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CineDミラーレスカメラオブザイヤー2020

CineDミラーレスカメラオブザイヤー2020

今年も年末が近づいてきた。今年は新型コロナウイルスで大変だったが、ここではその件は置いておいて、カメラの世界を振り返ってみたい。以下が2020年に発売されたミラーレスカメラで、恒例のCineD Awardsのファイナルリストだ。

「年末」はいつも今年1年の撮影業界で良かったことと良くなかったことが思い出される。いつもながら、良かったことは業界と技術の進化だ。良くなかったことは言うまでもなく、多くの映像クリエーターやメーカー、そして映像業界にとって簡単な年ではなかったことだ。

Cameras of the year 2020 Image credit: CineD

多くのカメラが発売される

しかしメーカーからは多くの新製品が発表された。キヤノンC70C300 III、ソニーFX6、パナソニックBGH1、RED KOMODOなど業務用のカメラも多く発売されたが、多くのミラーレスカメラも発売された。 富士フイルムは今年の初めにX-T4を発表し、続いてソニーがZV-1を発表した(レビューはこちら)。

次に、キヤノンがEOS 1D-X Mark IIIを発表。これはもちろんミラーレスカメラではないが、高品質のビデオ機能も持つため、リストに入れた(レビューはこちら)。

キヤノンは続けてEOSR5とEOSR6を発表した。この2機種についてはオーバーヒートの問題があったが、新しいファームウエアがリリースされ、この問題はある程度解消された。(EOS R6のレビュー記事DIY対策記事)。

更に続けて、ソニーがα7SIIIを発表した。α7SIIから長く待たされたが、待望の新製品は瞬く間に映像クリエーターの注目を集めた。次に発表されたのはパナソニックG100だ。(レビュー記事はこちら)この小さくて美しいMFT交換レンズミラーレスカメラは、ソニーの優れたオートフォーカスで定評のあるZV-1の好敵手となった。

更にパナソニックはLUMIX S5を発表した(レビューはこちら)。この軽量のフルフレームLマウントカメラは、S1H、S1R、S1、S5など一連のLUMIXカメラの中で特に好印象だ。小さいが様々な機能があり、操作が簡単だ。

最後に富士フイルムX-S10が発表された。クラシックで美しい外観と豊富な機能を持つ。(レビューをはこちら)。

ニコンやオリンパスは今年見るべきものが無かったが、来年に期待したい。

止まらないカメラの進化

ユーザーは常に不満を言い、更なる要求をする。たぶんこれはユーザー側の問題でもある。映像クリエーターや撮影技術の歴史の中で、現在のように素晴らしいツールを手頃な価格で手に入れられる時代は無かった。そして現在では、ビデオを撮影できるカメラで、粗悪なミラーレスカメラはほとんどない。 カメラは既にこの上ないほど進化しきっているのだ。そして実際に遅れをとっているのは、ユーザー側のストーリーテリング能力だ。個人的にもストーリーテリングの技術について学ぶことがまだたくさんあるが、良いカメラだから良い作品が撮れるわけではない。

前置きが長くなったが、2020年のミラーレスカメラ・オブ・ザ・イヤーを発表しよう。

準優勝

このカテゴリには、2019年に発売されたカメラも含めたいと思っている。シグマfpやパナソニックLUMIX S1S1Rなどのカメラだ。理由は2020年にかなり大規模なファームウェアアップデートが行われ、実際に最新のレベルのカメラになったからだ。

シグマfp

シグマ fpについては、こちらを参照いただきたい。 このカメラが革命なのか進化なのかはまだわからないが、確かなことは、並外れたマイクロサイズに高機能を凝縮したことだ。

パナソニック LUMIX S1/S1R

パナソニック LUMIX S1は2019年のミラーレスカメラ・オブ・ザ・イヤーだ。これを選んだことに間違いはなかったと思う。今年はLUMIX S1R / S1HおよびS5など、LUMIXファミリーのカメラは無料の最新ファームウェアを得て、内部および外部記録する柔軟性をさらに高めた。

