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映画監督クリストファー・ノーランがNetflixを嫌う理由

映画監督クリストファー・ノーランがNetflixを嫌う理由

ネットフリックス(Netflix)がまたやり玉に挙がっている。最近、カンヌ映画祭で評判の悪かったストリーミングジャイアントは、今また映画監督のクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)の批判を浴びている。新しい技術により、映画が簡単に観られえるようになり、映画業界が変わりつつある。今後、映画館はストリーミングサービスの脅威にさらされるのだろうか。

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「インタビューでは4人に3人が夕方自宅で過ごしています。以前は、半分以上が映画館に足を運んでいたし、熱心な映画愛好家も多くいました。新しい技術は映画産業を変え、制作と配給の仕組みを破壊し、映画館を衰退させています。」 – 米News&World Report

これは、NetflixやAmazonなどストリーミングサービスについてのものだとお考えだろう。しかしこのレポートは1955年のものだ。ここでは、破壊的な技術とはテレビのことを指している。テレビが劇場に与える脅威は、エンターテインメントにおける完全な革命だった。それまで、映画館は映像観賞の娯楽を独占していた。しかしテレビの出現により、1946年から1962年の間に興行収入は48%減少し、入場者数は78.5%減少した。興行収入は1974年まで1946年の水準には戻らなかった。数十年の歳月が流れ、我々は今やYouTubeでは無料のオンデマンドコンテンツ、有料ストリーミングサービスではNetflixやAmazonでプレミアムコンテンツが観られる時代に生きている。一定の料金で家にいながらコンテンツにアクセスできる使い易さは、NetflixやAmazonを競合他社と差別化した。

大手ストリーミング配信会社は、大規模な加入者数と収入を得、今やオリジナル作品を制作することでハリウッドに挑戦できるまでになった。多くの監督が小さな画面向きの作品を作り、インディーから有名監督まで、誰もがオリジナルのコンテンツ制作、特にCMのないストリーミングサービスで数十億ドルの利益を得ている。

Netflixの発表した2017年の計画では、昨年600時間だったオリジナルビデオを1,000時間に増やし、数十人の社員を増やしてテレビ番組や映画を見つけ出し、販売するとのことだ。 Amazon Studiosは、Manchester by the Seaの配布権を1,000万ドルで取得し、映画はアカデミー賞で、主演男優賞とオリジナル脚本賞を手に入れた。ハリウッドの意向にかかわらず、ストリーミングの巨人が出現している。しかし、クリストファー・ノーランの最近のインタビューでは、考慮すべきいくつかの問題が浮かび上がっている。

視聴環境の問題

映画制作者の主な苦言のひとつは、彼らの映画が家庭のテレビに反映されていないことだ。 ジョージ・ルーカスがTHXのサウンド・スタンダードを開発した理由がここにある。彼は自分の映画を映画館の音響と同じように聴きたいと思っていた。テレビのディスプレイも色再現が異なり、モーションエンハンサーなどの機能はフィルムの質感を台無しにしてしまう。 NetflixとAmazonは監督に何百万ドルもの資金を与えて制作させるが、問題は家庭の視聴環境なのだ。クリストファー・ノーランはIMAX 70mmフィルムで彼の最新作『ダンケルク』を撮影した。

「私は長年フィルム支持者です。特にImaxフィルムフォーマットを作品の収録に使用してきた。」と彼は述べている。 「映像への没入感は何にも劣らず、視聴者をのめり込ますことができる。」

しかし、こういった画像の美しさは家庭のテレビでは台無しになり、ノーランの悩みの種となっているのだ。

配信

Netflixの切り札は、配信にある。コンテンツは同じ日に世界中に配布される。しかし、これはまた、独自の問題を巻き起こす。 ノーランは、ストリーミングプラットフォームで全世界に流通する前に、映画館でより没入感のある視聴をする機会が必要と考えている。

「Netflixは映画館での観賞に対して変な嫌悪感を持っています。」とノーランは語っている。 「彼らは、ストリーミングとリリースを同時に行うという、無計画なポリシーがあります。これは、映画館での観賞を軽視しており、とても支持できないやり方です。だから彼らはうまくいかないし、大きなチャンスを逃していると思います。」

映画館に配給される映画は、配給から90日間は一般に販売することができない決まりになっている。

まとめ

クリストファー・ノーランのような映画製作者のおかげで、まだ映画館が廃れていないのは実に喜ばしいことだ。視聴者は、映画館で観る映画と、テレビで観るコンテンツを分けて観ている。米国の映画館収入は2000年の75億ドルから、2016年には113億7000万ドルとなり、51%増加した。一方Netflixは、190か国1億人の加入者に同時に配信している。また、高額な映画館に毎月1回以上行くことができない人の多くは、毎月のNetflix定期購入に走るだろう。クリスチャン・ノーランの傑作である『ダンケルク』は、Varietyによると25年来最多となる125の70mmフィルムの映画館でリリースされている。

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