2022年は、パンデミックの影響から回復しようと努力したメーカーが、部品不足、貨物輸送料の高騰、インフレ率の上昇などの困難に立ち向かった年だった。そんな中でもカメラの新製品が各社から発売された。多くの新しいカメラの中から2022年CineDミラーレスカメラを決定した。
私たちCineDは、手に入る限りの製品をテストし、結果を公表している。また、「数値」だけでなく、「ミニドキュメンタリー」を実際に制作してカメラをテストし、現場で機材がどのように機能するかもレポートしている。
最近のカメラは比較的手頃な価格で手に入るし、ミラーレスカメラの画質には驚かされる。今年のカメラ業界の明確な方向性として、カメラ内部記録用の高画質記録コーデックであるProResを搭載したことがある。ニコン、パナソニック、富士フイルムがすでに採用している一方で、ソニーとキヤノンは独自の方法で高品質な内蔵記録コーデックを提供している。これらの日本のカメラメーカーは、いずれも市場に定着しているが、本当に画期的なイノベーションは今のところ見当たらない。
この分野にはまだまだ改善の余地があり、今後そのような革新的な機能が探求されることを期待したい。それでは、各メーカーについて、少し触れておきたい。
パナソニック
今年の初めに、パナソニックは待望のLUMIX GH6を発表した(カメラレビューはこちら、ラボテストはこちら)。改善された画像パイプラインと強化されたダイナミックレンジモードにより、LUMIX GH6はミラーレスカメラの中で最も強力なビデオ仕様のいくつかをサポートしており、例えばOM SYSTEM OM-1のような他のマイクロフォーサーズミラーレスカメラよりもはるかに多機能で映画制作者に向いているのは間違いないだろう。改善されたとはいえ、GH6がまだコントラストベースのオートフォーカスシステムを採用しているが、ユーザーは次世代のカメラでより高度で正確な撮影用オートフォーカスシステムを望んでいる。なお、パナソニックのミラーレスカメラのラインナップを見ると、現在の製品が老朽化しているのを感じざるを得ない。2023年には新しいカメラの発表が期待される。
余談だが、パナソニックとライカの間で発表された包括的なコラボレーション戦略合意(2022年5月署名)が、2023年中に新しい製品となって実現するかどうか、興味深い。
ソニー
ソニーは、優れたカメラを提供することで、ミラーレスカメラ市場を支配し続けている。同社の「シネマライン」は、それをけん引している。特にFX3やFX30のような「ローエンド」カメラに関しては、特筆に値する。それだけでなく、ソニーのカメラを使っているプロが、ミラーレスをB/Cカメラとして使うことができ、また、ミラーレス機からステップアップしたいユーザーは、より専用のカメラを選択できる。
ソニーのFX3や新しいFX30がソニーのシネマラインの一部になることはまだ決まっていないが、既存のミラーレス製品(例えばFX3)を堅牢な筐体に収納し、いくつかの機能を追加し、オーバーヒートの問題も解決するという戦略は、疑いなくうまくいっている。パナソニックはLUMIXのBGHとBSで同様の手法をとっており、ある程度成功しているし、キヤノンも「EOS Cライン」で行っている。富士フイルムやニコンなど他のメーカーが追随することを期待したい。
ソニーの話に戻ると、今回発表されたa7R Vは、α1と比較すると、8K解像度での動画撮影が可能なフルサイズミラーレスカメラのシリーズとして、より手ごろな価格で好評を得ている。確かにオートフォーカス性能は向上し、専用のAIプロセッサーも搭載しているが、それでも全体として「カメラ・オブ・ザ・イヤー」を冠するほどの説得力には遠い。
ニコン
今年、ニコンは動画を撮影できる重要なミラーレスカメラをリリースしなかったが、Z 9は、最高のカメラ1つであり続けている。(Z 9は、2021年のカメラ・オブ・ザ・イヤーを受賞している)。最大8.3K/60pの12ビットN-RAWと最大4.1K/60pのProRes RAW HQを内部記録でき、最近リリースしたファームウェア3.0(ここから無料でダウンロード)では、「ハイレゾズーム」(8Kセンサーからの高解像度4Kビデオ)に加えて新しいタイムコードオプションも利用できる。また、改良されたN-Log to Rec.709 LUTにより、以前よりもきれいでクリーンな映像が得られる。簡単に言えば、現在、これほどパワフルなカメラは他になく、近い将来、この技術を利用したコンパクトで、手ごろな価格のカメラを期待したい。
キヤノン
2022年、キヤノンは動画撮影が可能な多数のEOSミラーレスカメラを市場に投入した。EOS R10とEOS R7の両方がAPS-CセンサーのEOSカメララインを強化し、後者はクロップなしでCanon Log 3で最大4K60のビデオを撮影できる。
キヤノンは、新しいEOS R6 Mark II(レビューはこちら)を導入し、フルサイズカメララインを強化した。HDMI経由の6K ProRes RAW記録、新しい24.2MPフルフレームセンサー、4K/60p記録(クロップなし)をサポートするこの「基幹製品」は、前モデルから改善されている。使い方によっては大きすぎ、高価かもしれないが、多くの点で昨年のEOS R3は引き続き同社のミラーレスの最先端を行く製品だ。
富士フイルム
今年は、これらのメーカーの中で、富士フイルムが映画制作コミュニティーのための新しいカメラを発売した。老朽化したX-T4(2020年のミラーレスカメラ)はX-T5と入れ替わったばかりだ。
そして、X-T5が発表される直前に、富士フイルムはX-H2S(レビューはこちら)とX-H2(レビューはこちら)を発表した。
私は両方のカメラを集中的に使用したが、X-H2Sは本当に素晴らしいカメラだと言わざるを得ない(ラボテストはこちら)。6.2K高速読み出しセンサーと3×2オープンゲートProRes HQ内部記録機能を持つこのカメラは、優れたローリングシャッター性能やアナモフィックレンズでの撮影向けのカメラだ。
このカメラには、クラウドに直接記録する機能があり、まさに「未来志向の」カメラと言える。
2022年のカメラ・オブ・ザ・イヤーは「X-H2」
そして、2022年のカメラ・オブ・ザ・イヤーはX-H2と決定した。 最大8K ProRes HQの内部記録と40.2MPセンサーを搭載したこのカメラは、本格的なコンテンツクリエイターのニーズを満たすことを目的としている。このカメラは、記録フォーマットと解像度に関して非常に柔軟性があり、最終的な出力ニーズについてクライアントと交渉する際に役立つことが期待される。コストパフォーマンスに関しては、最高のカメラの1つだろう。X-H2Sをスキップして500ドルを節約し、その金額で新しくて高性能なSIGMA 18-50mm F2.8レンズに投資することも検討できるかもしれない。
というわけで、まとめると。この X-H2はオールラウンダーとなった。まるで「スイスアーミーナイフ」のようなカメラだ。ファームウェアのアップデートによる機能改善の余地は大いにあるが、全体として、富士フイルムは映像制作者のための道具を作るという点で最前線に位置づけ、特にX-H2は高い評価と賞に値すると思う。
富士フイルム、おめでとうございます。