントロールする場合も実に反応が良く、グリップ感や回転のフリクションも適切だ。

また、上部に移されたデュアルSDカードスロットも良く考えられており、非常に使いやすい。レンズは固定で、15倍ズーム(35mm換算で25.5〜382.5mm)が搭載されている。これだけ広角が撮れれば、ワイドコンバーターレンズを使わなくても、ほとんどの場合に対応できるだろう。更に、フルHDで120fpsの高速記録ができるため、スムースなスローモーション映像を撮ることもできる。

ただ、ジョイスティックがカメラの左後部にあるため、操作する場合は両手w使わなければならない。右側にあれば良かったのだが。

XF405 in/out ports

このカメラで考慮すべきもう一つのことは、F値が一定ではない(f / 2.8-4.8)こと。 ニュースなどで使用される場合、望遠側でも使用されることが多く、この場合は多少映像が暗くなってしまう。プロ用の機種だけでも、できれば固定F値のレンズを装備して欲しいところだ。

なお、不可解なのは記録フォーマットが欧州仕様はPALとNTSCに対応しているが、日本仕様はPALに対応していないこと。即ち、日本仕様では50p、25pで記録できない。

画質

画質は1インチのセンサーサイズの妥当な画質と言える。即ち、屋内で撮影するときにはノイズが確認できるが、目立つほどではない。またローリングシャッター現象は良く抑え込まれており、望遠側でカメラを速く動かさない限り、発生することは無い。

その他の考慮すべきポイント

4K 50P/60pは、ニュース取材でも標準になりつつあり、この新しい1インチセンサーカメラでそれが実現されているのは正常な進化だろう。記録はUHD4K、FHDとも8ビットだが、記録設定メニューを外部記録専用に設定すると、SDIあるいはHDMIから、FHD 4:2:2 10ビット出力が可能。これを外部レコーダーなどで記録することができる。

優位点(順不同)

  • 良好な操作性(特にワンマンでのドキュメンタリー撮影の場合)
  • 1インチセンサーの採用とそれによる高画質
  • 4系統のオーディオチャンネル
  • 上部に位置するデュアルSDカードスロッ
  • 4K(UHD)/60 fps記録
  • FHD/120 fps記録
  • 焦点距離25.5〜382.5mm(35mm換算)の15倍光学ズームレンズ
  • 見易いEVF
  • 3段の内蔵NDフィルター(1/4、1/16、1/64)
  • SDI (XF405)/ XLR(XF405/400) / HDMIコネクター
  • デュアルピクセルオートフォーカス
  • 応答性の高いフォーカスリング
  • LCDタッチスクリーンによるフォーカスシフト
  • 十分な広角域
  • Wide DRによる広いダイナミックレンジ
  • 手振れ補正機能
  • 良く抑えられているローリングシャッター現象(テレ端で発生する可能性あり)

XF405 Wide DR ガンマ設定

短所(順不同)

  • NTSC地域向けはPAL記録できない
  • 内部4K記録は4:2:0/ 8ビット
  • 外部4K出力は、HDMIでのみ可能で、4:2:0/8ビット
  • 内部フルHD記録は、4:2:0/8ビット
  • フルHD記録は最大35Mbps(ブロードキャストの標準データレートは50Mbps)
  • 外部音声録音時は、同時内部録音はできない
  • ズームによりF値が変動
  • C-LOG非搭載
  • ファンをオフにすることができない(オンと自動モードのみ)
  • ジョイスティックは左側にあり、メニューを操作する場合両手を使う必要がある
  • 価格はやや高価
  • アスペクトレシオマーカーが無い

XF405 ファンはOffできない

まとめ

Canon XF405はコンパクトなデザインで使いやすいが、C-LOG、ISO設定(dB表示のみ)、あるいはアスペクトレシオマーカーがないため、いわゆる映画的な映像制作ではなく、ニュース取材や小規模なドキュメンタリー撮影に向いている。XF405 / XF400 / LEGRIA GX10(日本名iVIS GX10)は、優れたオートフォーカス機能、使いやすさ、ワイドで広いズーム域のレンズ、キヤノン特有のスキントーンなどにより、このカテゴリーのカメラでラージセンサーによる表現力を求めているユーザーにはアプローチできるだろう。

上記のビデオのカメラ設定:キヤノンXF405、4K(UHD)25pで撮影。Wide DRガンマプリセット。Filmconvertでカラー補正。

アートリストトラックのBGM:Befun – No Vocals by The Town Shop

キヤノンのXF405/400 Webサイトはこちら

 

フジヤエービックのショップサイト

  • Canon XF405 (予約受付中:11月上旬発売予定)
  • Canon XF400 (予約受付中:11月上旬発売予定)

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