ミラーレスカメラ・オブ・ザ・イヤー2020

さて、ミラーレスカメラ・オブ・ザ・イヤー2020を発表したいが、その前に、このようなカメラを開発したメーカーと担当者に敬意を払いたい。多くのメーカーと技術者が開発競争に努力した結果ではあるが、その結果は大いに誇れるものだ。

FUJIFILM X-T4 Image credit: CineD

富士フイルムX-T4 -並外れたコストパフォーマンス

このカメラは今年2月に導入されて以来、筆者の多くの撮影で信頼できるカメラであることが証明された。筆者は文字通りX-T4を持って世界を旅した。そしてX-T4は決して期待を裏切るものではなかった。X-T4は4K/10ビット内部記録ができる堅牢なカメラだ。ビデオメニューは写真用メニューとは別になっており、理解しやすい。またオートフォーカスやIBISは実にうまく機能する。そしてさらに、ミラーレスカメラではこれまでにないほど良いオーディオプリアンプを備えている。

さて、多くの新しいフルフレームカメラが発売されたのに、S35センサーの存在価値があるのだろうか?そういった多くの声を聴くが、筆者は十分価値があると考える。現在、20万円前後でこのパフォーマンスを上回るカメラは無いだろう。

Sony a7S III Image credit: CineD

ソニーα7SIII -完成されたパッケージング

ソニーの上田氏が「ジョニーさん、これが新しいα7SIIIです。最大120fpsで高品質の10ビット4:2:2ビデオを撮影でき、まったく新しいメニューがあり、熱処理が適切に行われ、IBISが再設計され、オートフォーカスのパフォーマンスが大幅に向上し(瞳追跡AF)、低照度特性が卓越しています。ご意見は?」と聞かれた時、筆者の思考はグルグル回り、脈拍が早くなり、30秒の沈黙の後、「その他にありますか?」としか聞けなかった。

上田氏には適切なコメントができずお詫びしたいが、このフルフレームカメラの完全で非常にポータブルなパッケージは、それ以上望むものがないほど完成している。重要なことだが、日中でも、ほぼ暗闇でも並外れた画質を実現できる、素晴らしくバランスの取れたカメラだ。ただし価格は安価ではない。

Canon EOS R5 Image credit: CineD

キヤノンEOS R5 -卓越した技術的成果

記録時間の制限があるため、このカメラがファイナルリストに含まれていることに疑問がある読者もおられるかもしれない。しかし筆者は異なった見方をしている。記録の制限はさておき、EOS R5は、ミラーレスカメラで内部8K RAW記録を可能にした最初の製品だ。内部RAW記録は20分間という制限があるが、これも徐々に改善されていくだろう。少し前なら、この小さなボディで内部8K RAW記録ができるなどということを誰が想像できただろう。このカメラだけを持って外に出て、キヤノンのレガシースキントーンの暖かさを8Kで撮影できるのだ。

ただし、CFexpressカードは多めに必要だし、撮影時はできるだけ合間をとることを忘れてはいけない。しかしその見返りは編集時に提供される。 8K映像は衝撃的で誰もが驚かされるだろう。放送で使うなら、1080pへのダウンサンプリングで映像は更にゴージャスに見えるだろう。

Cameras of the Year 2020 Image credit: CineD

まとめ

カメラメーカーが困難な時期に直面していることは周知の事実だ。開発競争は熾烈で、スマートフォンのカメラ性能も今や素晴らしいものになっている。カメラメーカーはスマートフォンとの競争にも向き合わなければならない。これらにはそれぞれに長所と短所があるが、結局のところ、ビデオと写真の両方に適切に対応するためには、基本に立ち返る必要がある。

ここにすべての答えがあるわけではないが、長期的にはカメラ機能の追加だけではもはや十分ではなく、カメラメーカーは「コンセプト」を明確にする必要があるだろう。

いずれにせよ、CineDミラーレスカメラ・オブ・ザ・イヤーを受賞した富士フイルム、ソニー、キヤノンの各ケーカーの皆様、おめでとうございます。

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