キヤノンはプロ用カムコーダーXF605を発表した。XF605は、4K 4:2:2 10bitの画像取り込みと、IS付きの光学15倍ズームレンズを搭載している。
キヤノンは、新しいプロ用ビデオカメラを発表した。このカメラは、フルフレームセンサーでも、S35㎜センサーでもなく、S35mm以下のセンサーを搭載した、クラシックなカムコーダーだ。
XF605の概要
4K 60p/50p 4:2:2 10bit、フルHD 120pまでのハイフレームレートなど、サイズに見合った性能を備えている。1インチのCMOSセンサーからのデータをDIGIC DV 7プロセッサーで処理する。
記録方式は、XF-AVC(H.264 – Intra Frame or Long GOP)、MP4(H.264 or H.265 – Long GOP)を採用。
また、HDR(HLG/PQ)やCanon Log3、ユーザーが作成したカスタムルックファイルなど、様々なニーズに対応できるカスタムピクチャーオプションを搭載し、ポストプロダクションやフィールドでの柔軟性を高めている。また、キヤノンの他のカムコーダーも、ファームウェアのアップデートによりC-Logに対応している。
XF605はレンズが固定されているため、レンズとの一体感があり、スムーズな5軸手ブレ補正を実現している。「標準」「ダイナミック」「パワード」の3つの設定を組み合わせた4種類のISが用意されており、撮影環境に応じて最適なIS機能を選択できる。
4K 15倍ズームレンズ
内蔵の4K Lシリーズレンズは、4Kでは光学15倍、FHDでは30倍の “アドバンスト “ズームを実現している。25.5~382.5mm(フルフレーム換算)、F2.8~F4.5の範囲で撮影が可能。また、電動NDフィルター(1/4、1/16、1/64)や、アイリス、ズーム、フォーカスの3つの専用コントロールリングを内蔵している。
XF605は、キヤノンの高速・高精度なデュアルピクセルCMOSオートフォーカスシステムを採用しており、XFシリーズに搭載されている瞳AFとEOS iTR AF Xのインテリジェント頭部検出・追尾機能(顔がレンズから離れている場合)を備えている。これも上位機種から採用されている機能だ。
操作性
直感的な操作でピントを合わせたい被写体を選ぶことができる「ダイレクトタッチ」を採用し、画面上の設定やメニューの操作、再生のコントロールが可能。
アサイン可能なボタンは全部で11個、100種類以上の機能をメニューから選ぶことができる。
個人的には、タッチパネルでのピント合わせは信頼性に欠けることが多いので使用していないが、現場での一人での撮影ではかなり有効かもしれない。
接続性
XF605には、カメラの機能を拡張するためのマルチファンクションアクセサリーシューが搭載されているが、その第一弾としてTEAC製の高品位XLRマイクアダプター「CA-XLR2d-C」が登場した。このアダプターを使用することで、XF605が持つ4つのオーディオチャンネルすべてにXLR入力を割り当てることができ、より柔軟に音声を取り込むことができる。XG605は、2系統のXLR入力に加えて、3.5mmステレオ入力を装備している。
さらに、ゲンロック/シンク、TC入出力、音声モニター用のヘッドホン出力など、プロ仕様のI/Oを搭載している。
また、複数のプロトコルに対応したIPストリーミング機能、キヤノンのPTZカメラと組み合わせてマルチカメラを操作できるリモートコントロール機能、USB-C経由で簡単にウェブカメラを使用できるUVCの追加など、ライブストリーミングにも対応している。
XF605は、デュアルSDカードスロットを備えており、異なるファイルフォーマット、解像度、カラーサンプリング、プロキシを別々のカードに同時に録画することができる。
さらに、12G-SDIとHDMIの同時出力が可能なので、モニターや放送局、レコーディングシステムに接続して、ライブとプリレコーディングの両方のワークフローに対応できる。
XF605は、キヤノンの新アプリ「Content Transfer Mobile(CTM)」に対応しており、撮影前や撮影後にメタデータを編集したり、カメラからスマホに映像を取り込んで、放送局のサーバーなどにすぐに転送することができる。
仕様
XF605は、XF705に比べて約10%の小型化と約600gの軽量化を実現し、約2kgの重量。このカムコーダーの性能からすると、かなり軽いと言える。主な特徴は以下の通り。
- 1.0型CMOSセンサーとDIGIC DV7プロセッサーを搭載
- 4K UHD 60p/50p 4:2:2 10-bit in XF-AVC, およびMP4
- 4K Lシリーズ、光学15倍ズームレンズ、FHDでは30倍のアドバンストズームを搭載
- 瞳検出AFとEOS iTR AF Xを搭載したデュアルピクセルCMOS AF
- PQ & HLG HDRフォーマットに対応
- プロキシを含む同時記録の多様性
- 12G-SDI、HDMI、XLR入力、イーサネット、Wi-Fi、USB-Cなどのプロフェッショナルな接続性
- スマートフォンへのファイル転送やニュースメタデータの編集が簡単にできるCTMアプリ
価格と発売時期
2021年第4四半期に出荷を予定。価格はまだ確定していないが、キヤノンによると4.500ユーロ以下(+税)を目指しているとのことだ。